14:わたくし、聞き間違いしましたの……?
ユリシーズ様から、まさかのお言葉。
『やっと将来が楽しみになったのに。イザベルとの未来が少しだけ見えて来たのに』
――――えぇぇぇぇ?
『また、君の事を好きになれたのに。……訳が分からない』
も、もう、好きになってもらえたのですか?
どういうこと⁉ えぇ? 聞き間違い⁉
◆◇◆◇◆
いつからだったろうか。
幼い頃は愛らしかったイザベルが、ワガママでマセた子供になり、最近は悪役令嬢のような振る舞いをするようになっていた。
出逢ったのは四歳の頃。
王城でのお茶会だった。
あの頃は、王子殿下の御学友を見極めるためのお茶会が数多く開かれており、私達は会場の庭園で毎回遊んでいた。
イザベルは私の後ろを走りながらついてきたり、庭園で笑い転げたりして、とてもかわいい子だった。
数年後、伯爵より打診があったとき、私は大喜びだった。
ふわふわと風に揺れる蜂蜜色の髪と、青空を映し出した湖面のような透き通っている瞳。小さな口をめいっぱい広げて、キャッキャと笑うかわいい子が婚約者になった。
私は、嬉しくて仕方がなかった。
だがしかし、現れたのは見た目はさほど変わりがないのに、言動がどこまでもワガママになったイザベルだった。
しかも、王城でよく遊んでいた私の事は全く覚えていなかった。
イザベルは、一時期体を壊していたらしく、優しく優しく扱うようにと言われた。
そして、高貴なご令嬢のように振る舞うことに憧れを持っているらしく、この年代ではよくあることだと言われ、辛抱するしかなかった。
高貴と高慢を勘違いしているのだと、これはかわいい勘違いなのだと……自分に言い聞かせた。
そうして、十年近く経つと…………物語に出てくるような『悪役令嬢』のように振る舞い出した。
私と伯爵たちで何度も何度も話し合った。
何年も我慢し続けた。
あの子はもういない。
この子は、あの子じゃない。
もう、あの子には逢えない。
もう、嫌だ。
嫌々ながら参加したあの日の夜会で、イザベルが自身の振る舞いが酷い事に気が付いた。
侍女のアリアがとうとう言ってしまったから、というのもある。彼女はああは見えるが、自分の首を掛けていた。
今まで黙っていた彼女が何故行動に出たのかは分からないが、彼女なりの理由があったのだろう。
やっと、やっと、終わりにできる。
そう思っていたのに……。
また、恋に落ちてしまった。
ちょいとプライペートがわちゃわちゃで…………大変遅くなりました。
次話からも、しばらく朝の更新になりますm(_ _)m