表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/85

37:酪農開拓村

 アーノルドさまのお城を出て二日目。いつか私の言った、ろうしゃなどの仕事がない人は、らくのうとかの仕事にけないかと言った事で始まったぎょうの一つ。かいたくむらの一つに着いた。


 ここは馬と牛、ひつじのらくのうを中心としたかいたくなのだそうだ。この辺りは麦は足りているが、らくのうが全然足りていないので、そっちのほうに力を入れた村だって。


 ろうにと、キナル王子はたくさんお肉や小麦を用意なさっていた。量が量なので、私がいなければだれかに運んでもらう事になったという量だ。それでもまだ足りないだろうから、それは村でりをしてまかなう。クーとルーの出番だね。


 村長さんやえいへいさん達は、急なキナル王子のらいほうにとてもおどろいていらした。

 事前に連絡があってもおどろくだろうが、いきなりはさらにおどろくよね。


 ◇


「食料もこころもとないが、おおかみなどのしゅうげきが多いのだね」


「はい。まだ人手が少ないので、毎晩()しょうの任に着ける者も少なく、りょいたしております」


 三年は国から充分な量の小麦とじゃが芋と肉の支給があるそうなので、足りないのはおかしいとうなるキナル王子。それは今考えてもかいけつしないのでりゅうにして、思考をがいじゅうほうに移された。


 しょうたいニつで六十人がこの村にちゅうとんしているそうだが、いかんせんほうぼくが広い。なかなか手が回りきらない。

 つうは一(ぶん)たいかニ(ぶん)たいけんのところ、しょうたいニつのけんと、かなり多く人員を割かれていてもこんなじょうたいだそうだ。

 交代で休みも取るし、朝も昼も夜も働きづめって無茶ももちろんしないのでかたない。


「まだ人にがいが出ていないのがすくいだね。がいじゅうけんは、そうきゅうに手を打とう」


 調ちょうではそんなにおおかみはいなかったって事は、なわりが調ちょうの後で出来たのかも。


 ◇


「ふう……。後一(むね)


 村の中を見て回っておどろいた。いくらきゅうごしらえといっても、あまりにまつすぎる小屋にみんな住んでいたのだ。すきかぜも入りたいほうだいだ。

 良くとうしゃが出てないものだと、おどろくレベルのあばらにみんな住んでいる。


 お父さんの家はこう過ぎるのと、建つまでに時間がかかってだが、すきかぜのない家なら作れる。


「三(げん)なが


 ぼ……こ、ぼこぼこぼこっ。


 村の人にどこに家があると便べんか聞いて、そこに京都のながをイメージした物を土魔法で作って五(むね)目。屋根に明り取りのガラスまどめて、げんかんドアと裏口のドアを付ければ完成だ。


 さいしょつうひらの細長い家を作ったが、ひらの三(げん)ながを作っても、どくりつした一(けん)たてものを作るのと変わらない魔力で作れた。なら、三(げん)なが作るよね!


 まどガラスはえいへいさん達の中で、ガラスを作れるスキルのあるかたが作って下さっている。まどめて下さるかた、部屋のドアを付けて下さるかたもいる。

 一人で全部しなくて良いので、とても助かった。えいへいさん達、ありがとうございます。


 広さは八(じょう)の4K。一部屋、あるいは二部屋はやとっている人の部屋になるので、家族の家としてはそこまで広くない。それでも今住んでいる小屋よりは、ずいぶん広くなる。


「やっぱりしょうの魔法は、マルチのレベルじゃない……」


「マルチ?マルチではこんなにぽんぽんと……。いや、インントつうではないのは分かっていたな……」


 がいが少々うるさいが、気にしたら負けだ。


「後はえいへいさん達の宿しゅくしゃですね。どこに建てますか?」


「まだだいじょうなのか?」


「明日でも構わないのだよ?」


「みんなのためにがんって下さってるえいへいさん達の宿しゅくしゃですよ?今からちゃんと作ります。

 マジックポーションもマジックハイポーションもありますから、だいじょうです」


 えいへいさんに宿しゅくしゃを建ててほしい場所へあんないしていただく。各部屋に台所はいらないと。ふむ。部屋も八(じょう)もなくて良い?ふむふむ。


「一(かい)に食堂と共同(よく)じょうかくかいに共同トイレ、一部屋六(じょう)の三(かい)だてアパート」


 ぼこっ。ぼここぼこぼこぼこっ。


「でか……っ」


「……、これは、マルチの土魔法で作るたてもののサイズだろうか……?」


(ユウ)さんはおかしい」×4

 +

(ユウ)さま、おかしい」


 文句の一つも言いたいが、そんな言葉を聞いている内にさすがにくらっとして、ユリシーズさんにき止められてしまった。そして、マジックポーションを差し出された。


「ありがとう」


 良いから飲めと、マジックポーションのふたを開けて差し出され直されたよ。ありがたく飲んで回復する。


 ◇


 みんな荷物は少ないので、すぐに引っしは終わったそうだ。少しゆうのあるていにはヒーターがあり、ヒーターが良く効くとよろこんで下さった。


 そしてキナル王子からの小麦や肉も配られ、みんなすきかぜのない家でしっかりした食事に疲れをいやせたそうだ。


 ただ、浴室の使いかただけは色んなかたから聞かれた。そういえば、イメージの中につうのお風呂場もふくまれてたわ。

 うなぎのどこなので細長いが、てんまどが歩き土間に二箇所、真ん中三つの部屋にもてんまどがあるので、とても明るいのは好評だったよー。


 ◇


 夜まで少し時間があったので、夜に備えて休む。がいじゅうたいさくが何かないか、夜に見て周るためだ。

 クーとルーがいるので今夜は出ないかもしれないが、明日出発するので今夜しか時間がない。


 えいへいさん達が夜のしょうで交代されるのに合わせ、私、ユリシーズさん、アカザさん達も混ぜていただいた。口々に宿しゅくしゃのお礼を言って下さるのがこそばゆい。


 あ、キナル王子とカールくんはお留守番。しょうなんて、王子がなさる仕事ではないでしょ。

 カールくんは戦うすべもないし、まだ未成年だから当然お留守番。

 いじけられたが、コンテナハウスにいてくれるほうが安心だよ。


 明け方近く、森に近いほうぼくいのししが出た。魔物のいのししでかなりの巨体だったが、聞いていたおおかみは朝になっても出なかった。やはりクーとルーのおかげかも。


「クー、ルー。この辺りのちくに、うーん。ちくが分からないかもだな?この辺りのものに手を出すなって、大っきい声でとおぼええしてもらえるかな?」


 〘分かったー!〙


 〘ここのものユウのー!〙


 いや、何かちょっとちがうが……。ま、いいや。


 これ以降、何年もこの村ではほとんどがいじゅうが出なかったそうだ。めでたし、めでたし。

 ねんためわたししたかみなりくず魔石のわなは、ものをとるほうかつやくしたとも聞きおよんだ。

お読み下さって有難うございます。

お楽しみ頂けましたら幸いです。


面白かった、良かったなどお気楽に、下の

☆☆☆☆☆

にて★1から★5で評価して下さいね!


続きが気になった方は、ブックマークして下さるとすっごく嬉しいです!


感想や応援メッセージもお待ちしてます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 流石にそんな不埒者は居ないとは思うが 中抜きされてる?単純な試算ミス? 色々食べられて主食これだけと 色々足りんから主食多めにとか 不安が過ぎて備蓄多めとか。 机上と現場の違いなのかな? 後…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