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口約束

姉のミライ、妹のユメ、彼女達の仲を心配するハツガ。

~シュレ・アルクスの町~


 早朝、トレーニングと建物の見回りを兼ねて、石造りの街並みを視界に入れながら、風の様に駆け抜ける。

 別に悩みがあるとか、嫌な事を忘れたいとか、そんなわけでは、断じてない。


 ただ、少し幼馴染に言われた事を思い返す。


 元々、姉であるミライの友人であった俺が、妹のユメに慕われるようになった。

 もちろん、自然体で二人と接していた。

 だが、妹に劣等感を持っていたミライは、僅かな差が気になり……。

 そして、ミライを相手にしない母親。

 サクラ曰く、悪循環が起こっているとの事。


 学校でも、四属性扱える特殊な才能を持つ彼女は、明るい性格ながらも妬みや嫉妬から、味方……友人も少なかったらしい。

 そんな中、新しくできた「異性」の友人。

 サクラは、そこを強調していたと思う。

 

 足は止まらず街を巡るが、思考は行き詰まる。

 

「ハツガ君!おーい!おはよーう!」


 朝の挨拶でこの文字だけを見ると、可愛い女の子が声を掛けてきたと期待してしまうが、俺の耳に入ってきた声は、元気溢れる男性の声。

 「あねもね食堂」の店主、ジョンさんだ。

 ちょうどいいタイミングだったので、足を止め、挨拶に応える。


「朝から、鍛錬とは感心感心。健全な肉体には、健全な精神が宿るってやつだね!流石ヒーロー!」


「ハハハ、大袈裟ですよ、ジョンさん」


 明るいジョンさんにつられて、笑顔になる。

 彼は元々、気のいい人だったが、彼と娘さんを少し助けた事があり、それ以降、更に俺に良くしてくれる優しい心の持ち主だ。

 数少ない、この町で俺が頼れる人だとも思っている。


「ならば、そうだな!ハツガ君!君、悩んでいるな?」


 ドキリとした。

 いつも顔に出ていると、心中を親しい人には言い当てられる事はあったが、今回はそんな顔をしない様にしていた。

 その上で言われると、自分でも気が付いていない迷いを言い当てられた気分だ。

 ジョンさんが白い歯をキラリと光らせ、得意げな表情で宣言する。


「男が走る時は、誰かのためか、悩んでいる時!そうだろう?」


 鍛錬です。

 

 ……まぁ、悩みも無くはない。

 

「実は、二人の友人の話なんですけど……」


 誰の事かは分からない様に、片方は劣等感を感じている事、俺の対応が関係を悪化させてしまっているかもなどと、簡単にジョンさんに話す。

 俺の真剣な表情に、ジョンさんも頷きながら真剣に聞いてくれたので話しやすかった。


「なるほどねぇ。そうだな、まずハツガ君!君はその二人と自然体で付き合っていて、どっちかをないがしろにしようと思ってしている訳ではないのだろう?ならば、胸を張って!二人を心配している君なら大丈夫だ!」


「そして、その友人の問題は、自分に自信を持てていない事だな!ならば、必要なのは時間!君の友人なんだろう?ならば、大丈夫だ!信じて寄り添って、たまに支えてあげる。普通に友人として過ごしていけば問題ないさ!」


 親指を立て、豪快に言い切る。

 彼の言葉は、俺の胸にストンとはまった様に感じた。

 目の前に、問題が現れたからって、焦ってどうにかできないものもある。

 俺は彼女達の日常を落ち着いて見守ろう。


「どうやら、オジサンの言葉でも、君の助けになれたようだね」


「ええ、今朝、ジョンさんに会えて良かったです」


「なーに、君は命の恩人だ。家だと思って気軽に来てくれよ!アニーも待っているからさ!」


 眩しい笑顔のジョンさんに別れを告げ、再び走り出す。

 

 

 ハツガを見送った後、ジョンの頭にはある可能性がよぎる。 

 二人の友人が、女性だった場合……。

 うーん、多少やっかいにはなるだろうが、彼なら大丈夫だろう!

