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第一話 こんなのありえません!

誰でも楽しく読んで頂けたら光栄です。

これを読んだら元気になれる…かも!

リリリリリリリッ

枕元の目覚まし時計の音が鳴り響いた。

パシッと時計を止めて布団から起き上がった少女は軽く伸びをしていた。


「朝ですねえ…」


少女は新しい制服に着替え始めた。


今日から高校生ですねえ。どんな学校でしょう…?


少女は軽い夢を見ていた。

少女は現在一人暮らしである。

両親は離婚しており少女は一人暮らしをすることになってしまったのだ。家賃月1万円というボロアパートに住んでいる。


「それでは行ってきますおばーちゃん」


少女はお仏壇に飾ってある祖母の写真に挨拶をしてアパートを出ていった。


「晴れましたねえ…」

「おっ!沙紀ちゃん今日から高校生かい?」

「洋さんおはようございます」

「今日は魚が安売りになっから来るんだよ!」

「はい!では行ってきます!」


少女の名前は水野沙紀。

重度の男の子嫌いという悩みを持っている。

そんな彼女も勉強を頑張りなんと特待生として高校に入学出来たのだ。


「ここが…橘学院高等学校ですねえ」


沙紀が校舎を眺めているとそこを通り過ぎる他の学校の生徒がボソボソとなにやら沙紀を見て話していた。

沙紀は気にせず笑顔で校門を開けていった。


「水野沙紀…水野っと…。ありました!A組ですね…!」


沙紀が周りを見渡すと女の子の姿が見えない。

首を傾げながら沙紀は


「変ですねえ…」


と呟いていた。


教室…どこでしょうか…?


沙紀は学校にいる主事さんに聞いてみる事に決めた。

上履きに履き替えてそこに向かおうと歩き出したのだが、急に階段から誰かが降りてきた。

沙紀は

「どうしたんでしょうか」と覗いてみると一人の男の子が立っていた。


「げっ?!女がいる?!」

「はい?」

「言っとくけど…ここ…あんたしか女子いないからな」

「…え?」


沙紀は距離を離しながらその少年の顔をみた。

するとその少年は沙紀に向かって

「俺女嫌いだから」と言って走っていってしまった。


「何でしょう…あの人は!!」


プンスカと怒りながらも男の子がいなくなった事に安心した沙紀であった。

その後主事さんに聞いて三階のA組だと言う事を教えてもらっていた。


「ここですねえ」


沙紀が指を指した【1−A】からは話し声が聞こえている。

沙紀はもう一度制服を確認してドアを開いた。


「失礼しま…」

「うお!女の子だ!」

「かわい−!」

「俺らのクラスかな?!」

「あの…」


沙紀は顔を真っ青にして教室を飛び出た。

心臓がバクバクしてますぅ…。

どうして男の子ばかりなんですかあああ!


「さっき言ったじゃん」

「へ…?」


涙ぐんでいる沙紀の後ろに立っていたのは、さっき下でバッタリ会った少年であった。

沙紀はまた後ずさりして三メートルの距離をとった。

するとその少年は


「男嫌いか」


と鼻で笑った。

沙紀は

「そうですよぉぉ」と走りだした。

少年は

「変な奴」と言い3−Aのクラスの中に入っていったのだ。


「あの人も同じクラスなんですかああ?!」


と叫んでいた。

ど…ど…どうしましょう!!

男の子苦手なのに男子高(一応共学)に来てしまいましたあ!

取り消しも出来ませんし!!ああ…なんと言う事…。

お母さあああん!

お父さあああん!

おばーちゃあああん!

神様あああ!


「なあ…教室入んないの?」

「へ?」

「一応俺ら同じクラスらしいから」

「ああ…そうですね…」

「お前なんで入学式からテンション低いの?」

「……皆さんが高いだけです」

「ふうん…」


少年はチラッと沙紀を見て再び教室に入っていってしまった。

沙紀はまだ混乱気味。


男の子はかぼちゃ…。

男の子はかぼちゃです。

と繰り返していた。

何度か深呼吸を繰り返し教室のドアを開けた。


「あ、さっきの子だ」

「あの…その…」


沙紀は顔を真っ赤にしてしどろもどろに何かを喋ろうとしているのだが、怖くて声が震えてしまう。

沙紀が視線を下に落としてしまった時、教室の男子の声が静まってしまったのだ。


ど…どうしましょう…。

皆さんの機嫌を損ねてしまいました…?


「ごめんなさ…」

「ねー!名前なんてーの?」

「へ?」

「仲良くしような!」

「あのう…」

「みんな女の子が来たっていうから喜んでただけ」


さっきの少年だ。

席に座って読書しながら音楽を聴いている。

その少年の周りには女の子みたいな男の子や眼鏡を掛けて無表情な男の子などがいて、こちらを見ている。


「私は…水野沙紀です」

「沙紀ちゃん?」

「は…はい!」

「さっき愁から聞いたけど男の子苦手なんだよね?」

「………その通りです」

「俺らがその悩みを無くしてあげれるように沢山遊ぼうな!!」

「そうだよ!」

「まあ…いいんじゃね?」


愁と呼ばれた少年もかろうじて沙紀の顔を見ていた。

沙紀は少し涙ぐんで


「…よろしくお願いします」


とみんなに言った。

みんなは沙紀の所へ寄ってきたのだ。

沙紀は流石にまだ男の子たちに慣れていないので

「ひっ?!」と言って教室の端に走り込んでしまった。

その際机の脚に引っかかり倒れそうになった。


「あう?!」

「重い…早くどいて」


沙紀が目を開くと誰かの腕に抱えられていた。

頭をあげるとそこにいたのはなんとあの愁であった。


「あの…すいま…」

「どいて」


愁は顔を真っ青にしながらゆっくりと沙紀を地面に下ろした。

沙紀は愁の顔をみて凍りついていた。

助けられた?!


「スカート汚れる」

「はあ」

「リボン曲がってる」

「はあ」

「髪の毛ボサボサ」


愁は几帳面なのか沙紀を立たせてスカートのゴミを払い、曲がっているリボンを直し始めた。

机の中に手を入れて取り出したのは櫛だ。


「あのう…何を…」

「ボサボサだから気になるだけだ」

「そうですか…って…普通に触ってるし!」

「動かない」

「すいません…」


沙紀の男の子嫌いはまだ直るには難しいようだ。

頑張れ!!沙紀!!


「こんなのありえません!!」


沙紀の叫び声が教室に響いた。


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