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蒼炎の覚悟

~ザストルという村を目指す道中~


 現状の確認と、しばらく不在だった兄・スザクへの報告も兼ねて、簡単に一つずつ振り返る。

 

 姉のミライと妹のユメ。

 今朝ミライが、傷だらけで倒れている姿を見つける。

 彼女から伝えられた言葉は、ユメが攫われたという事実。

 町の出入り口の一つ、南側の門での聞き込みの際、神父という言葉を発した俺は、呪いをかけられていた門番達と戦闘になる。

 サクラが、二人の母親と家で会った時、彼女は精神が汚染されており、その後、娘のユメを誰かに差し出したと自供している。

 ……二人に関してはこんなところか。


 他には、誰かの魔法をくらった痕跡のある、地の守護者、ガンテが前に一回、そして今も暴れている。

 これの鎮圧には、他の守護者が向かった。


「そして、ユメ君の家を母親曰く、授業と称して、何回も訪ねていたのが、今向かっている村、ザストルの神父という事だね」


 スザクの言葉が風の唸りと共に聞こえる。

 全力で走ってくれている馬の背の上、後ろ側の俺はスザクの背中に向かって叫ぶ。


「ああ!不審な神父なら、昨日見かけたから、ユメに確認したが、どうも人物像は合わない」


「演技でもしていたと考えるか?そっちの方がいいね。ここで、関係ない第三者が犯人なんて取り返しがつかない!」


「決断して、足を進める方が、迷って何もできないよりマシだから、腹を括るしかないだろ!」


「分かってるって、熱くなりすぎるな弟。……必ずユメ君を救おう」


 静かだったが、はっきり耳に届いた兄貴の決意に「おう!」と全力で応える。

 空を翔る白い天馬……ペガサスに乗ったサクラが降下し近づいて来る。


「スザクさん!村も見えたのですが、その前に魔物の群れが見えます!こちらを待ち構えているのでしょうか?」


「それでも問題ないよ、近づいたら、サクラは僕らの後ろから来てくれ」


 不安そうなサクラだが、「分かりました」と返事をする。

 魔物の群れを問題ないと言い切るか。

 この男は、おそらく……。


 緑も少なく、荒れ果てた地を突き進む。

 漆黒の馬はスピードを緩める事無く、目的地を目指す。

 到着前に、ユメについて聞いておこう。


「兄貴、ユメを召喚に利用するために連れ去ったのは、何となく分かるが、その後が分からん。あいつに無理やり召喚魔法を使わせるのか?」


「ハツガ、言いたくないのは分かるが、目を背けるのは感心しないな。……生贄だ。ユメ君を触媒とし、何か高度な生物を呼び寄せ、彼女を捧げ、契約もしくは使役するのだろう。呼び寄せた何かと、利用する今回の犯人、それを繋ぐ橋渡しとして目を付けられてしまった。……さて、悩むのはここまでだね。魔物の群れが見えてきたぞ!」


 スザクの言う通り、村の入り口まで続く、黒々とした一つの塊に見える魔物の群れが目に入る。

 犬、狼、猪、牛など動物の形を基盤としているが、見た目も歪な物が多く、凶暴性、攻撃性能は、普通の獣ではない。

 村を取り囲んではいるが、狙ったり、襲う様子も無く、見た限りでは守りについていると判断できる。

 こんな不審な村、普通ではない。

 どうやら、ユメはここにいると考えて良さそうだ。


「一気に行く!振り落とされる事のないように!」


 スザクは剣を抜き、魔物の群れめがけて、下から振り上げる様にそれを振るう。

 その延長線上に、蒼い炎による道が敷かれる!

 魔物達は、魔力の格が違う炎に耐えられず、逃げ惑う。

 黒い塊を両断するかの様に、村へと向かう線が入る。

 蒼炎の上で踏ん張る魔物もいるが、苦しみ、戦えそうには見えない。


「次!乱れ隼!」


 横に剣を振るい、鳥を模した蒼炎が何羽も魔物を狩るが如く飛び掛かる!

