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奇縁巡りてハジメに戻らん  作者: 樋口イチオー
1/5

運命は唐突に?若しくは完全確定の運命

完全オリジナルで書いています。

もし楽しんでいただけたなら幸いです!!

 オレは机を挟んで座る二人の少女を見比べた・・・。二人共相当な美人である、と思う・・・。

一方は白銀の髪を床に届くほどに長く伸ばし、赤い目をした線の細い少女。純白の着物を身に纏い、朱色の細紐で腰回りを留めている。

こちらはオレの姉であり、オレとは血は繋がっていないものの、俺の唯一の家族だ。

もう一方は・・・俺と同い年くらいの少女だ。だが、黒髪黒目に黒いスーツを着こなし、オレが淹れた苦めの紅茶を静かに嗜む様は近寄り難く、少女というよりは大人の雰囲気である・・・。

こちらは初対面の人物であり、そもそも初めて目にした生物なのだと言うから驚きだ。

右側に座るのは姉であり、育ての親である、〝崇り神″。超常の力を持った存在、らしい・・・。

そして、左側に座っている少女は、自らを〝死神〟と名乗った。こちらは本物の神なのかは判らない・・・・だが。

人間に災厄をもたらす厄神と死をもたらす死神(仮定)、そして人間オレが席についている今この瞬間はなんか凄い。どう凄いのかは説明しにくいが・・・・

だが!

「(事情を知らない人から見たら・・・)両手に花とは、正にこの事!!」

「ウザい、黙って」

雰囲気を軽くしようと発した言葉だったが、余計に死神の機嫌を害してしまったらしい・・・。

・・・初対面の片方からは冷たい反応しかない。そしてよく知っている方のもう片方は・・・

「・・・・・・。」

なんと反応がない。

目は固く閉ざされ、いつもはどこか超然として、掴めない表情も今は苦悩の色が濃い。眉間の寄った深い縦皺はそろそろ皺になって残ってしまうのではないのだろうか・・・

そんな訳で、姉ちゃんはどうやら聞いていなかったようだ。

もう3時間程こんな感じなのだ・・・。片方はまるで自分の部屋であるかの様に寛ぎ、家の主は眉間に皺を寄せたまま身じろぎ一つ無い・・・。

お互いに会話はない・・・。

死神が何をしに来たのかすらわからない。ドアがノックされ、開けてみると少女が武器らしい巨大なデスサイスを片手に一人で立っていた。オレは驚いたが、姉ちゃんは驚いてはいなかった。

死神は『交渉に来た』と言ったが、彼女は椅子に座ってお茶を飲み始めてから、ただただただただ・・・・(略)・・・、ただただこの3時間の間黙り込んで、ピリピリとした雰囲気を発散させている。

とにかくオレは、冗談で何とか部屋の空気を軽くしようと思ったのだが、何も起きなかった・・・。

決して狭くはない部屋の中には、今や、険悪な雰囲気、というのを通り越して、文字通り、〝物理的に〟殺気が充満している。ただの人間であるオレには少し耐え難い・・・。

冷や汗が止まらない上、大分気持ち悪い・・・。

「ご、ごめん・・・ちょっと外の空気を・・・」

しかし、立ち上がりかけたオレを死神は手で制した。

「ダメに決まっているでしょ?元凶はアンタよ、分かってるの?この私から無為に時間を過ごさせている、ということを、ねぇ、分かってる?」

死神はそう言ってビシリと、オレに向って指を突き付けたままに俺が淹れたお茶をチビリと啜った。

一見寛いでいるようにみえるが、お互いに殺気をぶつけ合っている。俺の気分が悪くなったのはその余波である。そもそも殺気って物質なんだっけ?という問いは保留である。

なんにしても、直にこちらに向けられれば普通の人間などたまったものではない。

元凶が俺である、という事は死神の目的、つまり姉を苦悩させている原因はオレであるらしいのだが・・・。

そうらしいが、分かったからといって、何か変わるわけでもないし、吐き気が収まるわけではなかった。

「本当にやばい・・・・・吐く」

気持ち悪さはピークに達し、オレは急いで外に駆け出した。ドアまではオレが一番近い!

