9.タートル
串焼きを食べ終えた三人は、ラビットがいる方向とは別の門、タートルの方向へと向かっていた
「それじゃ、街を大きく一周するように回りましょ」
「タートル、ウルフ、フロッグ、最後にラビットの順番だな」
街からそれぞれの方向に存在している魔物、今回はタートルから順にラビットの方に進んでいくようだ
少し時間は掛かるのだが、三人はあまり気にしていないようだ
「ラビットまで回ればLv5に出来そうだよね!」
「そうね、Lv5になったら1度街に戻りましょうか」
二人は何度もLv5という単語を出し話を進めているのだが、ツバメにはなんの事を話しているのか検討がついていない
「Lv5になるとなんかあるのか?」
「あら話してなかったかしら?Lv5でサブの職業を選べるのよ」
このゲームではメイン職、サブ職があり、メイン職Lv5で解禁されるのだそうで、サブについている職業のスキルや効果は何時でも使えるらしいのだが、メインに比べLvが半分下がってしまうらしい
更に、メインとサブは何時でも入れ替えることが可能で、その理由はLvが半分になるという事と、サブはLvをあげることが出来ないという事なとだという
「二人は何にするかとか決めてるのか?」
ツバメはサブ職についてよく知らないため、どれを選ぶべきかの参考に二人の意見を聞くことにした
「私は《光の魔法使い》だよ!それと《剣士》になれたら転職の時に《魔法剣士》が出るの!」
《魔法剣士》、どうやら《戦士》《剣士》と続く転職の先にそれがあるらしく、おそらく《勇者》になる過程で必要なのだろう
「私は《学者》ね、《魔法使い》の殆どが選ぶと思うわ」
図書館の本などを読むことで転職できるようになる《学者》、《魔法使い》は《魔術士》《魔導師》と続くらしく、《学者》は《魔導師》になるのに必要らしい
「んー、聞いてみたがとくに思いつかなかった」
「ま、急ぐものじゃないんだし、ゆっくり考えればいいわよ」
ツバメは、一先ず職業のことは後に回し、到着した目的地に目を向ける
左右には山が見え始め、その山に挟まれるようにあるフィールド
ラビットのいた草原が広がるフィールドとは違い所々に向き出た岩があり、それは奥に行くほどに多くなっている
「また雰囲気の違う場所だなー」
「それぞれフィールドに特徴があって面白いよね!」
更に奥のフィールドに影響しているのだろう、ツバメは楽しみだと笑い、タートルを探し始める
「しっかし、辺りを見渡しても岩ばっかで魔物の姿が見えねーぞ」
「ふふ、もうタートルは見える範囲にいるわよ」
ツバメはメグの発言に驚き、このフィールドに既にいるのだというタートルを必死に探してみる
すると、岩に少しおかしな点があることに気づく
「おい、あの岩少しおかしいよな?もしかしてあれがタートルなのか?」
「そうだよ!その岩がこのフィールドの魔物、タートルだよ!」
どうやらタートルという魔物は自身の体より遥かに大きい岩を背負った亀の姿をした魔物なのだ
普段は甲羅の中に隠れているため、直ぐに発見することは難しいのだという
「凄いな、よく見ればチラホラといるのが分かるな」
「背負っているのが岩ということもあって、防御力は結構あるわよ」
三人は一匹のタートルの方へと近づく、すると岩の下から頭と尻尾、手と足がゆっくりと出てき、こちらの方へ顔を向ける
その中に隠れていた本体も、まるで岩でできているような姿をしており、ツバメはたしかに防御力がありそうだと思っていた
「それじゃ早速、スラッシュ!」
ツバメはタートルの頭を上から下へと振り下ろす、ラビット相手なら確実に切り落としたであろう勢い、しかしタートルには少し傷をつける程度だった
タートルは自身に傷をつけた相手に噛み付くように顔を向ける
「おっと、確かにこれは硬いな」
タートルの攻撃に対し、ツバメは後に下がりながら避ける
確かに防御力はあるのだが、攻撃に関しては余所見をしなければ容易に避けることが出来る程度だった
少し距離を空けながらツバメは再度剣を構え、タートルに向かいスキルを放つ
「スピア」
向かう先はタートルの目、その剣先がタートルの目に吸い込まれる
流石に目までは硬くないようで、タートルは唸り声を上げながら頭や尻尾を振り回し、全身でその痛さを表していた
「やっぱり目は弱点だよな!」
すぐさま剣を抜き、その様子を観察していたツバメは少しタイミングを見計らい、再度タートルに向かって接近する
タートルは向かってくる敵に対し噛み付いて反撃しようとするが、ツバメは体をひねり顔の側面を柄頭で殴る
「少し大人しくしてろ!」
タートルは殴られた衝撃で少しよろめき、隙を与える
それを見たツバメはタートルの首元に乗り、振り落とされないように足に力を入れる
「これでなんも出来ないよな!」
それからは一方的、タートルも振り落とそうと試みるのだが何をやっても効果がなくツバメの攻撃が止まることは無かった
その後タートルは光の粒となり、アイテムを落として消えていく
「おし、これで何匹相手しても余裕で勝てるな」
「流石に可哀想だと思うわよ」
ツバメ戦いを近くで見ていた二人は、なんとも言えない顔をツバメに向けていた
「勝てばよかろうなのだ!」
「あんまり真似はしたくないかな」
その後三人は次々とタートルと戦っていくのだが
離れた位置からメグの魔法、攻撃を避けながら接近戦をするアーネ、上に乗ったツバメの攻撃により戦闘は呆気なく終わっていくのだった
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