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結城弘子と北川みそら

「海は楽しめた?」

「2度といかない」


 以前企画された海水浴パーティーだが、結城弘子の他に「餌」として招かれた女子がいた。同クラスの北川みそらである。北川みそらは何事もなく海水浴に参加した。忌引で結城弘子が居なかったこともあり、視線の大半は北川みそらが独占することになる。


「お疲れ様」

「結城が行かなかったのってわざと?」

「本当におじいちゃんが死んだのよ。新産南通りで葬式出たの見てない?みてないか」

「そうなの、本当に葬式だったのね。あのね、海で痛感したの。私は胸しか価値がないのね。今回痛感したわ」

「あら、スタイルも顔も素敵よ」

「ありがとう。嘘でも嬉しいわ」


 北川みそら。

 元バレー部員。中学から高校1年までは高身長を生かし常にレギュラー。結城弘子程ではないが顔も良く女子バレー部の看板として有名だった。しかし、アスリートとしては不幸なことに胸が急成長を始める。太ったわけではないが成長を続ける胸。アスリートとしてはデメリットだが、お高いスポーツブラを何枚も買いながらバレーに打ち込んだ。所属するのが強豪校バレー部なら花形看板として有名にもなったろう。テレビにも取り上げられたかもしれない。

 しかし北川みそらの所属は地方選でもがく程度のごく普通のバレー部。だが皮肉にもその北川みそらが試合に出るたびに男衆にデジカメのでっかいレンズを向けられる。男たちはバレー観戦はしていない。

 そして2年の夏にはレギュラーを外された。胸が邪魔。部員には陰口を叩かれ、集中力が落ち、体のキレもない。「ああ、自分は終わったのだ」と実感した。一方、バレー選手としては格は落ちたが「女」としての人気は上がった。

 ここで北川みそらは美術部に移り、半帰宅部となる。元の仲間からは「バレーやめてヌードモデルでもするの?」と嫌味を言われた。


 そして先日の海。

 そこそこ顔にも自信があった北川みそらは勝者になるべく海に向かった。元アスリートならでわの細い腹。筋肉のお陰で逆テーパー型の足と腕。

 スーパーモデル。

 彼女は自分の価値を疑わなかった。順当に勝者になれる。

 しかし。


「みんな最初に胸見てくるの。次に身体全体。最後に顔。みんなそう。私の顔ってこれじゃないのね。こっちなのね」

「それ佐藤に言っちゃダメよ。嫌味になるから」

「みんなも他所の人もこれしか見てないの。私の超がんばった化粧なんて誰も見てない。素敵な恋の始まりを期待したけど私に寄ってくる男ってエロばっかり。三浦とかを喜ばせただけだったよ。行ったの失敗だったわ」


 佐藤美琴は顔も体もイマイチだ。まあ、そんなことは本人に言わないし、誰も興味を持っていないし話題にすらならない。そして幸いにもここにいない。


「あつーい。だるーい。結城、ここで寝てていい?」

「いいわよ」


 北川みそらは美術室の隅にあるビーチチェアを展開して寝れるようにして体を預けた。誰かが置いて行ったビーチチェアはナイロンシートが伸びてだるだるだ。多分安物に違いない。それでもここでは1番の寝具。


「北川、いいことしてあげようか」

「な〜に〜」


 北川みそらはだるそうに返事をする。

 眠ってはいないがだるすぎる。


「北川は冬服でも着てない限り男の目を集めてる」

「まーね。うんざりだけど」

「じゃあ、誰にも見れないようにしてあげる」








「時間はそうね、5時までに戻ってきて。わたし5時までここにいるから。そしたら元に戻してあげる」

「なんかこれやばい」


 結城弘子は北川みそらの存在感を消した。

 今、北川みそらが目の前に居ても誰も気づかない。誰にも北川みそらを視認できない。一番近い感覚、透明人間。実際、北川みそらからは自分の体も見えるし鏡に映った自分の姿も見える。しかし、他人からはまったく見えていない。いや、結城弘子の説明なら見えていないのではなく認知できてないらしい。それは電子の目にも該当する。ただ結城弘子は例外だ。結城弘子は普通に見ることができる。


「よし、行くか!」

「北川、下着は脱がないと」

「ええ・・・」


 見えないのは北川みそらの身体だけで衣服は対象ではない。

 廊下の窓や外の窓から少し体を出し自分が誰からも気づかれてないかテストをし、ついに北川みそらは美術室を飛び出した。


「でっか」


 北川みそらが去った美術室。結城弘子はJカップの使用済みブラを自身にあてがってみた。

 服を着ているのに余る・・




 北川みそらはどんどん大胆になっていた。

 いくつかのことに注意すればこの素晴らしい経験を謳歌できる。

 まず、声を出してはいけない。声は聞こえるからだ。ついでに走った後の荒い息もまずい。こういう時は人と距離を取らなければいけない。

 それと悪戯をしないこと。超常現象やポルターガイストみたいなことをして遊んではいけない。だれかの注意力を引きつけたらアウトだ。

 それと車に気をつけること。見えない北川みそらに車は止まってはくれない。それは自転車も歩行者も。交通事故に遭ったとて誰も救急車を呼んでくれないし、医者も北川みそらを認知できない。


 全裸で歩く。

 全て晒している。

 なんだろうこの爽快感。

 男子生徒の目の前で仁王立ちしたりセクシーポーズを決めたりする。男子の着替えも見た。何度か見られそうになった事があるのでそのお返しだ。

 北川みそらはノリノリだった。前はあんなに胸を隠して歩いていたのに今は全開放で見られてたら大変な事になりそうなポーズや行為ばかりしている、それこそ自室で夜にしかしないことも人前で。水着なんて比べ物にならない開放感。

・・・・

・・・

・・







「起きた?」

「あれ?寝てた?」

「ええ」


 北川みそらは服を着たまま寝ていた。

 あれは夢?透明人間になったのは夢?


「ねえ、私ずっと寝てた?」

「たぶんね。私は途中、荷物取りに向こうに行ったけど」


 そう言って結城弘子は3年の教室の方を指差す。


「どうしたの?」

「あのさ、結城って魔法使い?」

「どうかしらね」

「あ、結城、そのさ、。あのね、さっき結城弘子は魔法使いだった・・の」

「さっきっていつよ」

「つまり・・」


 北川みそらは迷った。

 裸で歩いたなんて話信じられるわけがない。結城弘子は不思議を見せる人だ。でも自分はさっき寝ていたのだ。でも夢はリアルだった。どっちが本当だろう。実は本当に透明人間になっていたのではないか?


「結城」

「なに?」

「夢見たの」

「何見たの?」







「井上華がフラれてた」

「そう」


登場人物

・北川みそら・

高身長ダイナマイトボディ 顔もまあまあ良い ちょっと背が低い男子だと目線は胸が正面になる

自然な恋愛をしたいが男の好意は胸で顔はその次で性格は最後

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― 新着の感想 ―
流石にそのカップ数じゃスポーツは出来ないよな…… 靭帯切れるわ。
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