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プロローグ
僕の恋は突然、始まった。
そして、突然、終わりを告げた。
この「恋の対象」が目の前で轢かれたからだ。
僕はただ、道路に横たわるその「恋の対象」を凝視した。
僕が単に凝視しているだけの間にも周りの人は喚いたり、救急車を呼んだり、叫んだりと騒然としていた。
しかし、僕はただ単に立ちすくんでいた。
「恋の対象」を一瞬で無くしたのも関係するかもしれないが、大きな理由は別にあった。
なぜなら、「恋の対象」を轢いた車の中で見えた顔は紛れもなく
僕
だったからだ。
そして滑らかに僕は倒れた。