表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異能対策室〜王来王家燕〜  作者: イクサ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

45/47

44話【介入者達】


燕は手に握った赤い柄のアサルトナイフがアレキサンダーへと襲いかかる。


斬り降ろされたナイフを、いつ何処から取り出したのか分からない西洋の矛の様な武器で受け止める。


だが、燕はそのまま銃口をアレキサンダーの体に向け、引き鉄に指をかける。


「甘いですよ!」


アレキサンダーは無理矢理矛を振り払い、燕を空中へと吹き飛ばした。


しかし燕は吹き飛ばされながらも空中で銃口をアレキサンダーへと向けていた。


「空中でッ…!?」


「解放”あかつき”ッ!!!」


燕の言葉の瞬間、強力な可視化された閃光がアレキサンダー目掛けて放たれる。


「隊長!!!」


「勿論言われずともだ!アレク!!!!」


アレキサンダーの叫びと共に神々廻がアレキサンダーの前に立つ。


「なっ!?身体で受け止めるつもりか!?」


突然の神々廻の行動に対峙していた来栖は驚きを隠せなかった。


「いいや!!!!受け止めん!!!!」


「ではいきますよ!!隊長!!!」


アレキサンダーは神々廻の背中に掌を押し当てる。


「”刮目して視よ(マジェスティ)彼の威光(オブリージュ)”!!!」


その瞬間、神々廻の正面に光源が放たれる。

その光源は障壁の様に神々廻を覆う様に成り、燕の放ったあかつきの閃光が障壁にぶつかり霧散する。


「シールド?!…いや、バリアね?」


「いいえ、威光です」


「…はい?」


アレキサンダーの即答に燕は呆れた。


「説明しましょう。神々廻隊長の前に現れたこの光源の障壁は隊長の持つ威光なのですよ」


「…ごめんなさい、笑うべきかしら?」


「いえ、むしろ悲しむべきですね。ボクの異能、”刮目して視よ(マジェスティ)彼の威光(オブリージュ)”は他者の持つ輝きや高貴さ即ち栄光や威光を物理現象として可視化して”外”に押し出す能力なのです。ですので、バリアを作ったのではなく、隊長の持つ威光が貴女の閃光を防いだ、ということです」


「出鱈目な異能だな」


「そうですね、ボクも思いますよ。何せこの異能、ボクが対象者に輝きや憧れを持っていなければいけない上にボク以外の他者にしか作用しない異能なのでね。故にボクは不完全な異能だと認識しているよ」


アレキサンダーはやれやれといった具合で説明を終えた。


「ハァァァ!!!!」


アレキサンダーが神々廻から離れ、油断したその隙を突くように燕がアサルトナイフを握りながら懐に飛び込んでいた。


「無駄だ!!!!」


だが神々廻は燕の動きを読んでいたかのようにアレキサンダーと燕の間に割り込むように入り込み警棒で殴り飛ばす。


「ぐっ…読まれた…?!それも異能の応用かしら…」


「いや?これは”強固な結束ストロング・ユア・ユニティ”ではないぞ!!ただの戦術を読んだだけだ!!!」


燕にそう言いながらゆっくり近づく神々廻。

だが端で来栖が銃口に引き鉄に指をかけていた。


そして、ゆっくりと引き鉄を引いた。


弾丸は音速で神々廻に飛んでいく…


が、神々廻に当たる直前で弾は光の障壁にぶち当たり砕け散った。


それを神々廻は不気味なほどのにこやかか側で来栖を視た。

その神々廻の脇には腰を落としながら、神々廻に掌を押し当てているアレキサンダーの姿があった。


「不意打ちに続く不意打ち…ですが、ボク達には効きませんでしたね」


燕と来栖は互いに足並みを揃えるために一度合流した。


「…参りましたねこりゃ」


「はい…対峙してみた感じ、あの2人の戦闘は私達と同等ぐらいだと思います。けど、常に阿吽の呼吸を超えた連携力をを出す”強固な結束ストロング・ユア・ユニティ”の神々廻秀泉…」


「その神々廻を狙おうと集中的に動いても常に神々廻の行動に完璧に合わせる上に神々廻の威光とかいうのを物理現象化させて攻撃を防いでくる”刮目して視よ(マジェスティ)彼の威光(オブリージュ)”のデュッセル・アレキサンダー…」


