22:わたくし、絶望を感じていますの……?
――――消えてしまいました。
「なんで、なのっ!」
「なんでと言われましても」
「ずっと大切にすると決めていましたのに」
「……治癒力です」
所有印が消えてしまいました。
アリアが滔々と理由を話していますが無視です、無視。私は絶望的な気持ちなのです。
「いやいや、たかだかキスマークが消えたくらいで絶望って。ですから、キスマークはおおよそ一週間で消えるものなんですよ。キスマークとはいうものの、ただの鬱血なんですよ。あと、それを隠すために毎回毎回化粧で誤魔化さないといけない私の苦労わかってます? 手袋はめたくないって言うからコンシーラーで誤魔化してんのに、ジャバジャバワシャワシャと手を洗いやがって! もっとお淑やかに洗ってくださいよ。何で手首まで泡だらけにしやがってるんですか!」
「感染予防?」
「……」
だって、手が汚いと病気の元だって言われるから、爪の隙間、指の間、手首、ちゃんと洗わないとでしょう⁉
「素直かっ! …………いや、素直だった。お嬢様、ものすごく素直だった」
アリアが床に膝をつき、ガクリと項垂れてしまいました。
大丈夫かしら? 風邪かしら? ちゃんと手洗いうがいしなさいよ?
「はいはい」
いつもの如く、適当に返事されてしまいました。
「はぁぁぁ。ユリシーズ様と次にお逢い出来るのはいつかしら? また付けていただきましょう」
「はいはい、ラブラブでよございますねぇぇぇ」
私は毎日でもお逢いして、いっぱいお話したいのですが、ユリシーズ様にはお仕事がありますし、わがままはいけませんよね……。
「お手紙でも書かれたらどうです?」
アリアが素晴らしい案を出してくれました。顔が『ケッ』とか言いそうな感じではありますが、素晴らしいものは素晴しいので採用しましょう。
うんうんと悩んで、何枚も何枚も書き直して、渾身の出来のラブレターを書き上げました。
「はい! 返事をもらってから帰ってきてね」
「却下ぁ!」
「え?」
「徐々に教え込もうと我慢していましたが――――」
待つほうの身と状況を考えなさいと怒られてしまいました。
そして、ユリシーズ様はお暇ではないので、直ぐに読めるものではないし、返事を書ける状況ではないかもしれない、と。
私、気づきました!
もしかしたら、今までのスンっとしたお返事は、書くお時間がなかった為なのかも、と。
「私、待ちますわ! いつまでも待ちますわ」
「はいはい、ありがとうございまーす」
アリアの適当な返事も気になりません!
だって、素敵なお手紙をもらえるはずですからねっ!
今日は何だか調子良き!(フラグ⁉)




