プロローグ 始まりの朝
プロローグと一話目は凄く短いです。
「ふぅ、これでやっとこの依頼も完了か」
俺は暮橋 楓矢、私立探偵だ。小さい頃から人を助けられる事をしたいと思って辿り着いたのが探偵だった。
俺は高校卒業後、中学生の頃知り合った1人の探偵に弟子入りをした。そして2年間師匠の元で教えを受けながら働き、そして1年前に遂に独立して自分の事務所を持った。
そして今は俺の事務所の従業員、俺を含めて5人で何とかやり繰りしている。依頼は割と来る方だが、何時もややこしい事になる依頼ばかりだ。今回の依頼も猫一匹で大変な騒ぎになったもんだ。
「あ、やっと帰って来た。この今日出した帽子、早く片付けてね。勝手にやると煩いのは楓矢なんだから」
「分かった分かった。片付けますよ」
彼女はイナ。勿論あだ名だが、本名で呼ばれることを少し嫌っているからこいつの知り合い大体イナって呼んでいる。高校からの同級生で、俺が事務所を開いた時に最初に此処で働いてくれると言ってくれたのがこいつだ。性格は少し気弱だがやると決めた事は絶対に曲げない心の芯の強さを持っている。
こいつに助けられた事は多い。
しかしどうやらイナ以外の事務所の奴はは帰ったみたいだな。
で、イナが言っている帽子ってのは俺の趣味で集めている帽子だ。俺は中学生時代から探偵小説にハマっていた。その影響で小説の中の探偵がよく帽子を被っているってイメージから最初は集めてたんだが、いつの間にか帽子そのものに魅力を感じていて今でも色々な帽子を集めている。
因みに師匠も仕事の時には帽子を被っていて、お気に入りはベースが黒でリボンが白のソフトハットだった。
で、この事務所は俺の住居も兼ねている為コレクションの帽子も此処にあるって訳だ。
「今回の報告書は私が書いておくから帽子を片付けたら楓矢は寝てもいいよ」
「済まないな。そうさせて貰うよ」
帽子を片付けた俺は寝室ととしている部屋に向かった。今日は疲れたから風呂に入る気力も無い。
さっさと寝巻きに着替えてベットに倒れ込む。
そして直ぐさま睡魔に襲われるのだった。
◎
「そろそろ起きて下さい、朝ですよ」
ん?イナか?
久々によく寝た気がする。仕方ない、起きるか。
「あ、やっと起きてくれましたね」
ん、誰だこいつ?髪と瞳の色は茶色に赤を混ぜた様な色で肌がかなり白い。かなりの美人だ。
ってそうじゃなくてそもそも此処は何処だ?
少なくとも俺が寝ていた部屋では無さそうだ。デザインはかなり洋風な寄りで、それでいてシンプルだ。
「お前は誰だ?後、此処は何処だ?」
「私はラメア=アスエルと申します。それと此処は私の家の様な所です。それより貴方こそ如何したのですか?昨日の夜、此処の前で倒れていましたけど」
どうやら見た目や名前からして日本人では無さそうだな。
「俺は暮橋 楓矢、楓矢が名前だ。しかし、俺はそこらへんで倒れてたというのか?」
どうゆう事だ?俺は事務所と言うか家で寝てたはずだ。
「はい。取り敢えずと言うことで此処で寝かして居ましたが、見た所この世界の人では無さそうですね」
「なんだ、此処が異世界だとでも言うつもりか?そんな馬鹿な」
小説や漫画じゃ有るまいし異世界漂流なんてあるはずない。
「では、外を見てみてください」
ラメアさんが窓を指してそう言うので試しに見てみる。其処には
「な、なんなんだ此処は!?」
まるでファンタジーな世界にでも来た様な街並み、そして見た事も無い生き物がそこら中を犬が散歩するかの様に歩いていた。何より驚いたのは一部の人が火や水などをマジックなどの比ではなく、自然法則など無視して操っていた事だった。