 接触と同時に爆破し、魔物を蹴散らす。

 やはり、そこらの魔物の群れ程度では、スザクの敵ではなかったか。


 突き進む馬は、黒い突風となり、蒼炎の道を駆け抜ける。



 面積の広い村へ入ると、石造りの民家が数件並び、そして道の奥には、他の建物より目立つ教会が見える。

 ユメが捕らえられている場所は、あそこの可能性が高い。


「ハツガ!スザクさん!」


 上空から、サクラの叫びと同時に、民家の屋根から、植物の蔦で拘束された男が落ちてくる。

 サクラの木属性の魔法か!


「村の人だと思うけれど、武器を持って隠れているわ!」


 サクラが物陰を、自分で生成した弓矢で狙い撃つと、何かに命中した矢が蔦となり、その植物に拘束された男が姿を現す。

 拘束した一人にサクラが近づき、観察した後、こちらに聞こえる様に、大声で叫ぶ。


「正気じゃなさそう!傷つけずに無力化するなら、私の方が二人より適任だから、ここは任せて!」 


 スザクは頷き、再び馬で走り出す。


「何人いるか分からないから、油断するなよ!」


 俺の声に、手を挙げ応えるサクラを背に、教会を目指す。

 道なりに進んでいると、途中、サクラの拘束をくらった男が、何人か目に入る。

 男ばかりだな……。




 教会まであと一直線といった場所に出る。

 攻撃を仕掛けてくる村人以外の、人の気配は感じられず、この村の異常さを改めて感じさせる。


 ん?前方に人影一つ。

 だが、先程までの村人と違い、魔力を感じる。

 いや、感じるというレベルではない!

 魔法の展開のため、魔力を練り始めたそいつからは、大気を震わす程の力を感じる。

 この感覚!



「死霊人だ!俺が行く!」



 こんな所で死霊人か……不死と言われ、人には触る事ができず、人を遥かに上回る魔力を持つ人の形をした化け物。

 ヤツの水属性の魔法が展開される。

 走り抜けるはずだった道を飲み込み、辺りの民家を削り取る水流がこちらに向かって来る。


 スピードを落とした馬の前方に、跳躍し、躍り出る。

 背中の、魔法を打ち消す槍を取り、構える。

 眼前には、高さが人の身長の倍ある水流が迫る。


「はあああああ!!!!」


 中心を持ち、円を描く様に槍を回し、面で水流を打ち消していく!

 

「兄貴!」


「ああ!」


 助走をつけた馬が俺を飛び越え、目前の教会を目指す。

 

「チッ!!」


 前方の敵は、歯痒そうに剣を抜き、走り抜ける馬上のスザクを狙い切りかかる。

 

「やらせるかっての!」


 胸のギアを上げ、自身の身体能力を強化し、弾丸の様に間に割って入る!

 剣を、槍で弾き、そのまま胴体を薙ぎ払い、吹き飛ばす。


 スザクが通過したのを確認し、武器を構え、敵と向かい合う。

 「やっかいな槍だなぁ」そんな言葉と共に、ダメージもなさそうな様子で、こっちを見ている。


 

 濃緑色のマントに紺色の軽装備、腰には剣を携えた白髪の青年……あの怪しい神父の護衛を自称していた男だ。

 確か、名前はジェロと呼ばれていたか。

 俺が敵を観察するのと同様に、ヤツもこちらを隅から隅まで観察し、「ああ」と納得する様な声を出す。


「シュレ・アルクスにいた、端役の青年ですか。ここには、スザク・ロードナイトだけがここに訪れるというお告げがあったのですが……成程その顔、迷い込んだ訳ではないと」


「ま、精神が汚染されている狂人の策では、ただの答えへの道筋。私のシナリオに水を差す……いや、この青年は端役から、敵キャラへと昇格させて……」


 早口で独り言を一気に言った後、中身が白紙の本とペンをいきなり取り出し、メモを始める。

 すぐさま、パタンと本を閉じ、余裕をもって、ゆったりと剣を構える。


「さぁ!神聖な儀式が目前といったところで、名もなき敵キャラ一人!私は、戦闘を選びます!あなたの選択は?」


 口数の多いヤツだ。

 どうやら遊び感覚らしいな、俺を何かに見立てて、自分の世界を楽しんでるらしい。

 

