3:合流
「おーい、こっちだよ!」
Bランク冒険者パーティー、紅き剣のリーダー、アカザさんが手を振っている。
ここは、アッレロ伯爵のお城を出て半日ほどの距離にある、黒い森と呼ばれる森のそばの町の入り口だ。
「アカザさーん! カールくーん!」
私も手を振り返す。
「みなさん、お久しぶりです」
「予定通りの到着だね」
「これでも寄り道も、雨で止まったりもしたんですよ」
アカザさん達にリジー嬢を助けた事や、お城に招かれた事を簡単に説明する。
「ああ、あの辺りは、強い風と一緒に雨が降る事が多いからね。お姫さん一行も、大変だったろうね」
「馬車が酷く揺れるので外へ出ていて、その時、馬車が横転したそうです」
「お貴族さまの馬車が横転なんて、すげーな! ちょっと重りを入れたりしてて、横転しにくくしてあるって習ったぜ」
「止めた場所も、悪かったのかも知れないね」
◇
再会を喜び合ったら、合流の目的を果たさなきゃね。
「アカザさん、カールくんを御者として、このまま連れて行けそうですか?」
「それだがね。この歳で、まだ見習いも始めたばかりだと聞いたが、この子なら旅に連れて行っても問題ないね」
「やった! じゃあオレは、優さまに着いて行っても良いよね?!」
「約束したからね。一緒に行こう。
帰ったら、また寺子屋に通う約束も守るんだよ」
「もちろんだ! 寺子屋楽しいもん、また通うよ!」
カールくは家で、厩務員の仕事を覚え始めたばかりの男の子だ。
今回の旅に同行したいと引き下がらず、アッレロ領まで来られるかテストする事になったのだ。
そのカールくんの護衛と、テスト官をアカザさん達のパーティーにお願いしていた。
「じゃあ、旅には紅き剣のみなさんと、カールくんも加わった七人で、ですね。
宜しくお願いします」
「宜しくお願いします!」
人は紅き剣のリーダー、アカザさん。アカザさんの妹さんのアカギさん。魔法使いのナハルさんと、ヒーラーのリラさん。それにカールくん。
馬が月毛の個体と、薄墨毛の個体の大きな子達。
以上のメンバーが増え、改めて旅が始まる。
目的地は海。魚介に飢えているので、海で海産物を堪能する。
その前に、色々魔物を冒険者ギルドへ持ち込んで身軽になる。
◇
「臨時収入が凄い……。上の冒険者を目指す人が多いのが分かるわ……」
「なかなかの身入りだね」
「森を突っ切る道や、魔物が多いポイント避けてこれならな」
人喰い馬だ牛だのの魔物の群れに遭遇したので、何匹か倒して間引いたくらいなのだが、本当に報酬が多い。
「狼ほどすばしっこくなくても、デカくてやっかいだからね。
それに、隊商なんか襲われると、食料問題に関わる事もあるから、報酬が高目なのさ」
動物の馬や牛より繁殖力も高いので、こまめに数を削っておく必要があるのも関係しているそうだ。
「はあー、なる程」
「まあ、叙爵の理由になった、水分分離乾燥法なんかの報奨金より、ずいぶん安いだろうがね」
あれらの報奨金は私が生きている限り、年金として支払われる事になっている。
しかも、国とギルドから。
金額が金額なので一括は無理だし、かといって支払わないなんて事はあり得ないんだと。
そのくらい、大きな金額の報奨金になったのだ。
「あれは比べる物ではないです」
「ま、そうだね」
何か、私と違う意味でなっとくしたっぽいが気のせいだろうか?
何はともあれ、海へ向かう準備をしよう。
食料やポーション絆創膏、主力武器や予備武器の確認、その他諸々の確認をする。
使った物や足りなさそうな物、改めて必要そうな物を買い足す。
みんなに配っているお弁当は、誰も食べていないので、お弁当は作らなくてすむのが有難い。
「これで買い忘れとかないかな?
明日から海の町を目指せる?」
「ああ、明日からで大丈夫だよ」
「じゃあ、明日。朝ご飯が終わったら、海の町を目指して出発です」
「おー!」
あ。夜にお父さんに連絡するの、忘れないようにしないとな。
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