お菓子屋さん
マップを開いて、まだ見えないところを見えるようにするために歩いて行く。マップ上にお菓子屋さんがあると表示されたので行くことにした。お菓子屋さんに着くと、お店の前には長蛇の列が出来ていた。
「ここだ。」
お菓子屋さんは二階建ての一軒家で、一階部分にはピンク色の庇が付いていた。一段高くなった入口付近にはメニューが立っている。テイクアウト用の窓は閉まっており、「テイクアウトの方もお店の中へ入って下さい。」と張り紙があった。俺とハイビーは十数人並んでいる列に並ぶ。ハイビーとしばらく待っていると、「次の方どうぞー」と呼ばれた。
木の扉を開け中に入ると、甘い香りがしてきた。「何名様ですか?」と聞かれ、「二名です。」と答える。「こちらへどうぞ。」と案内された席は二人掛けのテーブルで、一人用のソファがテーブルを挟んで置いてある席だった。席に座るとメニューを開いた。
【・苺のショートケーキ・バナナのケーキ
・サクランボのアイスクリーム&シャーベット・芽葡萄のマカロン
※各商品ハーフサイズも用意しています。】
メニューの商品名はどれも美味しそうで名前から実物を想像してみるが、一つだけ分からないのがあった。芽葡萄ってなんだ? と、疑問に思ったのでハイビーに聞いてみた。
「ハイビー、この芽葡萄って分かるか?」
「あ、これですね。これは、花からもう一度芽が出てくる植物があるんですけど、その二回目の芽が丸く膨らむんです。で、その芽の部分は食べられるんですーしゃ。ちゃんと葡萄味なんですーしゃ!」
花から芽が出てくるのはよくわからんが、どうやら食べられるらしい。疑問は尽きなかったが、異世界には不思議植物もあるのだろう。と、無理やり納得させると俺はハイビーにマカロンを頼むと伝えた。
「そうですねー、おれーしゃはどれにしようか…」
ん~と顎に手を当てて真剣に考えているハイビーの横から声が掛けられた。
「それなら、この、シャーベットはどう?」
「え?」
驚いてハイビーが横を見る。つられて俺も横を見ると、そこには王国で別れたお隣さんが居た。
「レベシーさん、無事に帝国に着いたんですね。良かった。」
「リョータ君も無事に着けたのね。良かったわ。もしかして、この子は王国に居た時に一緒に居たもふもふの子?」
ハイビーの服をちょんとつまんでレベシーは俺に聞いた。
「そうなんです。よく分かりましたね。」
「最初はびっくりしたけどね。もしかして、と思って。」
「私凄いかも」と言いながらえへへと笑う、レベシーに俺は何を頼むのかと聞いた。
「んー、私はね、これ!ショートケーキとバナナケーキ!」
「いいですね。俺も二個頼もうかな。」
二人で周りの迷惑にならない声量で喋っていると、ハイビーが、「これにする!」と、言ったので定員さんを呼んで注文することにした。
「芽葡萄のマカロンに、大人の葡萄ジュースを一つ。それとショートケーキとサクランボのアイスクリームのハーフサイズセットと赤いジュースを一つお願いします。」
「分かりました。注文を確認します。――でよろしいですか?」
「「はい。」」
「少々お待ちください。」
お菓子を待っている間、ハイビーと話しながらお水を飲む。隣のテーブルではレベシーが注文をしていた。
「お待たせしました。芽葡萄のマカロンのお客様。ハーフサイズセットのお客様。」
目の前にマカロンが置かれると伝票を定員さんは置いて行った。早速、携帯を取り出して写真を撮る。ハイビーも撮りたいと言ってくれたので、使い方を教えると楽しそうに写真を撮り始めた。
「「今日も私達に食べ物を恵んでくださったことを感謝して、いただきます。」」
手で薄紫色のマカロンを掴むと、口に持っていき一口だけ噛んだ。
「んー!! 美味しい。」
間には芽葡萄が挟んであり、噛むとふわりと甘さが口いっぱいに広がった。
「美味しいですーしゃ!!」
ハイビーが頼んだハーフサイズセットは、通常サイズの半分のケーキなどを二種類楽しめるものだ。
「ハイビー、少し貰ってもいいか?」
「はいーしゃ!」
しばらくの間、ハイビーから少し貰ったりあげたりしていると隣から声が掛かった。
「私食べ終わったからもう行くわね。」
俺たちがゆっくりと食べている間に彼女は、いつの間にか全て食べ終わっていた。
「話が出きて楽しかったわ。」
「はい、俺も楽しかったです。」
「またね。」
そう言うと、彼女はレジへと向かって歩いて行った。しばらくして俺たちも食べ終わり、会計をした。外に出ると、列の長さはそれほど変わってはいなく、このお店の人気さが一目で分かった。今は、だいたい3時頃なので少し商店を見て、服などハイビーの物を買うことにした。