 そう信じて、ハツガが走って行った方向をしばらく見つめていた。




 走りながら、自分の未熟さを実感する。

 だが、それと共に、この町から何かをもらった様な心地良さも感じる。

 ここを守ったから得られた気持ち。

 俺の旅路に必要な財産なのだろう。

 

 

 鍛錬のついでに、気持ちの整理もついたのでスタート時よりも足取り軽く、学校を目指す。

 地面を蹴る音も、テンポ良く奏でられる。

 風を切る感覚と、自分の足音に身を任せ、走る事に夢中になっていたが、街の人が活動しだす雰囲気と反比例にスピードを落とす。

 いつものパン屋からするバターの香り、植物屋に飾られる色とりどりの花や薬草。

 全身でいつもと変わらない日常を感じていた。


「迷いなき真っ直ぐな瞳。君には、神の救いとは無縁そうですね。素敵だ、素敵」


 意味不明だったが、こちらに向かって発せられたとしか思えなかった。 

 流石に足を止め、聴覚で得た日常では触れる事のない不思議な言葉の方へ、顔が向く。

 そこには、上から下まで真っ黒な衣装に身を包んだ、こちらを見つめる初老の男が目に入る。

 最近、こんな服装をしている役職を示す言葉を聞いた気がする。

 そう、確か……。


「神父さん?」


 男は、じわじわと段階的に、顔全体で笑顔を作る。

 不気味な仕草だが、大きな目が無邪気に輝いているかのようだ。


「ええ、そうです。すみません、君の顔が、あまりにも素敵に輝いていたので」


「そう言うあなたも、喜びを隠しきれてない感じですね」


 どうも動きには落ち着きが無い。

 話している最中でも、額に手を当てニヤついたり、嬉しそうに、自分を抱きしめるような仕草を取っている。

 かぶり付く様に話し出すところを見ると、誰でもいいから話したかったのだろう。

 

「分かります?分かります?ええ、明日ついに長年の夢が叶うのですよ。なんと……」

 

「探しましたよ、神父殿」


 話を遮るように、濃緑色のマントに紺色の軽装備、腰には剣を携えた白髪の青年が、間に入ってきた。

 武装している人とは、珍しいな。


「おお、ジェロ!どこに行っていたのですか?」


「急にどこかに行ってしまったのは、神父殿の方でしょう。街の中は安全ですけど、護衛の私から、離れないでください」


 ジェロと呼ばれた青年は、失礼した、とこちらに頭を下げる。


「ああ!赤目の青年!君に神の加護あらんことなかれ!あらんことなかれー!」


 神父は俺に向かって楽しそうに、叫ぶ。

 護衛の青年は、苛立った表情で、ハイテンションな神父の腕を素早く掴み、引っ張って行ってしまった。

 生憎、神の加護は間に合っているから、あのおかしい神父のからの加護は不要だった。

 しかし、何だったんだ今の茶番。




 朝から走り、頭がすっきりしたはずなのに、意味不明な言葉を投げかけられたせいで混乱しながら、今、寝泊まりしている部屋に戻る。

 学校にある教師陣に与えられた、執務室と私室。

 先生であり部屋の主、兄のスザクはまだ不在だ。


 部屋の近くまで戻ってくると、制服の女の子が見える。

 扉の前で、ノックする構えで、風に揺られる様に手を引いたり戻したりしている。

 どうやら、迷っている様子の女の子……、ミライに声を掛ける。


「兄貴はまだ帰ってないぞ」


「うわああひゃああああぁぁぁ!!!!」


 謎の奇声を発しながら、ミライはその場から飛び退いた。

 俺を一睨みし、


「奇声じゃない!可愛い悲鳴」


 と変な意地を張っている。


「で、どうしたんだ?さっきも言ったが、兄貴はいないぞ」


 不機嫌そうに上目遣いでこっちを見ながら、恥ずかしそうに口を開く。


「用があるのは君!」


 お、おう。

 何回も頷き、彼女の態度に、しどろもどろになる。

 ミライは一つ大きく息を吸うと、覚悟を決めた様にカッと目を見開き俺を見つめる。


「ごめん!」


 ん?