「戦闘一択!」


 遊びに付き合うつもりはない、この軽口野郎は儀式と言っていた。

 ユメがいる事を確信し、死霊人討伐に集中する。

 緋色の槍と白銀の剣が、金属音を響かせ、ぶつかり合う。


「筋力は同じくらい、さぁさぁ!私にダメージは、発生しますかな?」


 敵は、いちいち行動ごとにうるさく騒ぐ。

 筋力が同じくらいな訳ないだろうが!というメッセージを込め、強引に鍔迫り合いの状況からぶっ飛ばす。

 バランスを崩した相手に、鋭い突きを腹部を狙って放つが、身を捻じりかわされ、かすり傷程度にしかならなかった。

 自身が人に傷つけられた事に、最初は驚いていたが、僅かに湧き出た、血を触り高笑いを始める。


「良い武器をお持ちのようですね。どこかの上位階級の方にでも、もらったんでしょうか?死霊人に危害を加えられる男!それでこそ、悪役に相応しい!美しい体に、血が滲むが私の心は、折れない!」

 

 煽って、冷静さを削ぐ作戦なのか、素でこんなに気持ち悪いのか。

 だが、相手は強大な魔力を持つ、死霊人だ、気を抜かずに攻める!

 

 そして、教会に入る姿が見えた兄の背中に、ユメの救出を託す。





~教会の中~


 木造で、村の他の建物より大きな教会に入る。

 スザクが足を踏み入れると、見えないが魔力が、奥へと波の様に流れて行ったのが分かる。

 明かりが灯されており、ズラリと並ぶ長椅子が目に入る。

 

「何?」


 スザクの口から思わず声が漏れる。

 それぞれの長椅子には、人が大勢座っているが、全て女性だ。

 彼女達は、足元から、キラキラと光りを放ち、光に変換されている。

 いや、この光は魔力か!魔力に分解されている!

 急いで彼女達の呼吸と鼓動を確認するが、体に生きている証を感じる動きは無い。


「無駄ですよ、スザク先生」 

 

 ねっとりとした、重苦しい声が前方の、少女が眠る魔法陣の側に居る、黒い装いの神父から届く。

 安心できる状況ではないが、ユメの姿を確認でき、胸を撫で下ろす。


「僕を知っていると?」


「ええ、もちろん。この周辺で、攫われた少女を救いに来る高潔な精神と、ここまで辿り着く戦闘力をお持ちなのは、貴方だけだと私、思っていましたから」


 褒められても全く嬉しくなく、寧ろ気分が悪くなる。

 だが、語る事に喜びを感じているのか、神父の話は続く。


「私への手がかり、楽しんでもらえましたかな?門であったり、彼女達の家であったり、色々……」


 無駄話を相手にせず、一刻も早くユメを救うために、走って距離を詰め、魔法陣を囲い、守りとなっている結界に斬りかかる。

 剣は派手な音と共に、自分の体がのけ反るくらい弾かれる。

 ならば魔法で!

 素早く切り替え、蒼炎を叩き込む……が結界に飲み込まれてしまった。


「……だから、私は神の力を示すためにあなたと戦ってもらおうと思い、呼び寄せ……聞いてましたか?スザク先生?」


 話続けていた神父は呆れた表情で、まるで授業中に話を聞いてなかった生徒を注意するような口調になる。

 大きな目を閉じ、「やれやれ、最近の若い人は」とぼやきながら右手で頭を抱える芝居じみた仕草をする。

 いきなり、ユメの体が輝き始める。

 急いで手を当て、解除を試みようと結界に触れた瞬間、落雷のような音が響くと同時に、スザクは手のひらは結界から発生した雷撃で焼かれていた。

 思わず顔を歪め、神父を睨むと、目を輝かせ笑みを浮かべている神父と目が合う。


「そんな顔をして、私を殺してもこれは解除されませんよ。当たり前じゃないですか、その子使った後、別に必要ないですし。そもそも生贄なんですから」


「待ちきれないみたいですね。では、いよいよ儀式の始まり!」



 何かの気配がする……。

 ユメの体が輝きを増す。

 神父が、聞きなれない言語で謎の呪文を唱え始める。

 神父は恍惚の表情を浮かべ気が付いていないが、確実に何かいる。


 辺りを見渡すと、長椅子に座った生気のない女性達が一斉に光……魔力に変わる。

 

