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Prelude
人生の終わりはトラックのブレーキ音だった。
なにが原因だったのかはわからない。
横断歩道を渡っていたとき、信号はきちんと青色のランプを点灯させていたから、恐らく問題だったのはトラックか、その運転手の方なのだろう。あるいは別に原因は存在するのかも知れないが、そんなことは死んでしまった身には関係のないことだった。
……そう、死んだ。
猛スピードで迫ってくるトラックを見た瞬間、死を覚悟した。
次にこれまで感じたことがない衝撃が全身を駆け抜けるに至って、ああ、自分は死んだのだなと実感した。
だから、人生の終わりはトラックのブレーキ音だった。
ならばこれは、新しい人生を告げる福音なのかも知れない。
だから思うのだ。たとえこの先なにがあったとしても。
「ごめんなさい。間違えて君を殺してしまいました」
この言葉だけは忘れることはない、と。
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