 何か、謝られるような事はあったか?

 急いで記憶を漁る。

 そんな事をしている間に、答えとなるミライの次の言葉が耳に届く。


「私の事考えて、気にして声掛けてくれたり励ましてくれたりしたのに、嫌な態度とってごめん!」


 あー、その事ね。

 どうやら、俺が走りながらいろいろ考えていたのは、いらぬ心配というやつだったらしい。


「いや、お前の中で、考えがまとまったのなら、それに越した事はない」


「うん。お母さんがあんな感じなのは、正直まだ辛い。それに、自分にはまだ自信が持てなくて、不安になるけど、やっぱり妹……ユメにその負の感情向けるのは、絶対やらない!だって、お姉ちゃんは味方だもんね」


 そうか、と頷く。


「時間かけて、ユメと向き合ってみるよ」


「そうだな、必要なのは時間だ。家族としてじっくり過ごせば、いつかその才能への嫉妬みたいなやつも笑い話になるさ。」


「もー、カッコ悪いからはっきり嫉妬って言わないでよ」


 ミライの気持ちが前向きになったのは良い事だ。

 話を聞くとサクラにも相談したらしい。

 あいつ、俺が悪者みたいに言っといて……。

 周りの人と自分比べて、焦って弱点隠すより、吐き出した方が良かったんだね、とミライは笑う。

 この様子だとサクラとの仲も深まったのだろう。



 すっきりした表情のミライを見送った後、主のいない部屋に籠り、武器の手入れに取り掛かる。

 刀にじっくり魔力を通し、現在の状態を確認し、切れ味を整える。

 地属性を習得して得をしたと思う事の一つに、この作業ができるようになった事が挙げられる。

 だが、金属の扱いに特化した人なんていたとすれば、もっと上手くやれるのだろう。

 こういった作業は、自分だけではなく、やはり腕の良い人に一回やってもらいたいものだ。

 窓から入ってくる光が反射し、キラリと輝く刀身を眺める。



 ……ッハッ!いかんいかん、見とれている場合ではない。

 刃物をうっとりと見つめる姿を誰かに見られたら、余計な誤解を招く。

 さて、次は、槍の点検をっと。

 槍を取ろうと視線を上げると、ドアの隙間から覗く、瞳二つ。



「だ、大丈夫だよハツガにぃ!アタシは趣味に理解あるいい女だから!変態でも受け入れるから!」


 待て待て待て、部屋の外でその言い回しはやめてくれないか、ユメよ。

 そうっと扉を閉め、逃げようとする姿が目に入る。

 逃がすか!

 足に魔力を込め、弾丸が如く女の子に迫る。

 扉の隙間から、見えなくなりつつある腕を掴み、部屋へ引きずり込む。


「いやあああああ!!!!」


 さぁ、誤解を招く様な言動は止めてもらおうか。


「誤解じゃないじゃない!バカバカバカ!」


 ちょっと怖がらせ過ぎたか。

 冗談が過ぎたな、すまない。

 ユメはむーっと唇を尖らせ、


「素敵なとこ、えすこーとしないと許さない」


 と拗ねてしまった。

 エスコートって、どこか連れて行けということか?

 それに、この町に素敵な場所なんて無くないか?