 これは、この神父の呪文で何かが召喚されているわけではない!

 元からこの時間に起動する様に、魔法が施されてしたとしか思えない。





 急に背後から、何かの気配が発生する。

 凍える痛みの様な寒気と、熱気が貼り付く様な不快感、とにかく異常だ。


 振り返ったスザクは、燕尾服を着た体は人、首から上は黒い山羊、そんな化け物と目が合う。



「ぐ、ッガアアアァアアあああぁぁぁ!!!!!」



 心が砕け、記憶が割れる。

 自分の名前を見失う。

 こんな事、ありえないはずなのに自分が何者か、迷う。

 喜びを思い出を、怒りの決意を、哀しみの後悔を、楽しみな未来を。

 自分の人格を形成しているパーツが欠けていく。

 意識は沈む、沈む闇へ、暗闇へ。



 ――スザク!聞いてるの?無事に帰って来なさいよ!


 不意に、頭の中で木霊する金髪の女性の叫び。

 ……?

 ……!

 ソウダ、ワタシハ、オレは、いや!僕は!

 スザク!先生!と自分呼ぶ記憶の欠片を、無我夢中でかき集める。

 兄貴!……この声はうるさいな。


 カッと目を見開き、山羊の瞳を睨みつける。



 狂気に打ち負けるところだったが、自我を取り戻し、視界に入ったユメを救う事だけで頭を埋め尽くし、正気を保つ。

 直感で分かる、こいつは次元が違う。

 生き物としての格が違う。

 呪文を途中で止めた神父の歓喜の叫びが耳に入る。


「おお!懐かしき我が神よ!」


 違う。

 スザクの口から、自然と言葉が出る。



「悪魔」



「そうだ、悪魔バゴート。初めまして地上、支配させてもらう」



 悪魔の姿を見るだけで、息が荒くなり、目が眩む。

 支配だと?こいつは、そんなくだらない事に彼女達を巻き込んだのか。

 こちらを見つめる山羊頭が、


「階級最低の人とかいう生き物か。弱き者は不要。だが、我が魔眼の呪いに打ち勝ったのは、興味深い。テストだな」


「さぁ、構えろ。全ての人を生かすかどうか、お前に懸かっているぞ」


 荒唐無稽な事をあっさり言い放つ。

 この勝負で負けたら、人を滅ぼすとでも言っているのかこの山羊。

 本気で言っているとすれば、勝つしかない。

 



「お前に勝算など存在しない事は、自分自身が一番良く分かっているのでは?」


 教会内には、笑い続ける狂った神父と、ピクリとも動かないユメ、そして悪魔。

 ユメは皮肉にも結界に守られているから、安全だろう。

 間合いを取り、剣を構える。


 意識が曖昧な頭だが、無理やり覚悟を決め、剣に炎を纏わせ、ヤツの肩に斬りかかる。

 悪魔バゴートは、受ける動作も避ける動作もとらず、黙ってこちらを見つめる。

 スザクの振るった剣の軌道は、肩から、脇腹を両断するルートを間違いなく通る。

 手応えはあったが、バゴートの体は、斬られて二つになる事もなく無傷。


「なんと、武器が一流でも人の手では、傷もつかないのか。なんという低階級。では耐久性能」


 手から風が放たれ、教会内の長椅子や装飾品を壊しながら吹き飛ばされる。

 入口付近で踏みとどまり、バゴートを見据え、辺りを見回す。

 妙な魔法でも使われているのか、壁は何ともなさそうだ。

 