「切り崩すのが厳しいですね…」


だが、燕の言葉に来栖はニヤッと笑った。


「…そうでもないですよ」


その来栖の手の中にはスフィアボールの様な物が握られていた。


「じゃあ、出来る手札は切っていきますか…!」


来栖は野球のピッチャーの様に構える。


「ん?なんだ!!野球か?野球は好きだぞ!!!」


「いきなりキャッチボールに参加しようとしないでください隊長。…しかし何をしてくるのか…砲弾とか投げてくるかもしれませんね」


「なら、また威光を出せばいいぞ!アレク!!」


「勿論です。準備はしておきましょうか」


アレキサンダーは神々廻の背中に再び掌を押し当てた。


「ふん!!!」


来栖の投げたスフィアボールは豪速球…とはいかない普通の一般人がキャッチボールをする速度ほどで飛んでいく。


「なんですか、その投げは?」


神々廻の背後から覗き込みながらアレキサンダーは考えた。


ボールに何か細工されているのか?

爆発するのか?

はたまた追尾するのか?


一瞬のうちに思考を巡らせた。


「多分想像してることは起こらないですよ」


その思考をまるで覗いたみたいに来栖はアレキサンダーに言った。


「その威光とやらを押し出す時、アンタ達はその場から動けない…押し出さなきゃ発現しない異能なのでしょう。だからこそ足下を掬われる」


その言葉を言った後、スフィアボールは神々廻達の足下に落下した。

その瞬間バンと言う音と共に弾け飛ぶ。


そしてサラサラと言う音と共に神々廻達の周囲に散らばった。

いや、散らばるには多すぎる。


「こ、これはなんだ!!!!??」


「…ッ!!?これは流砂…!?」


2人の周囲には流砂が広がっていた。

2人の立つ流砂の中心は窪んでおり、引き摺るようにサラサラと音を立てながら、2人は中心へと引き摺り込まれていた。


「いえ、擬似能力”恒河沙の蟻地獄ごうがしゃのありじごく”ですよ。着弾したスフィアボールはその周囲に蟻地獄を形成するそういう擬似能力です」


「くッ…足が上がらない…!!」


「踠けば踠くほど引き摺り込まれますよ」


「形勢逆転…ですね!」


燕と来栖は互いに銃口を蟻地獄に阻まれる2人に向けた。


「銃を降ろしてくれないかい?」


突然2人の後ろから声が飛ぶ。

いつの間にか2人の後ろに何者かが立っていた。

いつ、どのタイミングで、それを頭の中で巡らせるよりも先にその何者かは更に続けた。


「争う気は我々も無いんだ。特にあそこのはじめ君達と戦ってる彼以外とは」


2人はゆっくりと銃を降ろした…









———銃を降ろした。

時陰は自分を囲んだ髪の刃、その状況に打つ手無しと悟ってしまった。


そして囲んだ髪の刃が一斉に時陰に襲いかかる。


…瞬間音速の勢いで何かが時陰の背後から飛んでいき、1つの髪の刃が弾け飛ぶ。


「…ありゃ?」


そしてその何かは次々と時陰の背後から髪の刃目掛けて放たれた。


「何事かにゃ…?そんな芸当隠してたの?お姉さん…」


「え、私は何も…」


時陰はその現象を突き止めるべく後ろを向くと、背後のビルの中層ぐらいの窓から1人の男が窓に腰掛けていた。


「ふふ。あぁ、礼には及びませんよ、CS班の時陰さん」


「…いや、誰」


「おっと、私ともあろう者が名乗りもしなかったなんて痛恨の極みですね」


男は窓から飛び降り、華麗に着地した。


「私は熊野御堂くまのみどう義経よしつね。Dirty Dog班の熊野御堂くまのみどう義経よしつねです。以後お見知り置きを」


「は、はぁ」


「うーーん、冷たい返事。ま、麗しい方からのそういうのも嫌いではないですけどね」






———冷たい。

あぁ、完全に凍ったんだ。

紫苑はこのまま冷たい中、動けないまま凍死するのか…

呆気ない。

“奴”を見つけることも出来ないままか…


黒い氷の塊の中、村崎は思っていた。


「呆気ないものですが、これで異能対策室も邪魔はしない事でしょう」


「そうね〜。ま、アタイはどっちでも良かったんだけどね〜」


「いや、隊長ノリノリじゃなかったですか?」


「気のせいでしょ?」


「そうですか?それでこの方々はこのまま永久凍結ですか?」


「うーん、殺す気は無いからこの事件が終わったら解除するわ」


宮代はそのままその場を後にする。


しかし2人はすぐに足を止めた。


