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暗黒騎士の享楽  作者: 天鵞絨
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7.決闘

冒険ギルドを後に広場まで来た三人、周囲には様々な露店や屋台があり、アクセサリーや武器、ポーションなどを売っている店もあれば、串焼きやスープを売っている店もある

少し人だかりが出来ているのだが、よく見るとプレイヤーの姿と共に住民の姿も確認で、この街の人気の場所なのかもしれない


「おおー、前はプレイヤーの姿で隠れて気づかなかったが、こんな風になっていたとは!」


「凄いでしょう!肝心の味も保証するよ!」


少し離れた場所にいた3人の鼻にも、焼けた肉とタレの匂いが漂ってくる

そちらに顔を向けると店の中にラビットが吊るされており、串に刺された肉が店主の手で焼かれているのが見える

その細かな動きや匂いの再現性など、ツバメはVRゲームはこれ程までに進化したのかと驚き、それ以上に頭の中は屋台の料理のことでいっぱいになっていた


「よし、それじゃ早速買いに行くか!」


そうして三人が店の方へと進もうとしたとき、後ろから三人の男の声によって邪魔をされる


「そこの可愛い子ちゃんたち〜、今暇でしょ〜?俺らと一緒にパーティー組んで遊ぼうぜ〜!笑」


「あ?」


ツバメが振り向くと金髪の耳にアクセサリーをつけたチャラい男、茶髪で糸目の男、黒髪でゴツい男の三人がニヤニヤとした気持ちの悪い顔でこちらに話し掛けてきた

ツバメ達三人は汚物を見るような眼差しをチャラ男達に向けるのだが、気にすることなく再度話し掛けて来るのだった


「三人とも初心者でしょ〜?俺たちβプレイヤーなんだけどさ!色々知ってるから手取り足取り教えてあげるよ!笑」


「それにさ、俺たち男三人でそっち女三人じゃん!丁度いいと思うんだけど!笑」


「ゲームなんて楽しんでなんぼだろ?俺身長高いキミとかちょータイプなんだけど!笑」


この三人は何を言ってるのだろうか

日本語が通じ無さそうなチャラ男達に付き合ってる暇もなく、ツバメは一言伝え、店の方へと体を向ける


「暇じゃねーから」


その言葉を聞いたチャラ男達は何故か口笛を吹き、再度ツバメ達に纏まりつこうとする


「少しぐらいいいじゃんかさぁ!悪いようにはさせないからさ!笑」


しつこい勧誘を止めることなく金髪のチャラ男がツバメの肩を掴もうとする

もちろんシステム上、許可のない過度な接触ができるはずもないのだが、ツバメは容易にその手を避ける

ゲームであろうと現実であろうと、ツバメの体に触れることは簡単なことではないのだ


「汚ねー手で触ろうとしてんじゃねーよ、このイキリ野郎が、とっとと帰ってママに慰めてもらえよバブ野郎」


「このゲーム、子供がするのに保護者の同意がいるのだけど、ちゃんと確認して貰ったのかしら?」


「キモい」


ツバメ達三人がチャラ男達に向かいそう言うと、周囲で伺ってた人達からの拍手や歓声が贈られる

三人は顔を赤くし、ツバメ達に向け叫び声を上げる


「テメーらちょっと顔が良いからって調子乗ってんじゃねぇぞ!」


「女は黙ってついてくればいいんだよ!」


「あんま舐めんよ!」


そんな声を荒げる三人なのだが、何をどうしてなのかツバメ達に対し決闘を申し込むのだった


「テメーら俺達と決闘しろ!俺達を馬鹿にしたことを後悔させてやる!」


「逃げるなら今の内だぜ!」


「初心者の雑魚が調子にのるから悪いんだよ!笑」


チャラ男達三人ともが自信満々に喚くのだが、周りにいたプレイヤー達は少し青ざめた表情を浮かべ三人のことを見守る

ツバメはいい加減我慢の限界も来ているため、都合のいいサンドバッグに了承の意を伝える


「決闘だな、さっさと終わらせて飯にしよう」


「ルールは勿論制限なしよね?」


「キモい」


そう告げると、決闘の申し込みという文字が視界に映る