「あ、ちょっと待って!?・・・あついっっ!!」

死神が慌てて立ち上がりお茶をこぼす。

目の端で姉が死神の行く手を阻むかのように立ち上がった。

「行かせればいい、これぐらいであの子は逃げない。逃げたとしてもワタシは貴方達に追わせはしないけど。」


「流石!姉ちゃん、ナイス!てゆうか、別に逃げようとなんかしてないよ!すぐ戻るって!!」

部屋の中の淀んだ・・・訂正、汚染された空気が漏れ出ないように急いでドアを閉める。

「す~~~~~はぁ~~~~・・・」

そして深呼吸を一つ。

吐き気の元凶から遠ざかり、いつもの景色を見ると幾分気分が落ち着いた・・・。

ここは人間の住む土地の下。  

どこまでも続く真っ白な大地と灰色の石で出来た空。

その境界は遥か先で混沌と混じり合って定かではない・・・。

オレはここで十六年暮らしてきた。何故人間である俺が崇り神である彼女に育てられたのかは分からない。物心ついたときはには既にここにいて、彼女を〝母〟と呼んで一緒にこの家で暮らしていた。

以前、なぜオレはココにいるのか?と彼女に尋ねた事がある。

彼女はひどく傷ついたようだったが、それは、あなたがワタシの子供だから。と冗談めかして静かに笑った。

いや、冗談ではないのかもしれないが・・・血が繋がっていないのは確かだと思われる。

それ以後、オレはその事についてはあまり深く考えないようにしてきた。

そういえば・・・彼女の事を〝姉〟と呼び始めたのはいつだったか・・・。

確か、外界の中学校に通い始めた頃だった。彼女の外見はどう頑張ってもせいぜい十七、八くらいでしかない。反抗期真っ盛りだったオレは〝母〟と呼ぶのに少し抵抗があったのかもしれない。オレは16歳になったが彼女の外見は変わらない。

そのせいで、今や本当に齢の近い姉弟という感じだ。

目を上げればいつも通り、真白い骨で埋め尽くされて歩きづらい地面。

頭上には、ここが外界の地下であることを示す灰色の岩盤。ここでは時間は止まっているかのようだ・・・それでも。

「外界に通うようになってから早十年か・・・」

オレが六歳になった時、姉ちゃんはオレを外界の小学校に入学させた。それからは一人で外界とこの場所を行き来している。

オレは外界で過ごした時間を振り返った。

学校・・・友達・・・夏休みのキャンプ・・・宿題・・・皆で遊んだ思い出・・・。

小学生の時から十年間、学校に通う為行き来した狭い道・・・最初は耐え難いほどに怖かったな・・・。

今では、外界の社会ルールは勿論、〝常識〟なんてモノも人並み以上に身に着けた。学校には友達もできたし、皆で泊まり込みで遊ぶこともある。怪しまれた事は一度として無い。もしこれから外界で生活する事になっても問題は無いだろう。

