旦那さま、お嬢様は修道院送りにすべきかと
イオリア侯爵家のメイドは三姉妹の目付役として旦那様に報告書を送ることが仕事であった。
異国の地に単身赴任をしている旦那様に、今日も報告書を書く。
イオリア家の長女、マリアベルに関する報告書だ。
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【報告書】
イオリア家の長女であるマリアベル様はいつも
ダンスの稽古と礼儀作法の勉強をしています。一方、他の姉妹たちは
遊んでばかりいて時間を無駄にしています。マリアベル様は
自ら進んで妹たちに勉強を教えています。彼女の手伝いがなければ
落第してしまうでしょう。またマリアベル様は
休暇を返上してまで勉強に打ち込んでいますが、他の姉妹は
自堕落にサボります。マリアベル様は向上心というものが
豊富であるにもかかわらず、慢心することは
まったくありません。彼女がこの家にいなければ
イオリア家は立ちゆかないでしょう。そこで彼女のお小遣いを値上げすれば
よい影響が出るでしょう。結論としましてはマリアベル様へ
褒め称える手紙を送ってください。最大限の愛情をもって
しかるべき処置をしてください
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この手紙を送った後日、メイドは訂正の手紙を送る。
「旦那様、申し訳ありません。どうやらマリアベル様がわたしの報告書を勝手に書き足していたようです。お手数ですが、「奇数」の行だけお読みください」
報告書の奇数の行を読んだイオリア家の当主は、長女マリアベルを修道院送りにした。
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