アドル=ブレイブ‐Loser‐
2021年12月24日。この日を私たちは、人類最後の日、[リスタートデー(Restart Day)]と呼ぶ。
宇宙人、「アスロニカ」は、12月17日を起点として、地球を侵略。わずか7日で地球の全国を降伏させ、占領した。
滅亡を予想していた人類は、恐怖に震えたが、「アスロニカ」は、何もしなかった。
むしろ地球の慢性的な問題、環境、戦争、資源、食料などを解決した。
人々は「アスロニカ」を歓迎した。
いつの間にか「アスロニカ」は芸能人(人間に近い姿をして、みんな善男善女であった)のように呼ばれるようになった。今はアスロニカ人みたいになりたいと思うようになった。
しかし、我々が支配を受けているという事実は変わらない。いつ彼らの心を変えて、私たちを虐殺するか分からない。彼らには、一日に人類を抹殺させるほどの科学があるから。
そのような主張を日陰で続けてきた僕だが、今こそはっきり言うことができる。
彼らは、明らかに人類を虫以下に考えている。
それじゃないとこのような考えをすることができない。
惑星をかけたゲーム。
ひたすら自分たちの遊びのために用意されたゲーム。
人類は、ここで自分たちの強さを試す。
2025年5月1日、世界新聞
投稿者。 Christina Edward
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まっすぐ、水玉が落ちる。
腰につけた小さなランタンが視野を明らかにしてくれる唯一の手段。いつ、どこで化物が現れ、命を狙うかわからない状況で、アドルは少しのためらいもなく、前に進んだ。
滅亡した世界のセントポール大聖堂がこのような雰囲気だろか。人間だった存在の死体と赤黒い液体、 壁にある爪の傷跡が過去にあった惨状を知らせる。
「……」
アドルが足を止めた。ついに長い廊下の最後に到着したのだ。
巨大なホールの内部も無差別につけた傷痕でいっぱいたった。それでも神秘的な雰囲気は消えずホール全体を覆っている。アドルはここが最後だと直感して、クイックスロットの回復玉を取り出して破った。すぐに左上の赤いバーが最後まで上がった。
事前準備が終わった彼が一歩足をホールに踏み出した瞬間、巨大な地震が始まった。
大聖堂を崩す勢いで揺れ動く地震はアドルがホール中央に到達するまで続く、嘘のように消えた。
そして。
「Graaaaaaaaー!」
大聖堂の壁を粉砕出し悲鳴を出しながら異形な怪物が姿を現した。
皮膚がはがれ血に染まった巨大な肉体、半分がぐちゃぐちゃになった顔に馬の頭のようなものが出ている。それにもどこか人間だった形が残っていた。
どこかの記事だったかもしれない。アドルは化物の背中に担ぎれたエメラルド色の弓を見て思った。
視線の下に見える[怒りに駆られた化物、トロア]という名前と長いHPバーを確認しながらアドルは剣を抜いてかかる。
やがて、トロアがアドルの命を狙って跳んだ。
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1時方向にステップ(Step)。最も基本的な回避動作だけでトロアのあの振り回しを避けアドルはすぐに背中を狙った。ボスを攻略するのに一番簡単な方法は、すぐ後をとること。しかし、トロアの後ろ足次期が飛んできた。
「くっ…!」
すぐに体を転がしてトロアとの距離を得るアドル。
振り回した剣は確かにトロアに触れたが、ダメージはほとんどなかった。アドルは回復玉を使用してながらトロアの連続攻撃を避けた。
「Grrrrrrr」
トロアが立ち止まって低く首を擦る音を出す。
(今だ。)
攻撃が繋がらない時を狙って短剣を取り出し投擲するための姿勢をとった。すると体が一回煌めく、アビリティエフェクトが発生し、体が自動的に動いてモンスターの頭に向かって短剣を投げた。
しかし、短剣はモンスターに届かなかった。
「消えっ、た?!」
驚きに満ちた声。状況把握している時間はない。アドルは全力で走った。そして、自分のすぐ下に巨大な影が発生したことをきつ気付き全力で飛ばした。
さっきの地震はこの怪物が原因だったと確認させてくれる衝撃が大聖堂を揺るがす。もしアドルがその場にじっと立っていたら一撃で死んだかも知れない。
(危険だった。即死パターンが二つほどあると聞いたが初めに来るとわ…)
危険はここで終わりではなかった。
続く攻撃も鋭かった。長い爪はアドルの体をめちゃくちゃにするために連続で振り回す、なんとか4連撃を避けた後は攻撃する隙も無く距離を得られた。短い時間だけ動きを止まったが、すぐに消えてアドルの圧死するために巨大な体を飛ばしてきた。
単純なパターンだが、その分脅迫的だった。一回のミスが死に通じる。
そんな状況の中でも落ち着いて得た情報を整理するアドル。消えたHPを回復玉を使って補足した。
時間と物質に余裕があったら、じっくりパターンを研究して次の攻略に利用だろうが、残念ながらここまで到達するのに予想以上の量を消費したせいで余裕がない。横目で回復玉が12個、残りのものを確認し、モンスターの攻撃を避けた。
(今は、勝つ!)
