【公式キャンペーン・5巻非売特典】あ、ちょうちょ
自分でも、自分のことは、ぽわ~ってしてるほうだな~って思う。
深く考えることは苦手で、でも考えなしの行動はキライ。楽しいことが大好きで、刹那の快楽主義。もちもちしたのも、ふわふわしたのも、み~んな大好き。カワイイって最高だな~って思う。
『……ねえねえ、貴方?』
「ぽえ?」
今日のカワイイは妖精さん。妖精王国の女王陛下、アルニーナメルダセレスちゃん。名前を覚えるの、凄く得意なんだからね。えっへん。ちょうちょの羽が背中についてる、手のひらに乗るぐらいなサイズのちっちゃい子達。
『随分大きな妖精族よね。何処の出身なの?』
「…………ほえ?」
よーせーぞく? 私のこと? 私はえっと、人間だと思うんだけど。
「わたし、人間?」
『え?』
『女王陛下、この者はその、妖精族では……!』
『明らかに大きいです! 人間かと思われます!』
『でも、妖精よね? ふわふわしているもの!』
「…………お菓子、食べる?」
『食べる~っ!!』
『女王陛下!!』
『いけません、毒が入っていたら……!!』
確かに、お菓子って体に毒だよね。お砂糖いっぱいだし、ご飯は食べられなくなるし、食べるとやめられないし、途轍もない快楽と幸福成分が脳内を走るもん。毒の中でも長くゆっくり体を蝕んで、確実に後戻りできないように死に至らしめてくるヤバい毒だよ。しかも、作る人によって味が変わる。これはとんでもないことだよ。
それにしても、女王陛下ってカワイイ。お菓子に目が釘付けになって、キラキラしてる。本当に甘い物が大好きって感じが伝わってきて、これを制止する近衛兵の子達も大変だろうな~って思う。
「じゃあ、私が全部食べちゃう」
『ダメ!! ダメよ、そんなの、えっと……! そう、不敬よ!! 不敬罪!! 私が貰うお菓子なのに!!』
わ~。カワイイ。ふわふわしてるしちっちゃいし、よく笑うし。感情豊かで、居るだけで楽しい。
『それにあなた、英雄ちゃんのことを助けてくれた子だもの。毒なんて入れるはずないわ!』
『ああ、女王陛下……!!』
『勝手に食べたりしては……!!』
『せめて毒見役を我らの誰かに!!』
『んっ! んっ~!! おいひいっ!!』
『女王陛下!!』
みんな『女王陛下~』って心配してるのに、目線がクッキーにしかいってない。みんなお菓子が大好きなんだ~。
「いっぱいあるよ。いちごジャムクッキー」
『いちごジャムクッキー!!』
アルニーダメルダセレス女王陛下……。せっちゃん。せっちゃんからしたら、このサイズのお菓子って途轍もなく大きいんだよね。私達からしたら、テーブルみたいなサイズのクッキー……。うん、幸せだ~。
『ねえ、あなたって本当に妖精族じゃないの?』
「人間~」
『…………妖精族にならない?』
「なる~」
『じゃあなりなさいよ。私が認めてあげるから、今日から妖精族ね!』
『重大なシステムメッセージ:妖精族の女王アルニーダメルダセレスが【妖精女王の祝福】を発動し、貴方の種族を変更しようとしています! 取り返しのつかない要素です! 許可しますか?』
さっきなるって言ったのに。別に良いじゃない、取り返しがつかなくても。人生ってそういうものだもの。
『重大なシステムメッセージ:貴方の種族が【妖精族】に変更されました』
『あなたの妖精族としての力は後天性のものだから、背中にこう、ん~っ!! って力を入れると羽が生えると思うわよ! 昔、それで生えた子が居たもの』
『女王陛下、そ、そんなに簡単に祝福を与えては……!』
『い~のっ!!』
「ん~っ」
あ、背中からぽわぽわした半透明のちょうちょの羽が出てる、気がする。わ、飛べる~。結構速く飛べる飛べる~。
「わぁ~」
『全然嬉しそうじゃないわね!!』
「嬉しいよ? 笑顔~」
『あなた、全然表情が変わらないわね……。生きてて楽しいの?』
「楽しいよ? 私、顔があんまり動かないだけ」
『ふ~ん。そういうのもあるのね! ねえ、あなた名前は?』
そういえば名前を教えてなかったかも~。
「レーナって呼んでね」
『レーナ! また今度お菓子をちょうだいね! あ、私は名乗らなくて良いわよね?』
「うん。せっちゃん」
『しぇ、せっちゃん!?』
『女王陛下に、不敬ですよ!!』
『い~のっ!! せっちゃん、これからもせっちゃんって呼んで!! お友達だから、特別よ!!』
「うん。お友達。またね、せっちゃん」
『またね! うふふ、せっちゃん。せっちゃん……』
なんだかすっかり懐かれちゃった。お菓子ばっかりあげて、せっちゃんが太ったら護衛の人達に怒られそう。大丈夫かな~? その時はお友達として、ダイエットをしっかりサポートしなきゃ~……。