だが・・・・。

「やっぱり、ここにしか俺の居場所はない!」

しかし、外界に通っていけるのも、帰ってくるこの場所があるからだ。オレはどこにも行かない。

このことを中で殺気を振りまいているあの死神に言ってやろうと思った。

姉ちゃんのあの苦悩の仕方・・・それに死神かのじょの目的はオレだ。それに〝死神〟なんて不吉なキーワード・・・。

なにか〝別れ〟に関係する事柄に違いは無いだろう・・・とオレは考えた。

だが、

「姉ちゃんに任せておけば大丈夫に決まってるな」

いつだって姉ちゃんはオレを守ってくれた。今度だって姉ちゃんがどうにかしてくれるに違いない。

なにより、殺気の充満した部屋の中に戻るのは憂鬱だ。というか、命に関わる。

かと言って中の様子は気になるし・・・

オレはドアの覗き窓に目を凝らした。


       ***


「ちっ・・・逃げたとしても、どうせ逃げ場なんか無いわ。崇り神、お前の存在は危険すぎるの。私達死神はアンタ達をマークしている、逃げ場なんてない。」

死神は零した紅茶を律儀にも拭き取ると椅子に座りなおした。

「ワタシが何処へ行くというのか?何処にも行きはしない。だが、あの子に手を出したならば・・・・許さぬ」

だが、崇り神である少女はその言葉とは裏腹に、視線を落とした。

「なるほど、じゃあ、私がなぜここに来たのかは分かっているんだよね?私達の目的は少年の保護。保護者のアンタには気休めかもしれないけど・・・『少年は私達が責任を持って丁重に保護する』と言わせてもらうよ」

死神は背筋を伸ばし、そう本題を切り出した。

何と無く予感はしていたが、直接聞くと寒気が走った。

「(オレの家はココだぞ・・・? 一体どこへ〝保護〟しようってんだ?)」

コイツ、何言ってるんだ?ココこそがオレの暮らすべき場所なのに・・・

「ええ、わかっている。そのつもりだ。ワタシとしても考えてはいたことだから・・・・」

姉ちゃんは視線を上げ、少女の鳶色の瞳を真っ直ぐに見つめ返し・・・・・って!?

え?何だか話が・・・。これは任しておいても大丈夫なのか?

二人の話はオレを抜きにまとまりつつあった・・・

「話が早くて助かるよ。これは非常に特殊なケースだからこちらでも扱いづらくてね・・・あなたの協力なしには成立しないのよ」

少女は姉ちゃんに手を差し出した。つまり、合意の確認という事だろう・・・

ほら!姉ちゃん!!協力しないって言ってくれよ!!

「協力する。ワタシは彼あの子が来た頃からいつかこうなる事は知っていた・・・・ここはあの子のいるべき場所では無いのだ・・・」

二人の殺気の放出は急激に収まりつつあった・・・。

もう話は決まっているかの様に二人は話を進めている。いや、実際に事前に決めてあったのかもしれない。だから今?反対するオレがいないタイミングで?

このままじゃ・・・!

「二人とも俺がいない内に話を進め過ぎだろ!!?さっきまでの3時間はなんだったんだよ!?オレが外界で暮らす?冗談じゃない!!」

オレは勢いよく突入した。

二人は驚かなかった。驚かなかったが、姉ちゃんは顔を背けた。

「大丈夫よ。あなたなら外界でも暮らしていける。あなたはこれまで十年間、この場所と外界を行き来してやってこれた・・・学校とやらには仲間がいるのでしょう?何より、この子があなたの面倒を見てくれる。」

そう言ってポンと死神の少女の肩に手をのせた。

「はっ!?死神なめないでよね!?私、そんなの一言も言ってないし!イヤだね!ゴメンだね!」

死神は姉ちゃんを振りほどこうと必死になっている。

そんなの俺も聞いた覚えはないし、イヤだし・・・・・・って、そんなことは良いんだ!

「え、でも。姉ちゃんは?姉ちゃんはどうするんだよ!もちろんいっしょに・・・」

「だから・・・ワタシは勿論ここに、『その』に残る。ここがお姉ちゃんのいるべき場所だから・・・だけど、あなたが居るべき場所はここじゃない・・・あなたが外に行っても、ワタシはいつでもあなたを見守ってるから・・・」

そんな言葉は別に聞きたくなんかない!

「(オレの意志はどうでもいいってのか・・・?一体なんで・・・)」

だが、さっきからの様子では姉ちゃんはきっとまだ迷ってる。『覚悟はしていた』だなんて脅されて言わされたに決まっている!

こうなったら、姉の気持ちに訴えるしかない。姉ちゃんが本気になればこんな死神なんか蹴散らせるに決まってる!!

