第八話 初恋そして失恋
読んでくれた方が200人を超しました!
ありがとうございます!
今回はちょっと暗めです……。
「で…なんで愁さんは私を…持ち上げてるんですか?!」
「知らねー」
さっき私何言ってました?!
ど…どうしよう…
ドキドキしてます…。
「愁さんはダメですよ」って言ってました…?
そうですっ!愁さんだけは誰にも渡したくないんです。
大切な大切な人だから…っ!
まだ俺分かんないんだ。
コイツの顔見ると落ち着いて側にいてやりたい。
誰にも渡したくない。
絶対に――――――。
「愁さん…あの…」
「ん?」
「愁さんの事…沢山知りたい…です」
どういう意味だ?!
ドキドキさせてんじゃねえよ!
あ―っびっくりした。
お前それがどういう意味だか分かってんの?
まぁ…分かってないと思うけど
俺は顔を赤くした。
「俺の事知りたいの?」
「はいっ」
「………どういう事?」
「生年月日や好きな物などですよっ!」
「ふうん」
にょこっと俺の後ろから夏樹が出てきた。
助かった………。
夏樹は自己紹介(俺の)をし始めた。
「猪垣愁、16歳、好きな物はオムライスで〜誕生日は12月24日なんだよぉ。好きな人は近くにいる人〜だと思うよ」
「なっ…つき!」
「あはは〜バレバレだよ愁くんはぁ〜」
夏樹には負けるよ…。
コイツには何でも見破られるし
でも相談に乗ってくれるからすげ―良い奴。
友達たくさんいるわけだな……
てか…沙紀にはバレてないみたいだな…
あれ…メモってる。
てか涙ぐんでる…?
え?!
「な…何で…」
「じゃあ片思いなんですね?!」
は………………?
まぁ…そうだけど?
次に顔を真っ赤にして笑っていた。
一体なんなんだよ…
「ところで沙紀ちゃんのプロフも教えて〜」
「プロフ?」
「プロフィールだよん」
「はいっ!水野沙紀、15歳です。好きな物はおでんです!好きな人は…現在片思い中です…。いつか告白しますっ!あ…誕生日は四月三日です」
「なるほど〜…ん?」
「誕生日四月三日?」
「はいっ!」
「明日じゃんっっ?!」
重大発言だろ!!!!!
ええええ?!
ちょっと待てよお前…
はぁ…………汗
それを先言え…。
「じゃあ明日ぼくんちでパーティーやろう!」
「良いんですか?!」
「クラスの男子も来ると思うけどね〜♪」
「大丈夫…ですっ…多分…」
沙紀は嬉しそうだ。
まぁ…両親のいない沙紀にとっては家族みたいなもんだしな。
まてよ………………?
プレゼントどうする?
金はあるが…女にプレゼントをやったことが無い俺にとっては難しい問題だそ…
ペンダント…?
いや普通すぎる…。
………あれしかないな。
決定だ。
明日学校サボろ。
何となく沙紀の笑顔が浮かんだ
その笑顔が可愛くて////明日が楽しみだった。
告白してやる………!
次の日―――
ピピピピッ!!!!!
ウザイ…目覚まし。
毎回この時間になるように設定したのは俺だが。
悪態を付き気味にそれを止めた
今日はサボる気満々。
てかサボんなきゃアイツのプレゼント買えねえ。
「に―」
「あ―…これな」
飼っている猫二匹に牛乳を差し出した。
レモンとイチゴ。
果物が好きだからもあるがただ単に覚えやすいからという意味もある。
俺は外に出た。
太陽はとっくのとうに上っている。
現在9:30。
完全に遅刻している。
てかアイツの学校あんま行きたくね―………。
あのバカ親父。
舌打ちをしながら歩いていった
「てかサボリ久しぶりな気がすんな…」
「静かだな…」
だんだんと沙紀達の声が聞きたくなってきた。
いつもなら沙紀と夏樹と鏡がいる。
孤独を感じなかった。
でも今は…淋しい。
アイツらがいたから俺は俺でいられたんだ。
あの日家を飛び出した時夏樹が泊めてくれた。
まぁ…びしょびしょだったし黒猫みたいな俺を。
そういや夏樹の自己紹介してないな。
灰原夏樹。
年齢は同い年で好きなもんはケーキとか甘いもんが好きだと。
家は父親が社長の超お金持ち。
俺とは小学生の頃からの仲。
優しくて利点が効く。
親友の一人だ。
誕生日は七月七日。
もう一人鏡の事だ。
椎羅鏡。
年齢は俺と一緒。
好きなもんはラーメン。あとキャンディポリスのアスカっていう人が大好きらしい。
良く沙紀をアスカと呼ぶのは顔がそっくりらしいからだ。
………今度見てみるか。
誕生日は十一月三日。
俺は"ある場所"へと向かっていった。
「愁さん…今日お休みですかねえ…」
「あれはサボリだね」
「サボリ…ですか」
今日に限ってサボリとは…愁さん風邪でしょうか…?
凄く心配です。
………会いたいです。
側にいたいです。
………愁さん。
キーンコーン……
「ホームルーム始めるわよ〜ってあら…珍しく猪垣くんがいないわね」
内田先生は早くも愁さんがいない事に気がついた。
私はヤバいと思い立ち上がった
「どうした〜?」
「あのっ…愁さんは用事があるらしいですっ」
「あら」
「私伝えてくれって朝言われたんです…」
「そう、ありがとう」
とっさに出た嘘―ウソ―。
本当は嘘は嫌い。
でも愁さんが悲しむのは見たくないんです。
初めて嘘をつきました。
夏樹くんは後ろで良く言ったねと爆笑していました…。
つまらないです…
いつの間にか愁さんは私にとってかけがえのない人になっています―。
だから…
会いたいです―――
昼休み―――
「今日は僕んちにそのまま来るから…って聞いてる?沙紀ちゃん〜?」
「はい?」
「ふふ…可愛いね」
「え?!」
夏樹くんは不思議な笑みを浮かべた。
か…可愛い?
