20:わたくし、バレバレですの……?
ユリシーズ様のお顔が……憤怒に染まっています。
無言でガツガツとサンドイッチを食べ進めています。
「ゆ、ユリシーズ様……その、お、美味しいですわね?」
「…………ん」
チラリとこちらに視線を向けて、こくんと頷いて下さいました。が、またすぐに憤怒に戻ってしまいます。
どうしたものか……と悩んでいましたら、ユリシーズ様が近くに控えていたアリアやユリシーズ様の従者たちに指示を出し始めました。
「しばらく二人きりに」
「ですが!」
ユリシーズ様の従者が護衛などは残すべきだと進言していましたが、ユリシーズ様は私も含め自分で護れるからと断固拒否しました。
「…………ふぅ」
渋々と辺りにいた全員が少し遠くに停めていた馬車に下がりはじめました。
二人だけになった瞬間、ユリシーズ様が重めの溜息を吐いたかと思うと、急に私の脇を掴んで持ち上げると、膝の上に乗せてしまいました。
まるで父の膝に座る幼子のようです。
「きゃっ! え⁉ あの……え? ひゃっ!」
後ろから腰に腕を回され、グッと抱き寄せられて、背中全体にユリシーズ様の体温が伝わってきました。
トクントクンと自分のものではない鼓動を感じます。
落ち着いたユリシーズ様の心音に対して、自分の心臓は爆発しそうなほどに動いていることが恥ずかしくなってきました。
きっとユリシーズ様にはバレバレなのでしょうね。
「緊張してるな。体の力を抜け」
いやいやいやいや、無理です。無理でしょう⁉ 何をほざいていらっしゃいますの⁉
「私たちは、あまりにもすれ違いすぎていたな」
「……はい」
「お互いのことを知ろうともしていなかった」
それはもう、完全に、私が、全面的に、原因! なので。大変申し訳なく思っています。
「そして、私は性急に進め過ぎなのだろうな――――」
「ひゅぉわっ⁉」
うううううう、うなじ、項に柔らかい何かが当たって、ちゅ、とか音がして、ちょっとピリッとしましたけどおぉぉぉ!
もしかして、もしかしなくても、恋愛小説で定番の『所有印』ですわよね⁉
そこにされると、私からは見えないのですが⁉
「…………見たい、のか?」
「見ていたいです! だって――――」
後ろから戸惑いの声が聞こえたので、振り返って所有印が見えるところに欲しいと熱弁しました。
ユリシーズ様のものなんだというマークなのですよ? ずっと見ていたいに決まっているではありませんか!
「………………ふぅん」
ユリシーズ様のお顔が、何故かとてつもなく妖艶なものになりました。
右手を指を絡めながら取られ、クッと引っ張られると、私の手首がユリシーズ様の目の前に晒されていました。
ちゅ、軽く一度のキス。
ぺろっ、何故にひと舐め⁉
ぢゅぅぅぅぅぅっ、ピリリッ。
先程より長めに吸われています。
チュポンと謎の艶めかしい音のあと、ユリシーズ様がにやりと笑いながら顔を上げました。
「これでいいか?」
「ふひゃいっ!」
大満足でございますっ!
「ん。そろそろ帰るか」
帰りの馬車は初めから隣同士に座り、指を絡めて手をつなぎつつ、手首の所有印を見つめては、ニヨニヨとしていました。
次話も明日朝にっっ!




