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結城弘子と撃墜王

 右舷に広がる大宇宙。

 左舷に広がる大宇宙。

 広大な宇宙ではいつもどこかで戦争がある。

 平和とは戦争の休憩時間でしかない。




「7・2混成部隊10機出ました。2分後に会敵予定」

「これが最後の攻撃か」


 母艦を離れ敵の惑星破壊砲への最後の攻撃に向かう戦闘機隊。

 敵に気付くのが遅すぎた。あと1日早ければ状況は互角に持ち込めた筈。この宙域に到着した時は118機居たが、今は10機しか残っていない。その10機も正規パイロットと負傷者と人工パイロットの混成部隊。対する敵は移動式惑星破壊砲と護衛艦。戦闘機に至ってはまだ100機以上を残している。勝てない。

 何も遮るもののない宇宙空間では奇策も裏技もない。純粋な数と量がものをいう。

 艦長は全滅を覚悟した。しかし奴らを母星に行かせるわけには行かない。


「エンジンを臨界まで上げておけ。いざとなったら」

 恐らくはそれも敵に読まれている。だがやらないという選択肢はない。奇跡なんてものはない。だが奇跡に縋るしかない。



「11機です! 11機目居ます!」

「なんだと!」


 出撃した戦闘機が1機多いと報告が入る。モニターには所属不明の1機が10機の後を追いかけるように飛ぶ姿が。本来なら嬉しい1機増。だが、そんなことはあり得ない。もうこれで全部だった筈だ。怪我人も乗せた。急拵えの人工パイロットも不安定な個体のバグにロックをかけて無理やり仕立て上げ乗せたほど。もう本当にこれで全部だった筈だ。



「誰だ。管番号かコード名を!」

「緊急事態だ。飛び入りだよ」

「待て!」

「切るぞ」


 誰だ。聞き覚えのない声。

 機は残っていたが、残っているパイロットは敵に制御を乗っ取られた人工パイロットと不適合者だけの筈だ。よもや味方を後ろから撃ちやしないか?まだ届く。撃ち落とすべきだろうか?だが、奇跡の可能性を捨てきれない艦長は撃てと言えなかった。敵か味方か分からない。とはいえ、1機増えたところで勝ち目はないのだ。


 だが、一番最後に戦闘宙域に到達した11機目は鬼神のような動きで敵機の攻撃を掻い潜り惑星破壊砲の背後を取った。燃料こそほぼ底をついていたが弾薬を全て温存したままで。







『これ、お前のだろう。知り合いが拾って届けてくれたぞ。着払いで送るからな』

「ええと・・・・」


 結城弘子はスマホに来た中年漫画家からのメッセージを見つめて固まっていた。

 ちょうどその頃、美術室に配達業者らしき人が来て、超巨大な箱をどすんと置いた。なんで夏休みの学校の美術室のいち生徒に荷物が来るのよ。普通は教員玄関とかでしょう。

 そして箱には送り状が貼ってある。が、とんでもなく長い住所欄。8行も書かれている。しかも読めない字。ただ、最後の1行だけ日本語。つまり此処。


「料金ですが」

 結城弘子はゾッとした。

 住所欄の最後は日本の此処を指しているが、その前の7行分の距離を考えたらとんでもない金額に違いない。しかも箱の大きさがヤマト運輸なら断る大きさ。いや、引っ越し便ならありえるか。で、こんなにでかいのに何故パレットに載ってないのか。


「あ、まだ受け取りが」

 配達員さんがそう言い終わる前に箱が開き始めた。

 箱は真四角なのに蓋は斜めに開く。なんでだよ。

 日本人には理解できない切れ目で開いた箱。

 そして中から紺色のストレートヘアの女性が出てきた。いや、女性なんだろうか?顔はエジプト女性っぽいが、つるぺたである。そう、白いタイツみたいな服で体型がまるわかり。股間にアレのもっこりは無いが骨盤に女性特有の幅がない。

 そしてこう言った。


「私が払います」


 なんと送料を荷物の中の人が払うと言う。

 そして荷物の人がよく分からん貨幣を支払う様を結城弘子は呆然と眺めていた。そしてぽつり。


「元払いにしとけばよかったんじゃ」


 そして荷物の人が支払いをしていると、また中から荷物の人その2が顔を出した。その2は金髪でイケメン男子みたいな刈り上げだがどう見ても女性。シルエットが完全に女性。


「わりぃな。払ってもらって」

「恩人の為です。艦長からも貰ってますし」


 ほほう、二人分か。益々払わなくて良かったと結城弘子は安堵した。て、いうか何故貨物?タクシーみたいなのは無いの?と思ったが、『着払いで送る』と言ったのはエロ漫画家だ。益々分からん。


「じゃ、ここでお別れね。本当に有難う。この恩は忘れない」

「いや、俺の方こそ助かった。拾ってもらわなきゃ今も漂ってた」

「撃墜王ってのは本当だった」

「結局、2度助けられたがな」


 その後もやりとりは続いたが、荷物その1の人は今からどこかに行ってしまうらしい。多分帰るのだろう。支払いのためについて来た?配達員の人に「高い」とか言っていたが、金だけ渡して一人送りつければ半額で良かったのでは?と結城弘子は思ったが黙ってることにした。しかもどうやって帰るのかと思えば配達員の人の後をついて歩いている。

 しかも。


「途中まで乗せてってよ」


 なんて言ってるし。

 なんでお前ら箱に入って来た?

 そして荷物その2がこう言った。




「お久しぶりです。総司令」




これの設定はとある話のパクリです。

知ってる人いるかなあ。

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