「囲い梟!」

 

 飛翔する球状の巨大な炎の鳥が、悪魔を内部に取り込む。

 内部に魔力を流し、蒼炎で焼き尽くす。

 

「はあああ!!!」


 最後に爆発させ、室内が煙に埋め尽くされる。

 歩いてくる影を、狙い炎を放ち続ける。


 眼前に現れた、悪魔の拳を剣で弾き、胴に回し蹴りを叩き込む。

 手を休めず、追撃で顔を斬りつけるが、手応えのみで傷はつかない。

 眉間、喉、胸、人体の弱点を狙って何度も何度も斬りつける。

 だが、悪魔の歩みは止まらず、


「もういい、お前の実力、人の限界は良く分かった」


 再び放たれる拳がスザクの右肩を貫く。

 手から剣がこぼれ落ち、派手な音を立てて床に転がる。

 口から血を流し、目が虚ろな男にバゴートは興味を失い、投げ捨てようとする。


「こんなものか」


 その言葉を聞いた瞬間、スザクは体を貫通したままの腕を掴み、更に首根っこを握りしめる。

 

「ッがあああああああああああ!!!!!!!!!」


 咆哮を上げ、鬼気迫る表情で、掴んだ腕に!握り潰そうとする首に!自身の体内と接触している腕に!

 スザクの最大魔力の蒼炎が流し込まれる!

 

「何だとッ!」


 油断していたバゴートは、腕を引き抜き、スザクを突き飛ばす。

 だが、その首と腕には、火傷の様な跡が残っていた。


 スザクの息は乱れ、血を流し続けるが、瞳の戦意は消えず、睨み続ける。


「面白い。では次の階級ランクだ」


 そう言った後、悪魔からは黒い翼が生えてくる。

 

「お前は人の可能性を示した。褒美でもやろうか。何か言ってみろ」


「ハァ……、ハァ……そこの女の子を解放しろ」


 バゴートはユメを一瞥し、 


「ああ、あれか。ここに来るまでは必要だったが、今は不要。好きにしろ」


 スザクを見下し、邪悪な笑みを浮かべる。


「余興を思いついた。あの結界は良くできている。外側は険しく、内側は脆い」


 そう言って、狂った神父に近づき軽々と掴み上げ、結界に向かって投げつける。

 接触した神父は、悲鳴を上げる間も無く、一瞬で雷撃で消し炭に成り果てる。

 そして、内側のユメを指さしながら、


「お前の手でアレを救え。雷に耐え、結界を通過できれば、寝ているアレは、見逃してやる。拒否すれば、生贄として今すぐもらうぞ」

 

 薄れる意識の中、スザクは迷わず結界に蒼炎でまとった手を突っ込む。

 腕は、ダメージを受け続け、魔力は削られ続ける。

 防御に残っている魔力が全て回しているが、切れれば腕は消し炭になる、だから耐えて耐えて耐えて耐える。

 あらゆる感覚が失われる、痛みも苦しみも分からなくなる。



 結界を貫いた手を床に付け、内側から解除する。

 ユメが呼吸をしている事が確認でき、緊張が切れ、肉体以上に魔眼に蝕まれている精神が限界を迎え、スザクは彼女の横に倒れてしまう。




「生贄は生かそう。だが、私に傷をつけたお前を見逃すとは、言ってはいないぞ」

 

 スザクに悪魔が近づき、腕を振り上げた瞬間!

 


 教会の扉を突き破り、何かが吹き飛んでくる。

 バゴートの足元に転がるのは、傷を負った死霊人ジェロ。


 彼は、「いってー」と呻きつつ悪魔を確認すると、


「お、これは我が主へのいい手土産。あの町で見つけた、あのガキの召喚への力は本物でしたか。時間掛けて苦労して仕込んだ甲斐がありましたねぇー!」


 と転がったまま嬉しそうに手を叩く。

 バゴートは、死霊人か……と呟く。



 そして、教会にハツガとサクラが辿り着き、ハツガは悪魔と対峙する。

 




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