姉ちゃんを騙すなんて卑劣極まりないが・・・後で正直に謝ればいい。

「なんでいきなりそんな事言うんだよ!?だって、生まれた時から俺の家はここなんだぜ!?急にそんな意味わかんない事・・・。今日いきなりやって来た新種の生き物に説得されて・・・」

誰が新種だ!という死神からのツッコミは勿論無視。

オレは選んだ言葉で姉の俺を思う気持ちに訴えかける、最大限の効果が得られるように・・・。

要は泣き落としだ。姉ちゃんはオレを母親以上に愛し、見守ってきてくれた・・・。だとしたら!姉ちゃんの感情に訴えかける言葉こそが一番有効・・・。

「オレは姉ちゃんがいたから!帰ってくるこの場所があったから外で学校にも通えたし、友達も作ることが出来た・・・。ここまで十六年も生きてこれたのはこの場所と、姉ちゃんのおかげだったんだ!

そりゃ、いつかはここを出ていくとは思っていたさ、ココが人間の住むべき場所じゃないのだって知っていたさ・・・だけど、今じゃない!オレはまだ姉ちゃんと暮らしたい、まだここを出て行きたくはないっ!!」

精一杯感情を込めて言い切る。

少し短いか、とも思ったが余りに雄弁過ぎても不自然だ。主張は言葉を選んで率直に。

だが、オレは姉の顔をチラリと窺った。

・・・そこで、合ってしまった。

「中々計算的に組まれた言葉ね。最小限の言葉こそが感情に訴えることが出来る・・・・よかった、ちゃんと生きる術を身につけられたみたいね・・・これなら・・・」

目が合ってしまったのだ。

そして、姉は静かに笑っていた。

「本当に大丈夫ね。ワタシも、大丈夫・・・。ありがとう。あなたと過ごした十二年、とても楽しかった。本当に幸せだった・・・・ありがとう」

心臓が握り潰される感じがした。いっそ怒ってくれたら、と俺は願わずにはいられなかった。

涙で視界がぼやける・・・・

「そんな・・・待って!ゴメン姉ちゃん!本当は!・・・オレはっ!!」

「悪いけど時間よ。交渉は成立した。急ぐわ」

死神が冷たくそう言い放った。

そして、ひんやりとした手に腕を掴まれ・・・。

視界が、意識が・・・闇に包まれる。

最後の最後でオレは自分の気持ちを素直に伝えられなかった・・・。打算に走って、たった一言〝ありがとう〟すら言え無かった。 

それが俺の記憶の最後だった。

後悔だけがいつまでもグルグル頭の中をまわっていた。


   ***


「ここは・・・」

素早く周囲を確認する。

コンクリを打ちっぱなしの部屋。家具の類は見当たらない。

「いや、いちおうはあるか・・・」

俺はベットに寝ていた。しかし、それ以外に人の生活に必要なモノは見当たらない。

それどころか、何となく、壁がデコボコしていて湿っている。それに部屋自体が傾いているようだった・・・。

「簡素な部屋、というか部屋なのか?」

「私の手作りなんだけど、文句が?」

部屋の向こうで声がしたと思うと壁の一面が倒れてきた。

「なっ!!?」

ドアを完全に無視して入って来た人物には見覚えがあった。

逆光に現れたのはあの、死神と名乗った口の悪い少女だった。

「あんたは・・・」

「いい度胸してんじゃん?いきなり〝あんた〟呼ばわりってどうなの?アンタの為に部屋作ってやったのに・・・文句って?どういうこと?」

「え?ごめん、悪かった」

いきなり早口でまくし立てられて反射的に謝ってしまった。

それに今俺の事をアンタって言ったよな・・・

だがそれにしても今、なんと?

女子をつい〝あんた〟と呼んだのは別として・・・何を作ったって?