「それをどうにかするのが、ハツガ兄の腕の見せ所だよ!あとね……、前みたいにアタシのピンチに駆けつけて、また守ってよ」


 あれは誘導されたからというか、頼られたからというか……。

 そもそも、そんな機会なんて、もうないだろうに。

 ユメは戸惑う俺を、悲しそうな顔で覗き込みながら、


「ダメ?」


「いいだろう、君を守ると約束する」


 俺、ちょろい。

 だが、こんな口約束でやったーと無邪気に喜ぶ彼女を見ていると、それくらい良いのでは、とも思った。

 

「ところで、何しに来たんだ?兄貴なら、いないぞ」


 じゃれていて忘れていたが、彼女はわざわざ、この部屋を訪ねて来た訳だ。

 何か、理由があるのだろう。


「スザクせんせじゃなくて、ハツガ兄に用があって来たの」


 姉妹揃って、ここに来るとは物好きだな。

 用があると言ったものの、キョロキョロと落ち着きなく視線を動かし、自分の手首を握りしめている。

 いつもの、はっきりした彼女らしくないが、話を切り出しにくいのだろうか?

 頭をかいた後、俺は助け舟を出す事にした。


「兄貴が帰って来るまで、ユメもやる事ないもんな。最近どうだ?退屈か?」


「うん、なんか召喚に詳しい神父さん来て、授業とか課題とかあるけど、アタシの方が上手くやれるから、つまんないんだ。お母さんに言っても勉強しろって聞いてくれないし」

 

 神父か……。

 今朝会ったハイテンションな人物を思い出す。

 まさかな……。


「神父さんはどんな人だ?うるさかったり、変な事言ったりしてないか?」


 奇妙な質問だが、間違ってはいないだろう。

 ユメはうーんと頭に手を当て悩んだ後、首を横に振り、


「ううん、真面目で優しい感じの人だよ。だから、簡単とか言いにくいんだよねー」


 まぁ、そうだよな。

 保護者もいるのに、あんな奴が人に物を教えられるとは、思えない。

 さて、そろそろ本題へと入りたいところだ。


「で、俺に話があるんだろう?何かあったのか?」


 彼女は「うー」と呻いた後、恐る恐る、


「……お姉ちゃん、アタシに怒ってなかった?」


 フフっと笑みがこぼれる。

 お互いがお互いを気にかけている、何で俺は不安だったのだろうか。

 

「お前と、もっと仲良くなりたいって言っていた気がするな」


 へ?と心底不思議そうな顔をされる。


「何言ってんのハツガ兄?お姉ちゃんとアタシ、めちゃ仲良いよ?」


「もっとだとさ。ま、怒ってはなかったからビビる必要はないよ」


「ホント?」


「ホント」


 不安そうに見上げてくるので、頭を撫でてみる。

 「えへへー」とやっと、いつもの笑顔に戻ってくれた彼女は、


「話聞いてくれてありがとー!」


 と、元気に部屋から出て行った。



 開けっ放しになっている扉を閉めながら、自分に似合わない事してるなぁと、ふと思う。

 旅に出た頃は、ひたすら戦い、強敵をなぎ倒し、各地を周り、戦える人材を探すだけかと思っていたが、新しい出会い、仲間……。

 この町を拠点とした活動で、俺は停滞しているのだろうか、それとも必要な成長をしているのだろうか。

 師匠や兄貴がいれば、尋ねたいところだった。


 武器の手入れを終えた後、学校に寄せられた、魔法を使える人への依頼を確認する。

 特に大きなものも無く、そこそこ依頼があった街の整備をこなしていると、一日が終わってしまった。

 魔力を使い、疲れ果てていたので、部屋に戻ると、すぐさま深い眠りに落ちた。

  



 目が覚めると身支度を整え、いつものように街を走る。

 多少のハプニングはあるものの、最近は穏やかな日が続いていた。

 この町周辺の人への脅威は、そろそろ無くなったのだろうか?

