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第五話)ヒーローの流儀

 どうも自分にはこれといって特徴と呼べるものがない。厳しい修行の中で超闘士エターナルはそう思っていた。


 超闘士エターナル、彼は相当強い。事実、これまで倒した敵の数は数知れず。また修行と称し、紛争地帯へ一人赴き数多の兵士を素手で倒した。そしてテロリスト集団だけでなく大国の軍隊でさえ、敵と戦うより超闘士エターナルと戦った方が被害が大きいと恐れられている。更にはこれまでに数多くの暗殺者が彼を殺そうとしたが誰ひとりとして帰ってこなかったという逸話まで存在する。


 そんなエターナル、もうすでに『強い』と特徴づけられているというのにこれ以上何を求めるというのか。エターナルはこのようなことを発言していた。


「まだ私は強くないんです。世界に目を向ければ強い人間は結構います。例えば体がゴムみたいに伸びる人間、手からビームの出る武術家達なんかがまさにその例です。ただ私は『強い』って特徴づけられるのが嫌なんですよ。」


 そんな人間現実世界には存在しない。そういうとかれはこう答えた。


「えっ!いないんですか?じゃあ格ゲーに出てるあの人達もですか?…いない。いやぁ〜おどろいたなぁ〜。アハハ。」




 ある日、超闘士エターナルがテレビを見ていたとき、「これだ!」と言って突然立ち上がり、走って家を飛び出した。一体何を思いついたのか。


「秘密です。とにかく今はセクシーな係長さんに感謝感謝です。」


 どうやらエターナルはテレビに出ていたセクシーな係長を見て何かを思いついたようだった。しばらくして彼は山についた。しかしこれから彼は何をするのか我々には分からなかった。なのでしばらくの間、彼に密着させてもらった。


 翌日の朝七時、エターナルは突然山をおりた。


「なぜおりたかって?食料を求めて山をおりた以外になにがあるんですか?今から私はコンビニエンスストアに行って、オニギリを大人買いします。」


 そう言ってエターナルは計十店のコンビニで約百個ほどのオニギリを買った。水は山に流れる川で何とかするらしい。


 午前九時、山に戻ったエターナルは突然我々に対しこう言った。


「これから修行をしたいんですが、しばらくの間そこで待機してくれませんか?修行の内容を誰にも知られたくはないので。本当にすみません。」


 それから十時間後の午後七時、我々の元へエターナルが帰ってきた。修行の成果はどうなのだろうか。


「成果ですか?全然ダメ、様になっていない。」


 そう言ってエターナルは再び山をおりた。何故再び下りたのだろうか。


「銭湯です。修行の後の風呂は気持ちいいですから。自宅には戻らないです、修行中ですので。どうです?一緒に入りませんか?(笑)」


 それから数日間エターナルは修行に励んだが彼の思い通りの成果は得られなかった。彼は日に日に焦りを感じるようになっていき、体重も修行前と比べて十キロ以上も減った。


「ダメだ、どうしてもダメだ。こんな状況初めてだ。………ちくしょう!」




 エターナルが山にこもって一ヶ月がたった頃、普段ならこの時間修行に励んでいるはずのエターナルが我々の元にやって来た。その時に彼の見せた彼の笑顔は今まで見たことのない笑みだった。ついに彼の納得の行く成果が得られたのだろうか。


「えぇ、ちゃんとした成果が得られました。これまでで一番苛酷でしたが得たものはものすごい大きいです。本当にセクシーな係長には感謝感謝の大感謝です。」


 彼の得た成果はどういうものなのか。


「何を得たのかですか?それはダンディさです。セクシーな係長はセクシーに世直しをしてきましたが、私はダンディに世直しをしますよ。一番苦労したのが声ですね。ダンディな声を出すのにどれだけ苦労したことか…。」


 本当にそれは大きな成果を得たといえるのか疑問だ。そんな彼にとってヒーローとは何なのか。


「私にとってヒーローとは、まず常に強くなり続けること。ヒーローになっても強くなろうと思っていなかったら確実にこの仕事は務まらない。そして常に戦う敵は自分よりも強いと思うこと。例え相手が自分より弱そうに見えても侮ってはいけない。戦いはどう展開するか分からない。下手をすれば自分の不利な状況になりかねない。今あげた二つは一見簡単そうに見えるけど実はとっても難しいです。ですがこれがヒーローなのです。」




 後日、我々は超闘士エターナルを見かけた。エターナルはつい先日手に入れたダンディな部分で世直しをしていなかった。なぜしてそれをいないのか。


「やっぱ、ダンディで世直しをすることはできませんね。現実はテレビほどあまくはありませんね。でもこうして私は強くなっている気がします。もう私の特徴はダンディで強いではなく毎日強くなりつづけるですね。」


 今日も明日も。超闘士エターナルは毎日少しづつ強くなっていくのだった。

読んでいただきありがとうございます、佐津佐です。ドキュメンタリーっぽくしようと思い書いてみたこの作品、思っていたのと違う気が…。あれに似せることができたのか、…謎です。

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