81:大改革!
「同じ植物でも日向で育った物は良く育ち、日陰の物はひょろひょろになっているのをご覧になられた事がありませんか?」
「それは見た事がございますが…」
「では長期間、地下牢や日当たりの悪い場所に収監されている方が体調を崩すのはご存知ありませんか?」
「う、うむむ…っ」
国王陛下、王妃陛下、それにアッシュ卿にご相談して、今日の場を設けて頂いた。
集まって頂いたのは国王陛下、王妃陛下、貴族院の代表、高等司法院の代表、王宮医の代表、王宮の料理人さんの代表、それに主だった宗教の代表の方達とかなりの人数だ。
主だった宗教と、いつくかの宗教が存在しているのは各国を渡り歩く冒険者さんたちの存在が大きい。
他国だと、傭兵さんの存在もある。
後、この国の成立ちだ。食料を求めて流れ着いた色んな種族の方たちからなる多民族国家なのも見逃せない理由との事。
「我ら獣人族の女は、薄暗くお産の気配や匂いの漏れにくい場を好みますぞ?」
そう、獣人族の方はお産が軽い方が多く、双子を生む方も多いのだ。そして元気に育つ子供も多いので、お産に関しては獣人族さんのマネをしているんだね。
何より宗教の出来たであろう頃。その頃は今より町は小さく、たぶん集落レベルだったと思う。中世くらいの今より、もっと人と獣の距離が近かったって事。
そんな状況でお産の気配がすると、肉食の獣や魔物の襲撃に遭う危険性が高かったんだと思う。又は実際に高かったんだ。
これではいけない、じゃあどうする?となり、守りやすい小さな洞窟とかでお産をしていたのが形を変えて今の形態になったと推察される。
獣としての部分の血も、そういった場所を好んだんだろう。
昔の他の種族や宗教の方がそれを知って、理由は分からないけどこうするのが良いみたいってジンクスになったり、中には宗教に取り込まれて少し変質しながら時は過ぎて…。
現在の妊婦は特に日焼けはとか、妊婦の間になったんだ。
色んな方の逆鱗に触れないよう、物凄く神経を使って言葉を選びつつ、王宮の図書室にあった文献も使って、一つひとつ説明してゆくのは気力の消耗が激しいわ。
一番苦労したのは、生理と妊娠についての説明だった。私しか説明できないし、さすがに恥ずかしくて逃げたくなったけど頑張ったんだ。
男性たちにはタブーをこんな場でとブーイングの嵐だったから、本当に頑張って話した。
誰か褒めてー?
◇
「なるほど。食事もですか。それは我が獣人族の女も当てはまる。
むくみや血の詰り、血の管の破裂、心臓の不調、骨が折れやすくなったり歯がボロボロになったり…。多くが該当する」
食事の事やマタニティコルセットの代わりに犬帯の紹介と使い方等、代われる所はお父さんが説明した。
なぜお父さんが犬帯の巻き方を知っているんだ?と聞いてみたら、「地球の嫁さんがこれが一番楽だって使ってたんだよ!体が大変だって時は、巻くの手伝ってたしな」と、真っ赤になってまくし立ててた。
逆に私が詳しいのもおかしいと言われたが、確かに…。
私は早くに伯母さんを亡くした従姉妹がうちの母と仲が良くてね。特に妊娠してからは、母親に相談したい事があると母を頼って来てたから詳しくなったんだよーっ。
「根回しと言うには大規模に一堂に会し過ぎだが、貴族院も高等司法院も問題なく通過しそうだな」
「ええ、各宗教の方からの横槍も入りませんでしょう」
おっと。つらつらと余所事考えてる場合じゃなかった。
「草案を作るのに、図書室に籠もった甲斐がありました」
「こんなに本を読み漁ったのは、大学の卒論以来だぜ…」
二人でしばらく本はもう見たくないと笑い合うのも仕方ない量を、この一週間で読んだ。
余談だが、お父さんはいつの間にか老眼が出てるのか?!と、違うダメージも受けてた(笑)
私はさらにその合間にだな。軍関係の方にユリシーズさんが放った魔法の方法を聞かれたり、レッドルチルのお守りを色んな方に頼まれたりと忙しさに拍車がかかっていた。
ユリシーズさんには戦争で使われたくないから、絶対に誰にも言わないでと口止してから教えたからね。
ユリシーズさんが約束を守ってくれたので、目が覚めてから全部こっちに来たよ。どんなに聞かれても、あれは言わない。
軍事利用されて、人に向けられたくないから墓まで持っていく。
「国王陛下、王妃陛下。
審議の結果、我らはこの案を支持いたします」
良かった!これで次は貴族院での演説で通れば、最後は高等司法院で受理されるのを祈るだけだ。
◇
「犬を追いかけていて越境して、戦争になりかけたとな…」
「豚を殺してあわや戦争…」
「フジョタイという、女性だけの部隊にあまぞ…ねす?」
「女帝以外の方は、ピンク色の使用禁止…」
「ヘアスタイルが庭園…?」
「浴室で男性と対面ですの?!」
「地球にもヘンな歴史が結構あったんだな…」
最近、食事の時に地球の話を聞かせてほしいと仰られるので、変わりネタをお話してみた。
ええ、地球にも変わった歴史の一ページが何枚かはあるんだよ。
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