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第一話  異世界①

 


 気が付くと翔馬は白い世界にいた。


 果てのない大地も空も真っ白で、一瞬どこかのゲレンデにでも迷い込んだのかと思ったが、すぐにそれは違うと思い直す。雪の白さはここまで汚れなき純白ではない。ならなんだと聞かれたら困るのだが、ここがこの世のどこでもないことだけは本能的に理解できた。


「どこだここ? なんで俺はこんなところにいるんだ?」


 自問自答しながら、辺りを見回す。


「たしか高校から家に帰る途中で、それで――」


 ――トラックに轢かれたはず。


「そうだ、俺、トラックに轢かれて死んで……じゃあ、ここがあの世って奴なのか?」


 信じたくはないが、翔馬の耳には生々しいトラックのブレーキ音がこびりついていた。享年一七歳というあまりにも早い死だったが、なぜか嘆く気持ちにはなれない。


「……まあ、生きてたっておもしろいこともなかっただろうし。そんなにショックでもないかな」


 一番に残念だと思うことが、ずっと買い続けていた漫画の続きを読めなくなったことだという時点で、鈴森翔馬という少年の青春は察して然るべきだった。これまで育ててくれた両親には申し訳なく思うが、後のことは出来た弟に任せるとしよう。


「ん?」


 と、現状に一応の納得をつけたところで、翔馬はようやくその存在に気がついた。


 土下座をする少年、である。


 翔馬が目覚めた場所のすぐ目の前、どうしてこれまで気がつかなかったのか不思議なくらいの至近距離に、眼が覚めるような美しい土下座を決めた少年がいた。


 少年は翔馬の視線を後頭部に感じたのか、額をゴリゴリと大地に押しつけて、言う。



「ごめんなさい。間違えて君を殺してしまいました」



「…………」


 時が止まったかのような沈黙と静寂。


 最初、翔馬は彼がなにを言っているのかよくわからなかった。


 しかしやがてその意味を理解して、


「ちょっと待った。つまり俺が死んだのは間違いだったと? 手違いでしたと?」


「はい、そのとおりです。当方のちょっとした手違いというかおっちょこちょいで……てへぺろっ!」


「ごつん!」


 頭を上げてかわいらしく舌を出す少年のあごに向かって、翔馬は全力のアッパーを食らわせた。


 思い切り舌を噛んだ少年は、目尻に涙を浮かべて翔馬に詰め寄る。


「いきなりなにするんだよ! 舌を噛んじゃったじゃないか!」


「うるさい! そのまま噛みきって死ねばよかったんだ! それでようやく俺の命に対する対価になるんだからな! あとイケメンは死ね!」


「でもさっき死んだのはそんなにショックでもないって」


「強がりだよ! 全力の強がりに決まってるだろ! 死んだのがショックじゃないって、ショックに決まってるだろ馬鹿! あとイケメンは死ね!」


「……さっきから個人的な八つ当たりが混ざってる気がするんだけれど」


「イケメンは死ねぇえええええええええええ――――ッ!」


 奇声じみた声をあげる翔馬。


 顔をあげた少年は、柔らかな金髪がまぶしい、見ようによっては少女にも見えてしまうほどの美少年だった。華奢な身体に白い布を巻き付けただけの格好だが、後光を感じるほどに神々しい。


 とりあえずこいつは敵だと年齢=彼女いない歴の童貞力で感じて、翔馬はにらむように少年を見下ろした。


「それで、お前は誰だよ? 俺が死んだ云々言ってるのを見るかぎり、なんか人間じゃない感じだけど?」


「ボク? ボクはね、いわゆる神様っていう奴だよ」


「ほう? つまりその事実とさっきの話を合わせて導き出された結論は、俺が死んだのはすべてお前が悪いと?」


「理解が早くて助かるよ」


「死ねよこの土下座神!」


「おっと」


 再び殴りかかる翔馬だったが、神を名乗った少年は体重を感じさせない軽やかさで飛び退いて、拳から逃れた。


「落ち着いてくれよ。ボクも反省してるんだからさ」


「反省くらいで済む問題か! 俺は死んだんだぞ? 死んだ人間は生き返れないわけで、ああもう、この先俺はどうやって生きていけばいいんだ――って、もう生きてないんだけどね俺!?」


