7:海だ!
「うーみーー!」
しばらく前から潮の匂いが漂っていたが、やっと海に到着だ。
時刻は昼過ぎ。時は九月の半ば。
海水温は潜るにはやや低いだろうが、それでもしばらくは遊べるだろう。みんな泳げないので、一人で行くんだ〜!
「ちょっと泳いで来るね!」
「優さん?!」
「師匠?!」
銛を持って磯辺に向かって走り出すと、そのまま海へジャーンプ!
体から1センチのところで結界を張ってある。なので、ゴーグルやウェットスーツはいらない。
ハーフパンツとキャミソールで海にどっぶーんと飛び込み、素潜りだ。
◇
潜ってみると、魚が擦れていないので取り放題なのに驚く。聖魔法で食べられる魚を見分け、人数分の魚を捕るのだが、大きな魚七匹があっという間に捕れてしまった。
こっちへ向かって来た、海のギャングとも言われるうつぼっぽい魚もえい!
磯の上に戻りながら、さざえみたいな貝も拾いつつ歩く。
あわびっぽいのもゲット!
ほくほくと貝類を拾っていたら、ぼふっと何かを被せられた。そしてそのまま、キャンピングカーまで連行されてしまった。
何だ何だ?!
◇
「まったく!なんてー格好で外へ飛び出すんだい!
裸も同然じゃないか!」
……ただいま大絶賛、お説教中である。
アカザさん、アカギさん、ナハルさん、リラさんに、それはこんこんとお説教されている。
・キャミソールにハーフパンツなどという破廉恥な格好で外へ飛び出すとはどういう事だ!
・仲間には男もいるのだから、破廉恥な姿になるなどあり得ない!
・海にも魔物はいるのに、危機感がなさ過ぎでしょ!
・溺れて死んでもおかしくないのに、海に飛び込むとはどんな了見!
などなど……。
一時間ほどこってり搾られて、やっと開放してもらえた。
もちろん、最後に謝ったよ。
◇
「いや、それには触れないでいてもらう方が良い」
「オレはちょっと驚いただけだから、大丈夫だよ!」
まだ子供のカールくんは大丈夫らしいが、結婚適齢期の上限を過ぎたばかりのユリシーズさん(二十三歳)には、ちょっと微妙な反応を返されてしまった。
夜は皆軽い食事が希望だが、美味しい海鮮バーベキューでもしてご機嫌直してもらおう。
◇
「ん〜、うつぼって美味いんだね!」
「さざえも美味しいよ」
「あわびも、なんて美味しいの」
リラさんと男子二人は黙々と、だが凄い勢いで食べている。
うつぼを食べる地域は少ないが、実はとても美味しいのだ。
ただ、タコみたいにしっかりぬめり取りが必要なのと、はもみたいな骨切りが必要で、食べるにはなかなか骨が折れる魚ではあるけど。
「これは海の近くにいる間に、また食べたいねえ」
にひっ。ちゃんとお願いしたら、また海に入れそうだ。
◇
おおー、青い!町も町の人の服も青い!モロッコのシェフシャウエンを連想させる漁業の町、ブル・マーリン。
「ふあ!優さま、どこもかしこも青いね!」
「壁の薄い青と、屋根の濃い青のコントラストのきれいな町だね」
アカザさん達は以前訪れた事があるそうで、あまり反応はない。
ユリシーズさんも反応はないので、私とカールくんはお上りさんみたいになっている。
「ここは町全体が海の神さまのご加護を願って、海の神さまの青に染めた町なんだよ」
「そんな願いのこもった色の町なんですね。とってもきれい」
そんな美しい町の中をキャンピングカーで進み、商業者ギルドで紹介してもらった、整地された空き地へ向かう。
しばらくこの町に滞在して、海を満喫するんだ。
ふふふ。あれとかこれとか色々やりたい事があるんだ。遊ぶぞ〜!
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