9:潮干狩りと○○○○
「穴を見つけて、塩をかける」
ざらざらっ。
「穴に手を添えて、構えたまましばらく待つ」
…………にゅっ。
「あっ!出て来た!」
ぎゅっ。
んぎゅぎゅぎゅーっ、すぽっ。
「引っ張らずに、掴んだまま待つのがコツなんだ。
するとこんな具合で採れる」
「面白ーい!」
本日は時期外れの潮干狩りだ。海鮮バーベキューが続いているので、魚を避けた。
で、私とカールくんは今はマテ貝を狙っている。
ユリシーズさんとアカザさん達はあさりとか、他の貝を探すチームに分かれた。
◇
「あははっ。海の貝なのに、塩かけたら出てくるの、面白ーい」
「だよねー」
環境が良いのか、日本では採った事がない大きなサイズのマテ貝が次々採れて、確かに面白い。
「この貝で何種類か料理作るから、頑張ってたくさん採ろうね」
「うん!たくさん採るよ!」
あ、そういえばこの国の海岸には、琥珀が漂着するんだっけ?
琥珀も採れたら良いな。
お父さん、お母さん、サーラちゃんのお土産にできたら良いなと思うので、改めて時間を取るとしよう。
◇
しばらくカールくんとせっせとマテ貝採りに勤しむと、物の三十分とかからずに二十個以上採れた。
一個一個が大きいので、食いでがありそうだ。
「たくさん採れたから、マテ貝採りはこれで終わろうか」
「えー、残念。もっと採りたいよ」
「一度に食べれる分で良いんだよ。欲張っても、食べられる量は変らないんだから」
「うーん、分かったよ」
「他の貝がまだそんなに採れてなかったら、そっちを採ろう。アカザさん達から離れちゃったから、あっちへ戻ろうか」
「他のはまだ採れるの?戻ろう戻ろう!」
ぺったぺったと、重く湿った砂浜を歩く。ビーチサンダルの代わりに履いている履物が歩き難く、よろけた。その時、目の端に何か光る物が映った。
「あれ、何かな?」
カールくんはどれどれ?と辺りを見回して『あれ』を探している。
◇
「デカッ」
たぶん何かが光ったであろう辺りに近づくと、それは琥珀だと分かった。ただし、とても大きい。
赤ちゃんの握り拳よりも大きそうな塊だ。
琥珀に二色なんてあるんだろうか?緑の部分と琥珀色の部分がある。
もしかしたら、琥珀ではないのかも?
「わー、きれいな石だね」
「この国の海岸には琥珀って宝石が流れ着く事があるそうだから、琥珀か、他の宝石かもね」
カールくんにその塊を渡すと、光にかざしたりくるくる手のひらの中で回して遊んでいる。
アカザさん達と合流すると、アカザさん達も貝の他に琥珀をたくさん拾ってた〜。
◇
「え?琥珀が多い時は、どこかで大きな災害が起きた後が多いんですか?」
「ああ、だいたいの時は海のはるか向こうの国の、地震ってー地面が揺れる事だったり、高波があった年だったり。
何かしらあった年が多いね」
海底を流れる海流に何かあった年ってわけでもないな。高波なら天候で起こる事もあるし。
まあ海を監視してもらって、異常に波が引かないか見ててもらうくらいしかできないかな。
「ところで優さま。優さまが食べてるのって……」
「生魚だよ。刺し身。刺し身作るのに良い包丁がなくて大変だった」
「なま、ざかな……」
「……」
なぜかみんな、テーブルの反対側に寄ってしまった。
食べてみるとか言わないよ。
牡蠣は生でも食べるけど、牡蠣以外の生食は無理の方が理解に苦しむ。
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