屋根裏部屋からメリークリスマス♪(※ただし魔改造による)
この企画を毎年楽しんでますが、【なろうラジオ大賞2】に投稿した『ボロアパートのブラウン管から謎のおねぇが出てきた件。』のまさかの続編です。
単体で読むと意味がわかんないかもです。
あらすじ読めば、まあ大体わかりますが。
『ボロアパートのブラウン管から謎のおねぇが出てきた件。』
https://ncode.syosetu.com/n3644gq/
天井裏だと思ってたら、キーワードが屋根裏であったため(死)、修正してます。
確認大事だよね!!(おまいう)
色々あって、その色々の経緯で住むことに決めたボロアパートの一室に私はまだ暮らしていた。
「ただいまー」
「おかえり~♪」
声で出迎えてくれたブラウンさん(仮)は、この部屋にあるブラウン管から突如出てきた謎のおねぇである。
この人が面白いのでここにいると言っても過言ではない。
説教好きのマッチョな淑女であるブラウンさんは、高い女子力で美しく巻いた髪とバッチリの化粧のおねぇ。見事な肢体(※筋肉的な意味で)を惜しげも無く晒した90年代風ボディコンワンピに身を包み、今日もブラウン管から──
「あれ? いない」
「ふふふ……アタシはこ・こ・よ♡」
なんとブラウンさんの登場は、いつもと違い天井裏。
首から上だけを出しているではないか。
化け物みが増すのでやめた方が……いやブラウン管からでもやっぱり化け物っぽいか。
一回転して華麗に着地したブラウンさんが用意した脚立を登り天井裏を見ると、豪華な屋根裏部屋と化していた。
「イブの今日もやっぱり普通に帰ってきたわね! 寂しい子ッ!」
生憎私は『クリぼっち』とか気にするタイプではない。
「天井裏魔改造のが気になりますが」
「まあ! 気にしいッ!」
「ええぇ……」
その台詞には釈然としないが、『私のために』クリパの用意をしていたらしい。
恩着せがまし優しい(造語)。
「アンタはこれに着替えて上がってきて!」
そう宣うと小さなブラウン管に身体をくねらせ入っていく。ブラウンさんは短くタイトなスカートでも決して中は見せない淑女である。
「繋がってるなら脚立でもいいじゃん」と思ったが、黙っといた。
言われるがままに服を着替えたが何故かミニスカサンタ。
断ると面倒臭そうなんで諦めた。
天井裏の豪華な部屋には大きなクリスマスツリーと、沢山のご馳走。
だが、ケーキがない。
「ケーキはあの子に頼んであるわ」
「あの子?」
──ドンドン!
乱暴に叩かれる扉。
覗き穴から覗くと、そこには私の許嫁らしき人。
手には有名パティスリーの大きなケーキの袋。
「アレが目当てで呼びましたね?」
「決まってるじゃない」
「今あけまーす」
「ふん、仕方なく来てやったぞ! ……ッ」
「……どうぞ?」
「──はっ?! なななんたるハレンチな!! 淑女がみだりに足を晒すなどッ」
紳士な彼は上着を脱いで私に渡すと、
──ぐしゃ。
「「「あ」」」
ケーキを盛大に落とした。
「アタシのケーキがぁぁぁ!!!!」
聖夜に響く、おねぇのイケボ。
こうしてボロアパートの怪異は増えていくのだ。
※前回に合わせてブラウンさんの(仮)は最初だけに変更しました。(多分どうでもいいだろうなと思われる注釈)