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見守る女

作者: 土屋

 夕方、通学路に必ず現れる女がいます。

 私にだけ見えているようです。周りの人は気に留めていないからです。

 普段は、下を向いて通り過ぎています。

 女の足元と地面に垂れている髪が視界の端にはいってきて。

 やがて、女は無害だと気づきました。

 ただずっと、道の端に立っているだけ。同じ夕方の時間に。

 ある日、女の足元に供えられた花に気づきました。すぐ横には轢き逃げの車を探している青い看板がありました。

 かわいそうだな、と少し怖くなくなったんです。

 それから私は女の横を過ぎる時、前を向いて歩いたんです。


 きょうは下を向かないんだね、女は足下の花を手にとって口いっぱいに頬張り、にこにこ嬉しそうに私の顔を見るのです。


 私は何かしちゃったのでしょうか。その夜、母にあの辺りで事故で亡くなった人はいないか聞きました。確かにいたそうです。小学生の男の子が車に轢かれて亡くなったと。なら、私の見えていたあれは、なんだったのでしょうか。


 別に何かされたわけではありません。ですが次の日から、私は通学路を変えました。

 

(1992年◼️◼️県◼️◼️市立◼️中学2年生女子生徒からの頼り)

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