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初めての依頼

事務所を開いてから早くも6日が経った。この間に事務所の看板を作ったり(メインの看板はこの世界の文字は書けないため、ラメアにお願いした。後、日本から来た異世界人用に日本語で書いたものも作ってみた)、主に事務所として使う部屋の内装を整えたりして準備した。その後はポスターの様な物を作成し、事務所の宣伝を街でした。後はラメアの知り合いで情報通的な人と顔合わせしたりもしたな。


あ、そうそう。あの後ラメアに魔法の適性があり、解析と魔力変化の魔法が使用できる事を説明した。解析の魔法の事を話した時、一瞬だが困った様な表情していた様な気がした。その後解析の魔法をラメアに使っていいか聞いてみたらアッサリ了承してくれたので、気にしなくて良いか。因みに人に解析の魔法を使用した場合、その人の名前、種族や状態、などギルドで使っていた水晶にあった情報が詳しく分かる様だ。あれ?ラメアの種族の欄、人間って表示だけどこの欄を見る時少し腕輪の宝石が光ったような気がしたが何だったんだ?


そんなこんなで日にちは過ぎていった。魔法の方はかなり捗り、魔法書の魔法を幾つかと、それを元に作った創作魔法まで完成した。したのはいいのだが別の所で大き過ぎる問題があった。


「来ませんね、お客さん」

「そうだなラメアさ、じゃなくてラメア」


そう、依頼人が来ないのだ。元の世界でも最初は来なかったが、イナがインターネットでホームページを作ったりししたお陰で徐々に依頼人が来てくれたのだが、この世界にはインターネットは存在しない。どうするか。魔法の方だけ捗って新しく魔法を幾つか習得出来たのは良いがいい加減依頼が欲しい。因みにラメアは意地でも口調を直そうとして色々言われた結果、流石に慣れてはきたが直す必要はあったのかはよくわからない。尚、ラメアその口調なのか?と聞いてみた所「私は別にいいんです!」と言われてしまった。何だろうなんか納得いかないがそれ以上何も言わせないぞと笑顔で雰囲気を醸し出していた。なんなんだ本当に。


「なんかなんでも良いから依頼来ないかな」


そんな事を話していると突然トントンと玄関のドアが叩かれた。ラメアの家を事務所として使わせて貰っているが、実際に事務所として使っている部屋は、玄関からそのまま入ってすぐの部屋を使っている。家の構造上、此処からリビングや自室に続く階段などに行けるようになっている。元々何の為の部屋なのかは分からないが、そこそこに広さもあり使い勝手が良いため重宝している。


「はい、どうぞ」

「ここがクレバシ探偵事務所って所で大丈夫ですよね」


そう言って入って来たのは赤い髪と猫の様な耳と尻尾を付けた女性だった


「はい、そうですよ」

「あの、シャーナを探してくれませんか?」



取り敢えず女性を部屋の椅子に座らせて、反対側に俺も座る。

ラメアは麦茶の様な物(この世界特有の茶葉を濾して俺が作って置いた。味は麦茶っぽいのだが少々癖があった)をコップに注いで持ってきた。


因みにこの麦茶もどきはかなり冷えている。この世界には電化製品は無いが、マジックアイテムには水道の様な物や洗濯機の様な物、そして冷蔵庫の様な物まであるのだ。使う時には核となる石に少量の魔力を流す(物に魔力を流すだけならば、魔法の適性が無くても出来る)だけで使える。まぁ言ってしまえば原理こそ違うが元の世界の電化品は殆ど再現されていると言って良いほどだ。多少高価ではあるが核が壊れない限り損害は特になく、修理もかなり安く済むようだ。それがこの家のキッチンには当たり前のようにあった為使わせて貰っている(この世界に来て初めて料理した時にはもうある事は知っていたが、あの時は半信半疑だった為特に疑問に思わなかった)。


「で、ご依頼で宜しいんですよね」

「は、はい、私はセリーナと言います」

「セリーナさんは見た感じ獣人の方ですよね」

「はい、そうです」


獣人か。初めて見るな。ギルドで聞いた話だと、人間の種族の一つだが魔物(人間側の種族以外の生命、所謂動物)の特徴を少し所持しているのだとか。セリーナさんだと猫耳と尻尾だな。その他は人間と余り外見は変わらない。魔法を使えるものはいないのだが、その代わりとなる技を使えて(ただしこれも誰もが使える訳では無いらしい)、更に獣化と言われる所謂変身などを使う。中には獣化より強力な姿になる者もいるとか言っていた。その為戦う時は武器は使わずその体で戦うものが多いとか。


ついでに言って置くと、この世界には人族と呼ばれるのは、人間、獣人、エルフ、ドワーフなどがおり、他にも種類があるらしい。で、エルフは長命で魔力が総じて高く、魔法が使えない者でも基本的に剣術に長けている。その力で危機を救われた種族は多く、エルフを守神して称える人族も多いとか。

ってエルフの話はいいんだよ!今は依頼だ、依頼!


「今回お願いしたいのは、私の友で魔物のシャーナを探して欲しいのです」


セリーナさんの話をまとめると、小さな頃から一緒に暮らし、共に強くなっていった相棒のシャーナが昨日共に街へ出かけた時にふと目を放した隙に居なくなってしまったのだとか。そのシャーナと言うのはケランキャットと言う成長しても子猫サイズの魔物らしく、子猫サイズと言っても成長すれば高い瞬発力で相手を翻弄してかなりの強さなんだとか。


だが、急に逃げ出す様な事は今まで無かったらしく、夜に家にも帰ってこなかったので、何処かで迷子になっているかも知れないと思って探したが見つからなかったのだと。で、ギルドで探して貰おうとしたが迷子探しは引き受けて居なかったらしく困っていた時に、この事務所の事を知り依頼しに来たのだとか。


「しかし、探すにしてもどんな姿か分かっていた方がいいか。写真があるといいんだか……」

「じゃあ特徴を教えてくれませんか?絵に書いてみます」


そう言いどこからか鉛筆の様な物と紙を持って来て、セリーナさんに特徴を聞いている。そう言えばラメアって普段本を読んでいる事が多いんだよな。暇さえあれば本を読んでいる気がする。一回自室を見せて貰ったのだが、大量の本で、部屋の殆どを占領していた。何だろう、俺の帽子を集めているのと同じ匂いを感じる。まぁ、それはともかく、どんな絵が完成するのだろうか。



「よし、こんな感じかな」


暫くして絵が完成したようだ。


「凄い、まるでシャーナを見た事あるみたい!」


俺もその絵を見てみる。そこにはデッサンの描き方で、猫の様な生物が描かれていた。かなりの完成度だ。


「えへへ、昔絵についての本を読んで、それで興味を持って、練習した事があるんですよ」

「じゃあこの絵を参考にしてそのシャーナって子を探す、それで良いですか、セリーナさん」

「はい、お願いします」


帽子が無いからか、なんかしっくり来ないが仕方が無い。

この世界での初めての依頼だ。バッチリこなさないとな。

切りがいいので短めですが此処で切りました。

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