23:ナイショのナイショ
『今度は何をなさるお心算ですか?』
『無茶だけはしないで下さいね!』
旧王都にいる、私のギルド関連のサポートをしてくれるバディさんお二人に釘を刺されたけど、ちゃんと設計図を送ってくれるのは相変わらず優しいなあ。
……、などという電話から後、私はユリシーズさんの体育と称した剣術の授業の間に、せっせと設計図に沿ってあるものを作っている。
大きい物なので、教会の一角をお借りしているんだ。そして内緒にしておきたい。
そうそう!統括ギルドの職員ギースさん、本当にできる人だった。
何と、足踏みミシンの試作を一台押さえ、この教会に設置されていた!
試作の抽選によく気付いて応募できたな。
まあそんなミシンがあったからこそ、これを作る気になったんだけどねー。ふふふっ。
カタカタと小気味よい音を立てて、ミシンをかけて行く。大きいから押さえておくのが大変で、ちょっとすると腕がぷるぷるするんだよな。
設計図を何度も見て、本当に間違いがないかこまめに確認して作業を進める。
材料は、村のギルドにほとんどあったので助かった。ないものは取りに行くか、発注しなければならなかったが、待てばすぐ手に入る物ばかりだった。なので、作業にはすぐ取りかかれた。
唯一の誤算は私がミシンを使えると知れ渡り、使い方を聞きに来る方が多いのが少々困った点だ。作業を中断する事が、とても多いんだよ。
「ふう、今日はここまでかな。そろそろ片付けないと見付かる」
ミシン周りをきれいに片付け、作っている物を無限収納にしまえば完璧な証拠隠滅だ。
ナイショ、ナイショ。ふふふ。
無限収納が大きくて良かった。
これ、畳んでも直径三十センチ、長さ五メートル程度あるから無限収納がなかったら隠せなかった。
出来るまでは畳まないので、余計に嵩張るんだあ。
早くできないかな。十六歳から少しずつ、ちゃんと資格も取っているくらい好きなんだ。
出来るの楽しみ!
「師匠、終わったぞ」
うあっ?!驚いた!
「お疲れさま、じゃあお暇しよう」
◇
「なんじゃ、これは?!」
「ドア付きの、個室カプセルです。隙間がないので、冷暖房が良く効きますよ。
しっかり休んで頂いて、まだまだ長生きして頂こうと思って」
発注していた個室カプセルが届き、タドリィ親方のお宅へ設置に訪れたのだ。
前から大きなプレゼントを届けますとは言っていたが、想定外の大きさに驚いていらっしゃる。
宿泊施設アルブルで使っているのと同じ仕様だが、しっかりしたドアだけ付けてもらった。
しっかりしたドアを付けたのは、ご自宅に手は入れないので、個室カプセルの中の空調の効きを良くするためだ。
「まったくこんな大きなモンを……」
「まあまあ、兎に角入ってみて下さい。
冷暖房のスイッチは枕元です。
部屋の明かりは入口のここと、枕元の二ヶ所あります」
ぶつぶつ口の中でまだ文句を仰っていたが、中に入ってベッドに寝転べば、笑みをたたえた顔になっている。
「気に入ってもらえました?」
「ふん。ジジイを驚かせおって。
……、有り難く受け取っとくわい」
「驚かせたお詫びは、美味しいお酒でしますね」
「いや、それはワシが用意するわい。近いうちに来ると良い」
「はい、また来ますね。
お仕事中におしかけてすみませんでした」
◇
タドリィ親方のお宅を後にし、今度は借りている家へ。
そっちはそっちで大物が届いている。
二十フィートのコンテナハウスだ。
畳で七・七畳ほどの広さになる。
こっちは元々お父さんの作った断熱材や床暖房が標準装備されているので、快適に過ごせるのは折り紙付きだ。
お風呂とトイレが少なくて大変なので、思い切って購入した。無限収納に入れば、帰り道もゆったり過ごせるのも捨てがたかった。
て事で試してみよう。
「無限収納」
しゅぽっ。
うん。入ったよ。
前の馬車に続きユリシーズさんは苦笑いだし、初めて大きな物を収納するのを見たアカザさん達とカールくんは固まっていた。
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