「冷静そうに見えてけっこう混乱してるね」


 さもありなん。死んだと思ったら神様との邂逅だ。これで落ち着いている人間の方が少数派だろう。


 ……結局、翔馬が落ち着いたのはそれから三十分ほど喚き散らしたあとのことだった。


「君も落ち着いたようだし、そろそろ先の話をしていいよね?」


 友好的な笑顔で接してくる土下座神に、むっつり口を結んだ状態で翔馬は先を促す。


「じゃあ、まずは状況の整理を。君は死んだ。それは事実だし変わらないし覆せないんだけど、君の場合はその死がボクの不注意によるものだった。これでそのまま虚無の彼方へ溶けて消えろというのは、あまりにも酷な話だ」


「だったら生き返らせてくれるのかよ?」


 さらりととんでもない世界の秘密を言われた気がするが、どうやら本筋には関係ない話のようなので翔馬はそれだけ尋ねた。


 死者蘇生。おとぎ話の中にしか存在しない奇跡だが、神様と対面しているのだから十分あり得る可能性だろう。


(こいつが神様だってのは、恐らく本当のことだろうしな。土下座神だけど)


 期待を込めて見つめる。

 だが神は無慈悲にも首を横に振った。


「死者蘇生は可能だよ。でも、君にそれをしてあげることはできない」


「……そうか」


「死者を蘇らせるというのは色々と問題があってね。でも、君を新生させることはできる」


「そうだよな。死んだらそこでもう人生終了だよな…………へ?」


 首を横に振られた時点で諦めモードだった翔馬は、きょとんとした顔で土下座神の言葉の意味を考える。


 新生。新しく生まれる。それはつまり……。


 彼は土下座していたときから変わらない慈愛の笑みのまま、優しく翔馬の肩を叩いた。


「だからね、君を君のままで新しい人生に送り出してあげることはできるんだよ。まあ、言ってしまえば転生だね。もちろん、わざわざ赤ん坊からやり直しのおむつプレイとか、そんな見ていてつまらなげふんげふん――もとい面倒な手間は省いてあげるよ。君は君のまま新しい人生を始めるのさ」


「それってつまり生き返るのとほとんど同じってことだよな? 普通の人間と同じように生きられるんだよな?」


「まさか。一度死んだ人間が普通の人間と同じに生きられると思っちゃあいけないよ」


「うぐっ。そう上手くはいかないか。やっぱり弱点とか欠点とかがあるんだろ? 寿命が短かったりさ」


「逆だよ。死を経て死の先へ行く君は死を超越している。はっきり言うけど、ただ生きてるだけの人間なんか目じゃないさ」


 ここまで聞いて、翔馬は土下座神の言わんとしていることが理解できた。


 ごくりと生唾を飲み込むと、土下座神の顔を真顔で見つめる。


「チート?」


 土下座神もまた、翔馬の顔を見て真顔で返した。


「そう、チートさ」


「具体的には?」


「最高の身体能力。死を超越する能力。ついでに精力増大。あとは……今回はボクがすべて悪いんだ。ランダムで特殊能力をひとつ付加してあげようじゃないか」


「よし、俺もお前のおっちょこちょいを許してあげようじゃあないか!」


 がしりと力強く握手を交わす人と神。このときこの瞬間、翔馬は本当の意味で目の前の少年が神様であると了解した。


「よっしゃ! それならなにも問題ないどころか、むしろ死んで嬉しい! 死んでハッピー! 俺の時代は死んでから来たぜ!」


 翔馬は恥も外聞もなく万歳して喜ぶ。


 死んだことが悲しくないというのは嘘でも、現実の日々に飽いていたのは本当だ。与えられる能力がどれほどのものかはわからないが、少なくともこれまでの人生よりかはおもしろおかしくなるだろう。