それもそのはず。

2人の足下には水たまりが出来ていた。

いや、どこからか流れた水が地面のわずかな斜面に乗り、宮代達の足下に溜まっていたのだろう。


「…水たまり?」


「おかしいわね…なんで水があるのかしら…」


宮代達はその水の流れてる方向を目で辿った。

辿った先は先ほど凍結した竜崎の氷だった。

その氷から流れている。


何故流れているのか。それは容易に判った。


「隊長の氷が溶けてる…?!」


「…なんで」


竜崎を凍結した氷は凄まじい勢いで溶けていた。

黒い氷から溶ける水は日常で確認できる氷と同じ文字通り水々しい透き通った水であった。


「どうして溶けてるんですか!隊長の氷は溶けないんじゃ…」


「アタイだって初めての光景よ…」


宮代は不意に視線をずらした。


「誰かいるね。何者だい?」


「おっと、さすがは【No Trace】の隊長格か。俺の存在にもすぐ気付きやがる」


宮代の視線の先には黒い氷の塊の上に男が座っていた。


その男の手前には等身よりもデカい大剣のような物が地面に刺さっていた。

その大剣からは溶けた氷のせいなのか蒸気を纏っていた。


「黒い氷ってのは初めて見たぜ。俺の大剣こいつでも対処出来るのか不安だったが何とかなったな」


「…何なんですかその剣は」


明らかな異質。

十倉は警戒するようにその男に聞いていた。


「あぁこいつか、こいつはな——」


「ッ!!!ハァ…ハァ…ハァ…溶けた…?」


男が言いかけた所で竜崎を凍結していた氷は溶け切り、崩れるように膝をつきながら竜崎は辺りを確認した。


「お、竜崎さんのは溶けきったな。あとは」


男が視線をずらした。

それに釣られるように宮代達も視線を男が向けた方向へとずらした。


そこには凍結した村崎。その氷が溶けており、既に髪の辺りは氷からはみ出ていた。


「…どうなってるの…!この氷は溶かすなんて出来ない!アンタ、何者?」


「あんたしか操れない絶対溶けない氷って感じか?そりゃなかなかだが、その理屈が通る異能なら俺の擬似能力も同じもんなんだよ」


男は地面に刺さった大剣の柄を握る。


「”絶対溶けない氷”があるなら、その逆で”絶対溶かす熱”だってあるってわけだ」


「そんな理論じゃないんだよアタイの”黒い氷の魔女(フロスト・ウィッチ)”は!アタイの意思でしか解除できない氷よ…!」


そう宮代が叫ぶと男は大剣を顔の横まで持っていき構えた。


「こいつは”龍舌りゅうぜつ”。俺の相棒。そして擬似能力”龍舌溶岩”を付与した武器でもある。擬似能力解放」


男が鍔の後ろにあるボタンを押し込む。

その瞬間、”龍舌りゅうぜつ”と呼ばれた大剣の刀身が熱せられたばかりの鉄の様に真っ赤に変色し、そしてゆっくりとドロドロと刀身が溶けていき、まるでマグマの様に流れ落ちた地点から広がるように流動していく


「こいつは見た目はマグマだが、厳密にはマグマじゃねぇしこれ自体に熱さは無い。

ただその代わり、このマグマの様になった刀身に触れた水気を帯びた物質はどんなものでも必ず蒸発させる力を持ってる」


「何度も言ってるでしょう!その理論が通用する異能じゃ——」


「違えよ。こいつの真骨頂はない固執概念の無視なんだよ」


「が、概念の…無視?」


「言い方を変えよう。こいつは水に関連した物質なら必ず蒸発させられる。それがたとえ溶けない、消えない、或いは蒸発しないと言ったものですら、こいつの溶けた刀身に触れた瞬間蒸発する」


「な、何よそれ…ありえない…!」


「いや、これは自然のルールだ。水という物質は乾き蒸発する。自然界における絶対的ルール。俺のこの龍舌溶岩はそれを忠実に起こしてるだけ。強い言い方をするならそのルールを強制的に押し付けると言った感じだろうな」


男は大剣をマグマの様に溶けた刀身の中心地に突き刺す。


「あんた、何者なんだ…?何で俺達を」


その光景を横目で見ていた竜崎、そしていつの間にか氷が溶けきって状況を整理する様に視察していた村崎の方に男は視線を向けた。


「そうだったな。自己紹介が遅れた。俺は異能対策室Dirty Dog班の贄山にえやま弥太郎やたろうだ。

ある人からアンタらの援護に迎えって言われてここに来たわけだ」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