誰がでしょうか…?
私な訳無いですし…?
時間が過ぎるのが早い。
愁さんの事を考えていると一時間ずつ過ぎていく…。
胸が苦しい………。
も…もしや可愛い彼女さんとデートしていたり…うわぁ〜ん。
それは嫌です〜!
「愁くんの事考えてたの??」
「え?!いえ…はい…」
「どっち〜?」
ケタケタ笑っていた。
夏樹くんには負けます。
何でもお見通しですもん……。
はぁ…早く夜にならないかなぁ
「これ…下さいって…姉貴?!」
「愁?!なんであんた」
「……」
「ふふ…彼女?」
「……まぁな…」
違うし!!
沙紀のプレゼントだ!
まぁ……って何だよ俺?!
今プレゼント買いに来てるんだけど…初めてだ。
プレゼント買うの。
しかも女の子に。
分かんねえからこれにした…。
喜ぶかなアイツ。
姉貴は俺に色々と聞いてきた。
話しにくいタイプだ。
「へ〜サボリか」
「………」
大学生のくせに…。
そっちは学校ねえのか?
全く………。
俺はそれを貰うと普通に帰っていった。
俺には姉貴がいる。
名前は猪垣馨
大学生のバカ女。
頭は良いけどバカ女。
………はぁ…
「てか…姉貴あそこで働いてんだな」
――――夜
早く来ませんかね…?
沙紀は夏樹の家で待っていた。
クラスの男子は殆どがお金持ちなので服はきちんとしていた。
……皆さんお金持ちなんですね
少し苦笑いをしてみた。
目の前に克くんがやって来た。
克くんは私に飲み物を渡してくれました。
オレンジジュースです。
「…ありがとう」
「愁さん遅いね…?」
「はい…」
「ねえさーちゃん聞きたいことあるんだけど」
「はい?」
克くんはヤケに真剣な顔をして言葉を言った。
「彼氏いる?」
いるわけないじゃないですか。
私男の子苦手ですよ?
でも好きな人はいます。
………あはは。
まる分かりですよね。
「いないですよ」
「なら…」
「でも好きな人はいますよ」
「そっか…」
いますよ…愁さんが。
と言いますがまだ好きか分からないんです。
ドキドキするだけです。
「僕…諦めないよ…」
「へ?」
克くんは私の頭をそっと撫でて歩いていってしまった。
何て言ったんですか?
わからない…?
ピンポーン
そんなタイミングでベルが鳴り響いた。
愁さんだっ!!
私は夏樹くんと一緒に玄関へ向かった。
愁さんに会えるっ!
私は嬉しかった。
が……………
「愁さ…………」
「こんにちはぁ〜♪」
「………」
愁さんの腕にはかわいい女の子がくっついていた………?
かわいい…女の子?
「この子がさーちゃん??」
「わ…わ…わ」
「初めまして〜♪私静っていいま〜す」
…………
…………………
その人が好きな人ですね…愁さん。
私あなたが好きです。
でも…もう諦めます。
涙が出そうだった。
だから一生懸命笑って笑って忘れます。
えへへ…
静さんですか……。
やっぱりだめですね。
私は外に飛び出していった。
腕を一瞬掴まれたけども私はそれを払い走っていってしまった
私…だめな人ですね。
泣くのおばあちゃんが死んだとき以来です。
来るときに見かけた公園のブランコで泣いてます…。
告白してないのに振られた気分です。
「うぅ…う」
声を押し殺そうとしてるのに出てくる。
悲しくて悲しくて悲しくて悲しくて悲しくて…
あう――――!
「さーちゃん!」
後ろにいたのは愁さんではなく克くんだった。
何で愁さんじゃないんですかぁ
何で克くんなんですかぁ
「泣いてるの……?」
返事ができない。
声を出せば嗚咽が止まらないと思います。
もう―――良いんです。
「さーちゃん?」
「克…くん………?」
「うん」
克くんは私の隣のブランコに座った。
こっち見てますね。
絶対笑ってますね。
笑ってくれた方が良いですよ…
すごくお似合いだったんです愁さんと静さん。
私なんか枝豆ですよ…?
枝豆の意味は無いですよ……
「どうしたの?」
「……」
「大丈夫?さーちゃん」
「は…い」
「あの人…愁さんの…」
「ごめんなさい」
沙紀は克の言葉を遮って謝った
何故謝ったのか分からない克は沙紀を見た。
沙紀は泣いていた。
それがすごく綺麗で。
驚いたんだ。
こんな綺麗な女の子いないから
小さな子供みたいに肩を震わせて。
「僕の胸貸すよ?利子付きで」
「何で…」
「利子付きやだ?」
「何で…優しくするんですか」
彼女は涙を流して僕の顔を見ていた。
真っ赤な鼻に小さな顔がかわいくて綺麗で。
抱きしめたくなった。
「うわぁぁぁんっ!」
ビクついた。
急に大声で泣き出すんだもんこの子。
飛びついてきた。
「よしよし……」
子供だね…。
てか…泣いた理由僕分かっちゃったんだよね。
愁さんでしょ?
愁さんの事好きなんだよねさーちゃんは。
僕もさーちゃんが好き。
初めて見た時から好きだった。
"好き"なんだよ………?
二人は走ってきた愁に気が付くことはなかった。
「沙紀……………」