 ただ、もしも叶うなら、力を手に入れて向かうべきは現実ではなくて――


「これであとは元の世界に戻るんじゃなくて、ファンタジーな世界に行けるって展開なら言うことないんだけどな!」


「行けるよ」


 たまらず口にしてしまった願望は、あまりにもあっさりと神様に叶えられた。


「君がそれを望むなら行けるとも」


 ――かくして、鈴森翔馬改め勇者ショウマは異世界の地に降り立ったのだった。


 お姫様の前に。


 全裸で。






      ◇◆◇






「土下座神マジふざけるなよ裸で召喚とか聞いてないというか精力増大してくれるならあっちも増大させておいてくれよマジで死にたいってもう俺一回死んでるんだけどねああでも死にたい」


 一人肺活量の限界に挑戦しながら、ショウマは用意してもらった服に着替える。


 フリージアと名乗った王女に召喚されたあと、ショウマは礼拝堂から同じ敷地内にあった城へと案内され、貴賓室に通されていた。


 勇者を迎え入れるだけあって豪奢な部屋で、家具や調度品も高そうなものばかり。着替えも襟や裾に刺繍がふんだんに施されている見事な品だ。これであの土下座神のような容姿ならさぞ似合っていただろうが、姿見に映っているショウマの特徴らしい特徴のない凡庸顔は、明らかに服の格に釣り合っていなかった。


「くっ、なんで俺は能力だけじゃなくて容姿の方にもテコ入れをお願いしなかったんだ。勇者になるんだから格好よく行こうと思っても、これじゃ無理だろ。……どちらにせよ全裸だった時点でオワタなわけだが」


 ショウマは半ば本気で一度死ぬことを考える。

 土下座神の説明によれば、ショウマの魂はまた死を迎えることで、自動的に死を超越した瞬間に回帰するらしい。


 死を超越というのは、つまりこの異世界へ転生した瞬間――召喚された直後だろう。となると死に戻ったところで全裸なことに変わりはない。するだけ無駄だ。回帰できるといっても死ぬ苦痛や恐怖がなくなるわけではないのだから、出来るかぎりの無駄死には避けなければ。


 もちろん、死が終わりではないというのはすさまじい特典なのだが。


「しっかし……本当に異世界に来たんだな、俺」


 着替え終わったショウマは部屋に隣接する広いテラスへ出た。


 そこから見えるのは街並だった。

 現代日本でいつも見ていたビルばかりの街並ではない。西洋風の城を中心として円錐状に広がる異世界の街並だ。


 ここで初めてショウマは神から与えられた最高の身体能力という特典を実感した。超人的な身体能力には視力も含まれるらしく、意識して目を凝らせば、ショウマの位置からでも街で暮らす人々の営みを垣間見ることができた。


 大通りを行き交う市民たち。露天商の快活な笑顔。街を囲う城壁には鎧を身につけた兵士の姿がある。さらにその先には広大な緑の大地が広がり、隆々たる山々が地平線にそびえていた。


 土下座神曰く、この世界はいわゆる剣と魔法のファンタジーな世界で、なんちゃって中世ヨーロッパな世界観らしい。


 転生できる世界はショウマが元々いた世界に限らないと教えられ、選べる世界のひとつにこんな夢のような世界があると紹介された時点で、ショウマは元の世界に戻るという選択肢を捨てたのだった。


