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雨宿りでゴドーを待つ

作者: 御稜 東
掲載日:2025/12/24

サミュエル・ベケットの『ゴドーを待ちながら』と”雨宿り”が合いそうな気がして、書いてみました。

「…だよな、(かなめ)が鍵持ったまま帰っちゃったからだよな。」


 稽古部屋に入れない俺たち。12月の寒い中、練習着姿で凍えている。おまけに、雨まで降って来やがった。稽古部屋に近い焼却炉の狭い軒下に、とりあえずの”雨宿り”。

 大学3年恒例の課題、『ゴドーを待ちながら』のグループ発表が近い。この学年なら誰もが通る道だ。解釈は自由。なので、グループそれぞれの『ゴドー…』が演じられる。他人の演出を見るのは楽しい。だが、この作品は哲学的で正解はなく、かつ“喜劇”と来ている。だから難しい。それをどうやって演じようか議論するはずだったのに…。

「寒い!」


 「…よう、ただ要を待っているだけは虚しいから、おまえだったら“ゴドー”をどう考えるか言ってみ?」

「“ゴドー”なぁ…。あれってさ、調べてみると“ゴドー”イコール“God(神)”って解釈もあるけどさ、俺は“ゴドー”は“ゴドー”だと思う。」

「問題は、俺たちの “ゴドー”は何か、だなぁ。」

「戯曲として読む分にはいいけど、いざ演じるとなると、変なループにはまって頭がおかしくなりそうでよ…。」

「難解だよなぁ…。俺らのアタマでやれるのか?」

「ホームレスふたり、救世主の“ゴドー”、暴君と召使…そして…。」

「“今日は来ないよ”っていう、少年だろ?」

「でまた、翌日も来ないんだよな?」

「すんげぇ搔い摘んで言うとな。」

「んで、俺たちは“要”を待っているわけだよ!」

「早く来いよ~、寒くて死にそう。」


 例えば、エストラゴンの俺と、ウラジミールのこいつが、共に“要”を待っている。

「“要”来ねぇかなぁ。」

「鍵ねぇと、練習できねぇし…それに、寒いしなぁ。」

「雨だしなぁ。」

「でもよ、これってある意味、試練かも知んねぇぜ?」

「焼却炉で雨宿りが、かよ?」

「この状況をいかにして切る抜けるか、試されてるってわけよ!」

「なるほどな。」

「まずは、この寒さだな。」

「焼却炉の軒下にいるんなら、なんか燃やしてみっか?」

「そりゃいいや!暖かくなんべ!」

「暖かくするには、何燃やすかな。」

「う~ん。」ふたりで悩んだ末…。

「薪がねぇから、おめぇかな?」

“うわぁぁぁぁっ!”


俺は…今寝てたのか?

「ねぇねぇ、“要”、今夜は来られないって。明日、来るって。」

「そっかぁ…そうなんだ。」と、俺ら。


…ところで、お前、誰?


お読みいただき、有難うございました!

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