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16歳今年は異世界に召喚されました

「えぇー、安立ニュースです。

ただいま、安立良太さんが異世界に召喚されました。安立良太さんが異世界に召喚されました。速報です。安立良太さんが……」


俺の頭の中にはそんなニュースが流れている。


『16歳今年は異世界に召喚されました。』


 異世界小説が好きなネッ友に何時間も聞かされて覚えた異世界知識。今になってやっと役に立つ。赤い絨毯に大きな魔法陣。俺を囲むようにして立っている人達。階段を登った先にある玉座。全てが俺に異世界に来たことを知らせていた。


 どうしてこうなった? 普通に高校に行って友達と喋って、下校していただけなのになぜ!? これがよくある異世界召喚だとしたら俺が呼ばれた意味がわからない。容姿が特別優れているわけでもなく、素が優しいわけでもなく、学校では猫を被っている俺が召喚された意味は何かあるのだろうか?


分かりもしないことを、永遠に考え続けていると上から声がかかった。


「少年を我がリ・アシュレーゼ王国、国王が歓迎しよう。」

「あ、は、はい…。」

 国王!? え、俺国王に話しかけられてる?! ちょっと嬉しいけど冷静になってみればこっちは勝手に呼ばれたんだから歓迎すると言われてもあまり納得できない。が、仕方ないと己を無理やり納得させて国王の次の言葉を待つ。


「まず、勝手に召喚したことを詫びよう。」


 ちゃんと謝ってくれるんだ。優しい人でよかった。ホッとしたのもつかの間、貴族と思われる男性が声を上げた。


「国王様!このような者に詫びる必要があるのでしょうか!?」

前のめりになり、手を上げ話す男。それを金と銀の刺繍が入ったローブを纏った、銀髪の男がきつい口調で黙らせた。

「レイジェ、口を慎め国王に向かって許可もなく口を開くでない。」

「クッ…」

と悔しそうな声を漏らすレイジェ。見かねた国王が、

「まぁ、待てナトリー。怒るのはそのぐらいにしとけ。だが、今の発言は良くないな。レイジェ。」

と言い、

「も、申し訳ございません。」

とレイジェは口を閉じると静かに俯いた。国王が口を開く。


「ゴホンッ、少年。一つ質問があるのだが、召喚されたことを理解しているかね?」

急に質問され少しびっくりするが、

「理解しています。」

と答えた。

「そうか、なら話しは早い。少年に頼みたいことがある。」


 頼みたいことがあると言われゴクリと喉を鳴らす俺。少しの間が空き、国王の口から出た言葉は……

「少年、スパイをやってはくれないか?」

だった。

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