 さらに――勇者様、勇者様である。


 転生するにあたって、ショウマには向かう世界における自分の立ち位置を決める権利が与えられた。


 自由気ままな旅人として世界を見て回ってもいい。

 商人として現地の住人と駆け引きに興じるもよし。

 貴族の家に生まれてNAISEIするのも楽しいかも知れない。

 そして――勇者として魔王を倒す冒険をするのもおもしろかろう、と。


「やや王道すぎる気もするけど、やっぱりファンタジーといったら勇者だよな! 血湧き肉おどる冒険! 仲間たちとの絆! そしてなによりお姫様とのラブロマンス! 全裸のことだけは絶対に許さないが、土下座神、お約束がわかってるじゃないか!」


 最初こそ少しつまずいてしまったものの、それ以外はまさに希望したとおりのものだった。勇者としての立場と、なによりかわいらしいヒロイン。叶えられた立場を自覚して、改めて喜びに打ち震える。


「ぐふふふふ。脱童貞の日も近そうだな、っと」


 いやらしい笑みを浮かべていたショウマを我に返らせたのは、部屋の扉を叩く控えめなノック音だった。


「失礼致します、勇者様。着替えはお済みになられましたか? なにかわからないことがございましたらお手伝いさせていただきますが」


 扉の向こうから聞こえてきたのは、聞き心地のよい少女の声だった。


 ショウマは頬を軽く叩くことで気持ちを切り替え、精一杯凛々しい声を作る。


「着替えは終わっている。入るがいい」


「失礼致します」


 許可を出すと、扉が開いてメイドが入室する。


 メイドは金色の髪をツインテールに結んだ小柄な少女だった。勇者召喚の儀に同席し、ショウマをこの部屋まで案内してくれたフリージアの従者である。


 彼女はショウマの格好を確認すると、問題ないと言わんばかりにひとつ頷く。


「国王陛下が勇者様に一目お会いしたいとのことです。玉座の間にご足労願ってもよろしいでしょうか?」


「問題ない」


 ロールプレイングゲームだと定番だしな、と心の中で付け加えながら、メイドに促されて部屋を出る。


 石造りの長い廊下を進んでいくと、やがて大きな扉が見えてきた。

 そこでは門の両脇を固める甲冑姿の兵士のみならず、一人のお姫様が勇者を今か今かと待ちわびていた。


「勇者様、その服とてもお似合いです!」


 開口一番、弾んだ声でショウマの姿を賞賛したのは、転生直後に出会った麗しき姫。フリージア・シャトリアその人だった。


 腰まで伸びたラベンダー色の髪。思慕の熱に潤んだ琥珀色の瞳。

 年齢は一六歳前後。ショウマとそう変わらないように見える。整った顔にふんわりと柔らかな笑みをたたえている。


 白を基調とした清楚なドレスを身にまとった姿は、まさに『姫』というにふさわしい清楚可憐さである。礼拝堂で初めて会ったときにも見惚れてしまったが、明るい場所で改めて見て、またしてもしばし見惚れてしまう。


 それはフリージアの方も同様で、頬に手をあて、ほぅと恍惚のため息をもらす。


「本当にとても凛々しいお姿で……私、こうして目の前にしているだけで卒倒してしまいそう」


「そ、そんなに褒めるなよ。照れるじゃないか」


 これまで容姿を褒められた経験がないショウマは、フリージアのストレートな褒め言葉に口をもにょもにょさせる。勇者らしく威厳をもって振る舞おうと思っていたのだが、それをさっぱり忘れてしまうくらい嬉しくて恥ずかしい。