 だとすると、そろそろ違う場所を目指してみようか。

 そんな事を考えながら駆け抜ける早朝の街は、いつも通り静寂に包まれ、足が地面を蹴る音だけが耳に響く。


 日常だ、いつもと変わらない。

 なのにどうして、足は速まる。

 目的地など、鍛錬にはない。

 それゆえ、ルートは同じ、見える風景も同じ、聞こえる音も同じ。

 なのに、心に不安が、気持ちに焦りが……。

 

 違う!

 微かな空気の乱れを感じ取る。

 誰かが、風属性の魔法を展開しているようだが、この弱々しさは何だ?

 胸のギアを上げ、体中に魔力を回し、移動速度を大幅に上げる。


 情報をかき集めるため、五感を研ぎ澄ます。

 そよ風に乗ってくるのは、鉄の臭い……これは、血だ!

 わずかな魔力を辿り、角を曲がる。


 その瞬間目に入ったのは、ある物体を中心に広がる赤、赤、紅。


 物体は人。


 人は学生。


 学生は女の子。




 女の子は……ミライ!


 認識した瞬間、最速で、全力で駆け寄る。

 彼女自身の魔法が展開されている事から、生きているはず!

 人の気配を探るが、誰もいない。 


「おい!ミライ!」


 大声で叫び、呼びかけるが、顕著な四肢はピクリとも動かない。

 呼吸をし、鼓動は聞こえるが、蒼白な顔から、事態は一刻を争うだろう。

 治療魔法に長けたあの人に望みをかけるしかない。

 上着を刀で切り分け、布で傷口を抑え、止血のために何か所か縛る。

 そっとミライを抱え、走り出す。





 見えてきたロウェルの家の前では、メイドのキャスが掃除をしているところだった。


「キャス!リオさんを呼んでくれ!」

 

 一目で事態を察してくれたキャスは、頷き、急いで家の中に戻ってくれた。

 なりふり構わずキャスを追うように、友人の家を突き進む。

 

「ハツガ様!」


 制服に身を包んだリオさんが、慌てて駆け寄って来る。

 迷うことなく、ミライに治療魔法をかける。


「こちらの部屋に、彼女を!」


 リオさんの誘導に従い、一つの部屋に入り、ベッドにミライを寝かせる。

 真っ白なシーツに赤色が滲む。


「後は任せてください!」


「お願いします」


 すぐさま治療に取り掛かったリオの背に、願いを託す。

 部屋の外に出て、思考を巡らせる。

 誰かにやられたのは間違いないが、人の気配はなかった。

 傷も出血も多かったが、生きてはいた。

 つまり、意図的に止めは刺さずに立ち去った?それとも死ぬと判断したのか?


「あの、ハツガ様」


「ん、ああ、ありがとう」


 キャスの声で現実に戻る。

 差し出されたタオルで、顔や体に付いた血を拭い、服までくれたので着替える。

 

「リオ様なら、大丈夫です。ご友人を必ず救うと信じています」


 真っ直ぐな眼差しでキャスは俺を見つめていた。

 険しい顔で黙り込んでいた俺を、励ましてくれたのだろうか。

 

「ああ、ありがとう」



 不安と大丈夫だという感情が、ぶつかり合うが、歯を食いしばり、大丈夫と心で唱え続ける。

 部屋の前で待っていた時間は一瞬だったようにも、何時間も過ぎたかのようにも感じた。

 急にドアが開き、


「ハツガ様!来てください!」


 と、リオさんに呼ばれるのと同時に部屋に駆け込む。

 目を閉じているが、何かを呟き続けているミライ。


「名前を……、ハツガ様を呼んでいましたので。呼びかけてあげてください。」


 リオさんにそう言われ、ミライに近づき、手を握り、声を掛ける。


「ハツガだ、ここにいるぞ」


 ミライは、うわ言のように言葉を繰り返す。


「ユメが、ユメが……」


「ユメがどうした?」


 彼女の開いた瞳から一筋の涙がこぼれる。


「ユメが、攫われた……」



 

 

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