潮風を浴びて
防城駅に到着。天気が良くて気持ちが良い。海に近づいているためか風も強く涼しく感じる。ひとまずベトナムとの国境にある東光という街に行こうと考えていたが、ここまで来たらなんだか海が見たくなり、防城と東光の中間にある防城港市という街までバスで向かう。都市部に比べてバスの本数が少ないためか、どのバスに乗れば良いかすぐにわかるのはありがたい。
ものの10分くらいでバスは防城港市内の海沿いを走っている。すると外の標識に「東光まで○○km」という文字を見つけた。バスが向かっている方面とは別方向を指していたので「これはラッキー!」と次のバス停でバスから降りる。バスから降りて気付いた。この街はコンクリート一色だ。道路は日本のようにアスファルトではなくコンクリート舗装で、建物もコンクリート打ちっ放しのため、道路と建物の色がつながって一体感を出している。この文章だけ読むとコンクリート一色の味気ない街という印象を受けかねないが、実際は青い空と海と白に近い灰色のコントラストが気持ちよく相まっている。歩道と道路の間にはヤシの木が等間隔で生えていたが、台風でもあったのだろう全て倒れかかっていた。
東光方面に歩いていると、周りに歩いている人が少し増えてきた。何やら観光地らしき雰囲気だ。とても大きな像(やはりコンクリート製)があったが、説明文も理解できず特に面白いものはなかった。一時間くらい海を眺めながらアイスを舐める。近くのバス停から東光行きに乗る。乗り過ごさないため周りの人に「東光で降りたいから着いたら教えてくれ」と話していると、隣の席のお姉さん(少し美人)が英語を話せるようでベトナムへの行き方も教えてくれた。「差口に行けば大丈夫」と教えてもらうが、結局「差口」が何かわからないまま東光に着いてしまった。
街並みは普通の中国地方都市という感じで、まだベトナムに近いとは思えなかった。タクシーよりも安いバイクのおじさんに「差口ってわかる?」と話してみると、グーと親指を立て出発。さすが中国、バイクの運転が荒いのは当然である。一瞬で「ここが目的地だ」と降ろされた。どうやら差口とは東光の中の一つの町であるようだ。
差口は少し大きな村の規模。だが周辺はとにかく人、人、人だかり。歩いている人も一気に東南アジア風だ。おそらく中国、ベトナムの人たちが日々往来しているのだろう。先ほどまではコンクリート舗装を歩いていたのに、今はただ土を転圧した道を歩いている。どちらが良いというわけではない、どちらも大好きだ。