「……格好いい? これが? フリージア様は美的感覚が狂っていらっしゃるのでは?」


 背後でメイドが失礼なつぶやきをもらすが、自分たちだけの空間を作る二人の耳には届かなかった。


「服が似合ってるのはそっちもだし? なんつーか、その、かかか、かわいいんじゃね?」


「本当ですか? 嘘じゃないですか?」


「嘘じゃないって! かわいい! フリージア超かわいいよ!」


「勇者様も超格好いいです!」


「ちっ」


 メイドは盛大に舌打ちすると、はしゃぐ二人の視界に割り込む形で身体を差し込んだ。


「フリージア様、勇者様。陛下がお待ちですので、お話はそこまででお願いします」


「お、おう! そうだった! 王様イベントの途中だったな!」


「でしたら、ここから先は私がご一緒させていただきますね、勇者様」


 他人の目があったことを思い出して赤面するショウマとは違い、フリージアは気にした素振りもなくショウマの手を取った。


「さあ、どうぞこちらへ。お父様を紹介致します」


「いってらっしゃいませ」


 頭を下げて見送るメイド。

 職分を弁えて、これまでじっと黙ってたたずんでいた兵士たちが扉を開く。


 国王との謁見をRPGのお約束程度にしか思っていなかったショウマだったが、玉座の間に足を踏み入れた瞬間、自然と背筋を正してしまった。部屋の奥にある玉座へ続く赤絨毯の左右に立ち並ぶ、正装した貴族たちの値踏みするような視線に気圧されたのだ。


「よくぞ参られた、勇者殿」


 フリージアに手を引かれるまま、玉座の膝元まで連れてこられた勇者に対し、シャトリア王国の国王は立ち上がると、両手を広げて歓迎の意を示した。


「まずは礼を言わせていただきたい。よくぞ我が娘の呼びかけにお応えくださった。これで我が国――いや、この世界は救われる!」


「大丈夫だ。問題ない」


「この世界の情勢を知られながら、なんと頼もしいお言葉! 余はこの感謝を伝える言葉を持ち合わせていない! ゆえに、勇者殿。どうかこの不祥の王めに、あなたを抱きしめさせておくれ!」


「大丈夫だ。問題……しかない!」


 五十近いひげ面の男に思い切り抱擁され、雰囲気に持って行かれていたショウマの魂がようやく戻ってきた。全身に鳥肌が立つ。


「魔王軍の容赦ない侵攻におびえるしかなかった日々が今、終わりを告げるのだ! 今日という日こそ、人類が反撃の刃を掲げる日! 歴史に刻まれる日となろう!」


「そ、そっすね。うっす。がんばります」


「うむ! うむ! 勇者殿はまさに男の中の男よ!」


 感涙にむせび泣く国王の鼻水攻撃を必死にガードするショウマは、もうさっさとこの場所から逃げ出したい気分でいっぱいだった。このままだとファーストキスまでこの国王に奪われそうな気がしてならない。


 隣でもらい泣きしているフリージアも含め、誰も助けてくれる気配がなかったので、仕方なくショウマは自分からイベントを進めることにした。


「王様の気持ちはわかりました。堪え忍ぶ日々にさぞ心労がたまっていたことでしょう。ですがご安心を。この勇者ショウマがすぐに魔王を倒して参りますので!」


 だからさっさと軍資金をよこせよクソジジィ――心の中でそう付け足しつつ、表面上は頼れる勇者を装って啖呵を切る。


「勇者様……!」


 この頼もしい発言には、フリージアも感激したようだった。胸の前で手を組んで、頬を赤らめている。


「勇者たま……!」


 それ以上に国王がきゅんきゅんしていたが、気のせいということにしておく。


「では俺は行く。失礼!」


 ショウマは国王の肩をつかんで引き離し、背中を向ける。


 もちろん、このまま本当に立ち去る気はない。帰る振りをすることで、国王に呼び止めてもらい、軍資金を渡す流れになるよう仕組んでいるに過ぎない。


「待たれよ、勇者殿! 我らに出来るせめてもの心づくしを受け取っておくれ!」


 ショウマの背に向かって国王が制止の言葉を投げかける。ショウマの口元が弧を描いた。


 計画どおりに王の口からは勇者の旅の助けになるべく、


「魔王軍との最前線へ向かう馬車を用意させていただいた。戦場に着くまで、どうか勇者様は体力を温存しておかれよ」


「ふぁっ!?」





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