【短編】異世界に落下した俺は 外伝(前編)
【短編】異世界に落下した俺は の外伝になります。
壮絶なネタバレなので、本編を先に読まれることをオススメします。
人によっては蛇足に感じると思いますのでご注意ください。
世界は危機に瀕していた。
といっても今すぐ消えて無くなるわけではない。
事の起こりは100年前に遡る。(※1)
この世界にはステータスが存在する。
体力や筋力、魔力といった身体能力を示す数値。
さらに特殊能力を与える各種スキル。
世界から与えられるこれらの祝福は我々の進化を強力に後押しした。
ところが進化の過程で死を超越してしまい人口爆発が発生。
居住可能な惑星の枯渇に喘いでいた。
そんなとき世界の果てが発見された。
その情報は世界を混乱の中に突き落とした。
長距離探査系スキルの観測結果が母星から3億光年先までは
世界が存在することを保証していたにも関わらず、
たった10万光年で突き当たってしまったのだ。
2万光年内の惑星は開発済み。
戦争が勃発することを危惧した世界政府は即座に土地を配給制に移行(※2)。
並行して問題解決のため政府直轄の研究機関が設立された。
それから100年。
有力な解決方法が見出されぬまま土地の枯渇が近づいていた。
私は10年前から機関に所属し世界の果てについて研究をしていたが
結果が出せず削られ始めた予算の確保に奔走していた。
そんな私の助手として1人の少女が配属された。
この娘が酷いトラブルメーカーだった。
ステータスに燦然と輝く【属性】:ドジっ娘。
データを消す、機材を壊す、亜空間に穴を開ける。
それでもこの娘を使い続けたのは所持するスキルにある。
【大願成就】:願いが叶う。気持ちの強さにより効果が変わる。
神頼みは研究者としてどうかと思う。
とはいえ強烈なスキルだ。
どうやって取得したのか聞いてみた。
「10年間、近くの神社に5円玉のお賽銭を入れ続けました!」
条件に5円玉というのがあるのでこれまで誰も取得できなかったらしい。
正月には500円玉とか1万円札とか入れたくなるのは人のサガだ。
もう一つのスキル
【一意専心】:集中力が極限まで増加。集中している事象以外は無視。(※3)
のコンボで今まで望んだことは全てかなえてきたらしい。
その代わりステータスとスキルはボロボロ。
知識も非常に偏っている。
本来なら研究者として生活できるとは思えない。
この娘が
「私が世界を救います!」
と言い出さなければ。
ある日のこと。
「これ見てください!最新型なんですよ!」
と、その娘が持ってきたのは12次元カッター。
刃を出す長さで切る次元数を変えることができる文房具だ。(※4)
今までは切る次元数は整数固定だったのだが
8.934といった中途半端な次元を切ることができるようになったらしい。
「じゃ、切ってきますね!」
と、元気に研究室を出ていった。
ん?
何を切りに行った?
世界の果てか!
まてええええええええ!!!
〆ざっくり〆
ああああああ!!
と、驚いたがこの世界の物質で世界の果てを切れないのは分かっている。
何年研究してきたと思ってる。
ところが突然空間に異常な歪みが発生し何かが飛び出してきた。
反射的に概念保護をかけて亜空間に収納。
亜空間に転移して鑑定スキルを使用。
驚愕した。
それ -私たちと同じ人間と思われる物体- にはステータスが存在しなかった。
その日、私たちは世界を救うピースを手に入れた。
<後編に続く>
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(※1)
単位は日本語に翻訳されてます。
他の固有名詞も全部日本語に翻訳されています。
異世界語を考えるのが面倒くさいわけじゃないよ!
(※2)
普段は喧々囂々、侃々諤々で全く議論が先に進まない世界政府が
迅速に対応したのは非常に珍しい。
無制限のステータスアップとスキル性能の向上により、国VS国の戦争になると
1天文単位が一瞬で吹き飛ばされる。
壊されると直すのに時間がかかり、その間収入が途絶えると困る権力者の
利害が一致した。
(※3)
義務教育で取得するスキル【並列思考】が無効化されるので
取得禁止になってます。
どうやって取得したんでしょうか?
作者も知りません。
(※4)
戦争が起きて殆どの技術が失われた場合、
奇跡的に残ったこんな文房具が聖剣になっちゃうんでしょうね。
1本にまとめる予定だったのですが前後編になってしまいました。
後編はもうしばらくお待ち下さい。
ところで異世界SFというジャンルはどのくらいあるんでしょうか?
教えていただけると助かります。
パkいやいやオマージュっすよオマージュ。