お互いが承認の文字を選択したことにより、周りのプレイヤーとの間に結界のようなものが展開され、邪魔の入らないフィールドが完成される

三対三の闘い、フィールドの両端にそれぞれが移動され、開始のカウントが始まる


「今更後悔しても遅いからな!」


チャラ男達はそれぞれ、剣、片手剣、大剣を装備しており、おそらく《戦士》《軽戦士》《重戦士》なのだろう

チャラ男が叫ぶと同時にカウントの文字が0になり開始の合図が鳴る


「いくぜ!」


チャラ男達三人が同時にこちらへと走ってくる、《軽戦士》は回り込むように後ろのメグに向かい、他の二人は真っ直ぐとツバメ達二人の方に

それを見たメグはツバメとアーネの少し前、チャラ男達の進行方向に防御魔法を設置する


「アクア・シールド」


水の渦で出来た盾が二人の上半身を隠すように出現する

しかし、チャラ男達が止まることはなく、《重戦士》の男が水の盾に向かいスキルを放つ


「こんな盾壊してやるぜ、ヘビースラッシュ!」


《重戦士》の男が大剣を上から下へと振り下ろした瞬間、水の盾はその大剣が当たる前に消滅する

水の盾が無くなることでスキルを大幅に空かしてしまい、《重戦士》の男はそのまま前のめりに倒れ込む

その隙を逃す訳もなく、アーネのスキルが後頭部へと放たれる


「スラッシュ」


その攻撃は致命傷となり、HPが大幅に減ることになる

《重戦士》の男は反撃しようと顔を上げ大剣を振り上げようとするが、アーネの後ろで剣を構えていたツバメによって再度HPを減らされる


「スピア」


その攻撃は丁度上げようとした顔、それも剣先が目に吸い込まれるように放たれ、再度致命傷の攻撃となりHPを大幅に削る

ほんの少しHPが残るのだが、《重戦士》の男は攻撃を受ける際に目をつぶり、更に隙を作っていた

そこにアーネが上から剣を振り下ろし、《重戦士》の男は光の粒となる


「くっ!」


「大丈夫か!」


一瞬の出来事に少し後ろにいた《戦士》の男は身構え、《軽戦士》の男は振り返り歩みを止める

そしていつの間にか放たれていたメグのアクア・ボールが《軽戦士》の顔に直撃する


「アクア・シールド」


再度ツバメ達の前、《戦士》の男との間に水の盾が設置される

それと同時にアーネは《軽戦士》の元へ駆け出し、ツバメは水の盾ギリギリまで近づく

《戦士》の男は先程の光景を思い出し、水の盾が消える前提でスキルを薙ぎ払うように放つ


「クッソ!スラッシュ!」


予想は的中し、確かに水の盾は当たる直前に消えたのだが、目の前にツバメの姿はなく、そのままスキルは空を切ることになる

そんな《戦士》の鳩尾に剣の柄頭がのめり込む


「なん、で」


少し苦しそうにしながら真下を見ると、そこには体を低くし、間近くに接近していたツバメがいた

《戦士》の男が攻撃する直前、水の盾ギリギリまで近づいたツバメはそのまま低くしゃがみ、水の盾が消えると同時に鳩尾に攻撃していたのだ


「スラッシュ」


ツバメは体を捻り、斜め下から切り上げるようにスキルを放つ

《戦士》の男は避けることもガードすることも出来ずに直撃を受け、HPを減らしながら後ろに倒れ込む

ツバメはゆっくりと歩み寄る、そこに投げやりに放たれた《戦士》のスキルが放たれる


「ス、スピア!」


放たれたスキルは真っ直ぐとツバメに向かうが、そのスキルに合わせ、ツバメもまたスキルを使う


「パリィ」


《戦士》の男が放ったスキルはツバメのスキルによって横から弾かれ、目の前が隙だらけの状態となってしまう

ツバメはそのまま近づくと、《戦士》の喉元に剣を突きつける


「二度と近づいて来んじゃねぇぞ、カスが」


突きつけた剣に体重を乗せ、喉を貫く

《戦士》の男のHPはそのまま0になり、光の粒となって消えていくのだった


誤字などがあれば教えてもらえると助かります!

また、感想、ブックマーク、いいねをしてくれると凄く喜びます!


m(_ _)m

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