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今夜鈴の音がなった頃  作者:
祈り屋
1/3

一話 鳴り止まぬ鈴の音




 ーーチリン


音が聞こえる。気のせいだと思いたい。




 ーーチリン

もう一度音が聞こえる。気のせいではないらしい。






「はぁ……」

今日もまた鈴の音が聞こえてくる。

ここのところ毎日だ。いい加減うんざりしてくる。

ベットから体を起こし時計を見る。

時計の針は三時を指していた。



ーーチリン



まだ鈴の音が聞こえる。

明日も学校がある。それに備えてまだ寝ておきたいが音のせいで眠れない。


「水でも飲みに行くか。」


部屋から出て階段を降りる。

キッチンに行き、棚からコップを取り水道水を汲む。


「あぁ水がうまい。」

水を飲み満足し自室に戻る。


ーーチリン


まだ音は鳴っている。もう一度ベットに潜る。

だが音のせいで眠れない。

ただただ音が鳴り止むまでなにもせず待っている。

そんないつもと変わらない長い長い最悪の夜だ。









いつのまにか音が鳴り止んでいる。その頃にはもう日がのぼり鳥の囀る音、学生の声が聞こえてくる。

時計に目を向けると七時二十五分を指していた。


夏生(かいき)ーーそろそろ起きなさいよー。学校に送れるわよー?」

母の呼ぶ声が聞こえる。

学校に行く用意をしなければ……

ベッドから体を起こし学校に行く支度をする。

着替え、歯を磨き、そして朝食を食べる。

いつものルーティーンだ。



朝食を食べ終え鞄を持ち家を出る。今の時間は七時四十五分。学校へは十五分くらいで着くからHR(ホームルーム)の時間まで三十分は眠れるだろう。


「いってきまーす。」

母へそう言い家を後にする。

あぁ眠たい。早く学校で眠りたい。



ふらつきながらもどうにか学校へと着く。靴から上履きに履き替え、自分の教室へと行き席に着く。人はいるがまだ少ない、安心して眠れそうだ。

そんなことを思い眠りに着く。



学校では鈴の音が聞こえず、ぐっすりと眠ることができる。今まではそうだった……


ーーチリン


学校でさえもこの音が聞こえてくる。どうにかして寝ようと思い瞼を閉じるが音のせいで眠ることができない。

結局、今日はHRが始まるまで眠ることができなかった。





「なあ夏生。お前また眠れなかったのか?また顔色がヤバいぞ?」


そうやって後ろの席の藤が話しかけてくる。


「あぁ今日もまただ。」


キーンコーンカーンコーン


授業の始まりを告げるチャイムがなる。

今日もまた授業が始まる。












〜〜〜〜〜〜


キーンコーンカーンコーン

ようやく学校が終わった。早く帰って眠ろう。そう思いながら帰り支度をする。

そこで藤が

「なぁもし今日暇だったらここへ行ってみないか?」


そう言いながら一枚の紙切れを差し出してくる。


「これは?」


「今のお前の力になってくれそうな人がいる場所の地図。

今日もう少し早く渡そうと思ってたんだが朝とか昼に渡すとお前が忘れるかもしれなくてな。今になった。遅くなってすまん。」


「ありがとう。今日は特になにもないから、帰りに寄ってみるよ。」


「じゃあ俺行くから。また明日。」


「ありがとうな。また明日。」


学校を後にし早速紹介されたとこへ向かう。

地図を見てみるがとてもわかりやすく書かれている。


「ここからだと案外近いな。」

地図に書かれた通りに進んでいく。





〜〜〜


「着いた。」

二階建てのこじんまりとした、小さな店だ。

看板には"よろず相談承ります"と書いてある。

店の名前は見当たらない。

一階はガレージがしまっていたので二階へと続く階段を登り二階へといく。

ドアがあった。ノックをし中に入る。


「すいませーん。誰かいますかー?」


中に入り俺はそう言ってみる。

中には大きな机と高いソファ。

その先にまた一つ机と椅子に座る女がいた。


「珍しいねぇお客が来るとは。ようこそ祈り屋へ。一体どういう要件だい?」


「友達からの紹介できました。僕、最近寝れなくてそれで困っていたらここに行けばいいよと言われまして。」


「ふぅん、最近眠れないねぇ。どうして眠れないんだい?」


どうせ信じてもらえないだろうが。

そう思いながら理由を話す。


「寝ようとしたり、寝ていたらどこからともなく、チリンと鈴の音が聞こえてくるんです。それで眠れなくて。どうにかなりませんか?」


「鈴の音…鈴の音ねぇ。………オッケーわかった。じゃあこれ飲んでみて。」


そう言い女はガサゴソと机の引き出しから一つの青い球が入った瓶を取り出した。


「そこのソファ貸してあげるから、これ飲んで一回寝てみてよ。多分寝られるはずだからさ。」


「えっ?寝れるの?それ飲むだけで?」


「うん。そう眠れるそれを飲むだけでね。1時間ほどしたら起こしてあげるから寝てみな?」


女性は瓶から球を一つ取り出しそれを渡しながら言ってきた。

正直怪しい、だがこれで眠れるならと淡い期待を抱きながらそれを受け取る。


「じゃあ……そこのソファ少し借りますね?」


球を飲み込みソファに寝転がる。

どうせ……眠れない…のに………


僕の意識はそこで終わっていた。






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