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16/24

16:わたくし、大丈夫ですわよ……?




「ねぇ、変じゃない?」

「はいはい、可愛らしいですよー」

「返事が適当すぎるわよ」

「はいはい、可愛らしいですよー」


 アリアに最終チェックをお願いしたのに、まさかのオウム返しでした。

 本当に大丈夫なのかしら?


「ほら、もうユリシーズ様が来られる時間ですよ。さっさと下りてサロンに行ってくださいよ」

「もぉー、行くわよっ」


 アリアに急き立てられながらサロンに向かいましたら、一人がけソファにお父様が座っていました。

 どうしたのでしょうか? お顔が真っ青ですわ。


「…………イザベル」

「はい?」

「いいか、今日のデートでユリシーズの機嫌を損ねたら、終わりだと思いなさい」

「……はぁ?」


 お父様が真剣なお顔をして、そんな素っ頓狂な事を言われるので、ちょっと呆れてしまいました。

 ユリシーズ様とは相思相愛になったのです!

 今日はそんな素敵な出来事を確固たるものにするためのデートなのです。

 何なら『初デート』と言っていいほどなのです。


「いやいや、あの愚行をなかったことにするとか……」

「煩いわよ!」


 横から不要な間の手を入れてくるアリアを一喝していましたら、お父様がソファから勢い良く立ち上がり、(わたくし)の両肩を握ると、ガタブルと前後に揺すり始めました。


「ちょ、っっ、ととと、お、と、と、う、ささ、ま、ま」

「よく聞くんだ――――!」


 奇跡的に両想いになれたのは素直に喜ばしい。だがしかし、今までの自分を振り返りなさい。今までのユリシーズの反応を思い出しなさい。またあのような態度を取ったならば、瞬く間に破棄されるぞ。元々こちらから頼んだ婚約なのだ、あちらにはわずかばかりの金銭的利点しかない。もういい年なのだから、自身の言動には細心の注意を払いなさい。何のための淑女教育だ。何を学んでいたんだ。くれぐれも、くれぐれも! ユリシーズを怒らせないこと。落胆させないこと。できるな?


「よく息が続きますわね?」

「イーザーベールー?」

「ひゃい! 申し訳ございません! 細心の注意を払いますわ」

「うむ。頑張りなさい」


 お父様が肩で息をしながらサロンから出ていかれました。

 ノンブレスでのあの長台詞、相当きつかったのでしょう。まだまだお若いとはいえ、なかなかの長さでしたからね。


「ふわぁぁ、全然伝わってないー」

「大丈夫よぉ、だって相思相愛ですもの!」

「…………」

「え、無言⁉ しかも、真顔⁉ え? だって、相思相愛よ、相思相愛! 大丈夫よ?」


 ――――だ、大丈夫ですわよね?

 



 眼鏡を外したの○太のような目になっている作者(結膜炎)

 明日もなんとか、ぎゃんばります!

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