4回の連続攻撃による硬直が発生し、その隙間を狙って正面ステップ、体が光に点滅した。成功に腕の中え入り込んだアドルが強烈な突きでモンスターの船を打ち抜く。
スマッシュ。ボスのスーパーアーマーを打ち壊して姿勢を乱すアビリティに化物が衝撃を受けて後ろに押し出された。
水が流れるようにつながる動作。アドルは化物の膝を踏んで駆け上がり、馬の頭を狙って剣を振った。
「Graaaaaaー!」
化物が奇声を上げてひざまずきた倒れた。弱点打撃、あるいは一定以上のダメージを受けた時に発せする硬直。アドルはそれを逃さず剣を打ち込んで、スナッチをした。
パアッとHPが大挙削られていく。
ダンジョンに来る前に得た情報を通じて馬の頭が弱点というのは知っていた。
(スナッチとフレアを使用して、3回くらい...)
ダメージ計算をしていた中、トロアの状態がおかしくなり、イベントシーンが始まった。
「Gr、grrr、く、ううっ、うわああああああ!」
トロアの悲鳴が少しずつ人間の声に変わる。ひざまずいて自分の顔を隠したまま痛みに叫ぶ。
「おれは、おれは、俺、はー!」
何かを思い出すような、自分の頭を爪で掻き上げていたトロアが、自分についていた馬の頭を強引に取り投げ出した。
赤黒い血がバケツの水を空けるように床をぬらし肉が落ちたが、トロアはうめき声も悲鳴も止まった。むしろ楽になったように脊椎を真っすぐ立て背中の弓を手にする。
「ああ…俺の友、俺の愛。」
半分目に生気が戻ってきて、長い爪が折れて落ちる。
「君を失った悲しみは、言葉で言うことはできまなが...」
アドルを狙う弓。彼が弦を引くふりをすると、灰色の弦と矢が手に取られた。
「戦いを止めることはない 。」
イベントシーンが終わって、アドルは自分の体が動くことを確認したが、攻撃態勢を取り戻すことは出来なかった。かすかに震える手足。
「嘘、だろ?」
恐怖や驚愕による震えじゃない。今アドルは、トロアに戦慄を感じていた。
黒い魔女によって理性を失って怪物になった彼が、自分の意志で魔女の呪縛を壊した。それがどれだけ難しいか、どれだけ偉大なことなのか、この時まで相手してきた数多くの化物たちを思い出すと簡単に分かる。
おそらく最初で最後、感動さえ感じる光景。
アドルは震える手を何とか止めて苦い感情をのぞかせながらトロアを見た。
驚異を表したい。しかし、それと同時に、これはゲームだと冷静に判断する自信がいる。
二つの感情中、どちらを選ぶのかは決まっていた。だからアドルは剣を戻し、短剣を三つ出した。
[後悔を飲み込んだ記事、トロア]に変わった名前と半分程度削られたHPバー。本来なら激しい戦いを通じて残りの命を削ってなきゃいけないが、アドルは目を瞑って他の方法を選んだ。
アドルは自分に向かう矢を避け、トロアの頭にできた傷に短剣を投げた。
単にその行動にトロアの攻撃が止まりつまずく。続く短剣二つに、完全に座り込ん苦しむ。
その間のきょりを縮んだアドルが左手を差した。
スフォルネジ。多く削られる赤いバー。トロアが飛んで倒れる、アドルは止まらず、次の攻撃を敢行した。
「申し訳ありません。」
心で謝罪をし、左手を打ち込み入れかた