「ふん。まったく・・・ほらこれ、水とパン。差し入れ」

「あ、ありがとう・・・」

彼女は無愛想にペットボトルとコンビニのパンを差し出した。

「部屋を〝作った〟ってどう意味だ?」

「コンクリ塊を斬って作ったのよ。中身をまるっとくりぬいたんだけど・・・」

ゴメン、分からないんだが・・・?理解不能だ。

「なんだか頭が混乱しているみたいだ・・・なにがなんだか・・・」

ココはどこだ?彼女は何言ってるんだ?

頭の中に靄がかかっていて・・・

「当然ね。環境が変わっているのだし、疲れてんじゃないの?」

しかし、俺は気付いた。

今の彼女の一言で現実を把握した。

オレは今外界にいるのだ。そしてここには姉ちゃんはいない。もう会えない。

なにより・・・

オレは今まで完全にこれまでの生活を忘れていた、ということに。

そして、これまでの生活を奪った張本人とバカバカしい茶番を楽しんでいた、ということに・・・。

オレはあの時、姉ちゃんを欺いて・・・

最後の言葉を言わせてくれなかった彼女への憎しみが・・・そして姉ちゃんを欺いた自分への嫌悪が押し寄せた・・・。吐き気がした・・・。


そもそも何でっ!!何で俺の暮らしを引き裂いた張本人がここにいる!?

何故?お前なんか消えてしまえ。

お前の顔なんか二度と見たくもないっ!

それなのに何故?何故お前はここにいて、俺と普通に喋ってる?

何故お前は平然としてられる?

オレがお前と話す?ありえないっ!!くそっ!!!もういい加減にしてくれよ・・・!!

「・・・? 何泣いてんの?そんなに感激してくれたのかしら?」

からかうような口調で奴は話しかけてきた。あぁ、もう、うんざりだ!自分も!こいつも!

『お前、いい加減にしろよ!!』

と、俺は叫んだ!

・・・・しかし、それは声にならなかった。別に言葉が溢れてどれを言葉にしようかを選べなかった、という訳ではない。

・・・オレの彼女に対する憎しみは自己嫌悪からの八つ当たりだとオレは知っている。知っているが、放っておいてくれ!くらいは言っても良いとは思っていた。

いくらでもこいつにぶつける言葉はあったのに。あったのに・・・

『今こいつに逆らえばどうなるか分からない。』

そんな理由が姉さんと暮らした十六年を上回った・・・。そう考えると、自分がとても・・・とても〝アリエナイ〟モノに感じられて、情けなくて、涙が出た・・・

今起きたときだってそうだ、俺は生き延びる為に状況を把握しようとした。

部屋には誰もいない、誰が起こしてくれたわけでもない、このまま何も考えられず、夢も見ずに眠ったままだったら良かったのに! なのに・・・。

オレはこの後に及んで、まだ生きたいと願うのか?

外界で?一人で?姉さんもいないのに?

意識が朦朧としてきた・・・襲い来る眠気に耐えられずに身を横たえた・・・

「まぁ、言いたいことはあるかも・・・・だけど、今は寝なよ・・・?また明日・・・お休みなさい・・・・」

誰が発した言葉だったのか。いや、目の前の少女でしかありえない・・・。

暗くなる視界で、彼女がオレに毛布を掛けてくれるのが見えた。

これまでの暮らしを奪った者の言葉。本来ありえないことだが、しかし、つい、オレはその言葉に安心してしまった。

あっという間に全身を疲労が包んだ。

そして、その言葉に導かれるようにオレの目は閉じてゆく・・・。

逆光。彼女の表情は見えない。けれど、何だか別人のようだ、いや、別の死神の様だ・・・・・。

あぁ、何故?何故、君は僕にそんな言葉を掛けられる・・・?僕から全てを奪ったに・・・

君は・・・きみたちは・・・・・。何が・・・したいんだ・・・・・?

俺は再び深い眠りに落ちてゆく。

掛けられた言葉と毛布がとても心地よいものに感じられて・・・・・・・・オレは自分を呪った。


『決してこの気持ちを忘れない。決して自分を許さない』と。


そして、夢すら見ない深い眠りに落ちた・・・・・・。









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