表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
38/85

38:寄り道決定

「うーん……、ひまだ……」


 つい、口の中でこぼしてしまった。

 らくのうかいたくむらを出て三日。ずっとキャンピングカーで移動しているだけなので、さすがにひまだ。


 カールくんに勉強を教えるくらいしかする事がないので、ひまを持て余している。


 たまにベッドの上でストレッチとかはするが、運動量としては物足りない。


 あ、そうだ。ひろっていたアンバーを、何かに加工しよう。形は整えてもらっているから、アクセにしよう。


 インントからラジオペンチみたいな物やワイヤーの残りや、あれこれとひつような物を取り出す。もちろん、せいけいしたアンバーも取り出す。


 ふんふん。これは大きくてちょっとゴツいから、お父さんに。んー……、お父さんの、ワンポイントのブレスレットにでも仕上げよう。

 ワイヤーでアンバーをそうしょくしながらいてー……。あ、ちょっとかわくなったな。くワイヤーをやしてっと……。


 ◇


ようなものだね。それは……、ブレスレットかい?」


 いつの間にか楽しくなって、そうとう集中していたらしい。みんながこっちを見ているのにも気付かなかったよ。


「そうです。海岸でアンバーをひろったので、それをお父さんが身に付けられるようにブレスレットにしてます」


 キナル王子が手を出されるので、できたばかりのブレスレットをその手に乗せる。ゴムがあれば、ゴムひものブレスレットにするけど、それだとすぐに終わるから。作るのを楽しむなら、ワイヤーは良いね。


「これはツヨシの物か」


「そうです。わりかんたんなので、作ってみますか?」


ユウさま!僕も!」


 ごんだが、ユリシーズさんもアンバーを取り出しているので作るらしい。


「じゃあ作りましょうか。キナル王子は、この中からお好きなアンバーをお選び下さい。良ければこのさんもどうぞ」


 キナル王子とこのさんがアンバーを選ぶと、ワイヤーワークこう開始。


 いくつか曲げかたき付けかたく作るコツを教えてあげると、みんな自分の世界に入ってコツコツ作品を作り始めた。私もそれにならって、お母さんのネックレスを作る事にした。


 ◇


「……!出来た!」


「早いね。うん、たるみもないし、じょうに出来てるよ」


 カールくんのブレスレットを手にして確かめる。はじめてとはとても思えない出来栄えだ。


「へへ〜。これね、ユウさまにあげる!」


 なんかブレスレットのちょっけいが大きいなと思ったら……。


「ありがとう。じゃあ、これをカールくんにあげる」


 お母さんのネックレスを作り終え、次の作品にかかっていて出来上がったブレスレットをあげると、カールくんはとても喜んでくれた。


「あ、俺もこうかんしてほしい……」


「私もしてほしいね」


 ユリシーズさんとキナル王子もこうかんしたいらしい。


「えーっと?作るから待って」


 こうかんしたいと言うのなら、おうじるのが一番手っ取り早く静かになるだろう。そういうおもわくで、せっせとブレスレットを二つ作りあげる。

 もちろんこうかんすると分かっているので、ユリシーズさんのイメージと、キナル王子のイメージで作る。


 ◇


「こっちがユリシーズさんの。で、こっちがキナル王子のイメージで作ったブレスレット。どうぞ」


 四人には、もしかしたらびて、いつか使えなくなるかもしれない事を伝えておく。どうなるか分からないけど、ねんのために伝えておかないとね。


「分かった!びても大事に取っておくんだ!」


 カールくんの明るさにはんし、大人男子二人はちょっとざんねんそうな顔をしている。そんないいものじゃないんだから、そこまでたいしないでもらいたいものだ。


「オオシロほうはく、こういった物がお好きでしたら、ここから近い山でめずらしいこうせきが取れますよ。光りによって、色が変わるそうです」


 !!それはもしかして、アレキサンドライト?!


「ああ、そう言えば、小さなこうしょうの山がこの近くにあったね。『太陽と月』、だったかな?」


「ええ、その宝石です」


「ふ。ユウじょうはとても欲しそうだね。帰る日にちは決まっていないから、少し寄ろうか」


「決まっていないだけで、早く帰らなくてはならないのでは?」


「雪でなんした。ただそれだけだよ」


 顔に行きたいと絶対に書いてあったのだろう。キナル王子はくすりと笑うと、国営のそのこうざんへ行くと決められた。


「ありがとうございます!うれしいです」


よろこんでくれるなら何よりだよ」


 こうしてちょっと寄り道する事となったが、本当に楽しみだ。


 ◇


 こうざんへ寄り道する事はお昼(きゅう)けいの時、みんなに伝えられた。そしてしっかり地図を確認し、ルートがせんていされた。


 おうふくに一日もかからないくらい近くを通るらしいので、ちょっとざいあくかんやわらぐ。

 それでも山へかうので、食料は多めに持って行く事になるよ。近くの村で食料()きゅうする事も全員にでんたつされた。


「では、しばし寄り道しよう」


「はっ」


「すみません。よろしくお願いします」


かいてきな冬の旅をさせていただいているのです。お安いご用ですよ」


「あたしらはユウさんに付いて行くだけだから、どこへいつ行ってもかまわないさ」


 みんな、ありがとう。ちょっとだけ寄り道しよう。

お読み下さって有難うございます。

お楽しみ頂けましたら幸いです。


面白かった、良かったなどお気楽に、下の

☆☆☆☆☆

にて★1から★5で評価して下さいね!


続きが気になった方は、ブックマークして下さるとすっごく嬉しいです!


感想や応援メッセージもお待ちしてます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 魔法素敵。老眼関係ないんだろうな 金属アレルギーのせいで 市販品身に付けられなくて ピアス等は天然石の組み合わせの 簡単な物を自作していましたが 見えにくくなってやめてしまったので 少し羨ま…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