13:わたくし、好きになってもらえましたの……?
ユリシーズ様に婚約解消のお話をした瞬間、今までに見たことのない表情になられました。
驚愕、落胆、憤怒、様々な感情がユリシーズ様のお顔に乗っては消えていき、最後には無表情になってしまいました。
無言のままの異様な空気で二曲目のダンスを終えると、ユリシーズ様に左の二の腕を掴まれ、引き摺るようにして馬場まで連れて行かれました。
「ユリシーズさま?」
「乗るんだ」
「え、あの……」
どこに行くのかを聞きたいけれど、とても聞ける雰囲気ではありませんでした。
無言のまま馬車に揺られること二十分ほど。
到着したのは我が家でした。
「アリア、サロンを借りたい。伯爵には夜会から戻られたら説明をする」
「ほ? へい、承知しました。どうぞ」
――――アリアァァァァ!
返事が軽すぎます。そして、何を当たり前のように案内しているのですか。
いやまぁ、案内しなくともユリシーズ様はサロンの場所など昔から知っていますが。
ずんずんと廊下を進み、サロンに到着すると、ユリシーズ様が「やましいことは何もしない」と言い、ドアを完全に閉めてしまいました。
未婚の男女が二人きりになるのは望ましくなく、サロンなどで話す際は必ずや執事や侍女をドアの側に置く必要があります。
ですが、今回は完全にアリアをサロンから排除してしまいました。無表情で。
「ユリシーズ様?」
後ろに撫でつけていた髪の毛をガシガシとかき混ぜながら、ハァ、と重たい溜め息を吐かれてしまいました。
「あの?」
「解消は、イザベルの…………本心か?」
「え……」
本心ではない、といえば本心ではないし。本心といえば本心ですし。
「どっち?」
何故に私が追い詰められているのでしょうか?
まぁ、追い込まれてはいましたが。
「答えたく…………ありません」
「やっと将来が楽しみになったのに。イザベルとの未来が少しだけ見えて来たのに」
――――え?
「また、君の事を好きになれたのに。……訳が分からない」
――――え、えぇぇぇぇぇ⁉
すみません……寝落ちしてました(泣)
明日こそは定時で(´;ω;`)