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杭州がこんなに観光地してるなんて聞いてない!

 杭州駅周辺は人も多く、雑多な感じである。ひとまず今晩の宿を決めてしまおうと色々あたってみた。が、なんだかよくわからないが、60〜90元程度の安い宿で尽く断られてしまう。うーむ、困った。駅前に座ってとりあえずボーっとしているとおばさん軍団に囲まれてしまった。皆、首から資格証のようなものをぶら下げている。もしかしたら旅行者と宿の仲介人がこのおばさん軍団ってこと?。一人のおばさんに宿に連れて行ってもらうが200元と高すぎる。ブーブー文句を言ってると、携帯電話を渡されて「こいつと話せ」と言う。電話の向こうの人は英語が話せるようだが、私は話せない。うーむ、困った。中国語英語日本語の異種格闘技に疲れ果てた私は188元でその宿に決めてしまった。チェックインの際にも受付の女性に軽くあしらわれ、部屋で一人グズグズしているのだ。観光地は外国人に慣れすぎている。上海の郊外が懐かしい。

 部屋は高いだけあってとてもきれいである。空調も効いていて、湯沸かし器なんかも置いてある。そこで私はあることを閃いた。悲しき閃きだが、カップラーメンが食べれると思った。一度は食べたいと思いながらも、宿の部屋でお湯は用意できなかったし、お店でお湯をお入れていくのも躊躇っていたためだ。今回は宿代が高いのでカップラーメンを食べれば食事代も節約できるので一石二鳥だ。ものは考えようなのだ。わはは。

 少し周辺の散策をしようと外へ出てみる。辺りは暗くなっていてネオンがキラキラ光っている。近くに湖があり、西湖という観光地であった。やはり中国と言わざるを得ない。とても規模が大きいのだ。湖も大きいし、周りには歴史的な建物も点在しており、魯迅の大きな像も立っていた。夜風が涼しく歩くのにちょうど良い気候である。

 食事も風呂も済ませて暇になったので、駅前のおばさん軍団に絡みに行くことにした。案の定、おばさん軍団は変わらずすごい勢いの中国語で雑談している。私に気づくと「お前も来い」とその輪に入れられた。全く何を言っているのか分からなかったが、良い暇つぶしになったのでは。するとおばさん軍団の元締め?のようなおじさんが来て、私に話しかけた。やはり中国語で捲し立てていて何を言っているのか分からない。と思いきや、分かってしまった。悲しき男の性か、おじさんは「女性は必要ないか」と言いたいのだ。私はお金も少ないので断ると、「日本円は持っていないか?ペーパー(紙幣)の日本円だ」と聞いてくるので紙幣なんて図々しいやつだと思いながら「コイン(小銭)なら部屋にある」と答えるとおじさんは部屋までついて来た。おじさんは私が小銭を探している間も「200元でどうだ」「150元ならどうだ」「100元、これで最後だ」と、どんどん値段を下げていく。私は値段を理由に断っていたが、100元まで下げられては断る理由がなくなってしまった。私は小銭をおじさんに渡しながら結局遠慮してしまった。おじさんは小銭のお礼に杭州の地図を置いて部屋から出て行った。部屋に一人になり私は頭を抱えながらベッドに転がった。自分の臆病さを嘆き続けた。

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