11.サブ職業
フロッグを狩り終え、沼地を後にした三人は再びラビットのいる草原のフィールドに来ていた
「1周したどー!」
「漸く戻ってきたな!」
アーネとツバメは成し遂げたと言わんばかりに両手を掲げ、少し後ろではメグがその微笑ましい様子を眺めていた
「よし!早速狩りまくるか!」
「そうね、1度ログアウトもしておきたいから、さっさと終わらせましょ」
そう言うと三人は早足にラビットの元へ向かう
先頭を歩いていたアーネだが、急に立ち止まりこちらを振り返る
「折角だから討伐数で競走しようよ!よーいドン!」
「あ、ちょっと!」
アーネのあまりの勢いに、メグは1度止めようとするが無駄と感じ、自身もラビットに向かう
「負けられねぇな!」
少し遅れたが、ツバメも数を稼ぐため人の少ない場所に足を運ぶ
ラビットは一匹から三匹程で草を食べている、ツバメは一匹だけの場合は走り際に首を切り落とし、固まって行動しているラビットには蹴りなども多用し、戦闘を繰り広げた
「結構倒したな」
暫くして、落ちた素材を拾いながら先程いた場所に戻っていく
丁度二人も戻ったタイミングだったようで、お互いに数を報告する
「俺は三十二匹だったな」
「勝った!三十六匹倒したよ!」
四匹差、遅れた分が反映されたようでツバメは悔しいと顔を歪ませアーネを見る
そんなツバメの表情にアーネはドヤ顔で返すのだが
「私の勝ちね、四十五匹よ」
メグの数を聞き、二人は驚きの表情を浮かべる
大幅に数を上回り見事1位となったメグ、二人はどのようにしてその数を討伐したのかを問うのだが
「さっきこんなのを買っておいたのよ」
メグの手には1つの瓶が握られている
魔物寄せの香水、その瓶の中身を周囲に振りまくことで一定時間その場所に魔物を引き寄せるという効果のものだ
「あ、狡い!こんなのノーカンだよ!」
「あら、急に勝負を仕掛けてきた貴方がそれを言うのかしら?」
アーネはメグに向かい抗議するのだったが分が悪く、笑顔で反論され逆に立場が悪るくなるのだった
何はともあれ無事Lv上げも終わり、三人は街へと戻ることにした
「よし、そろそろ街に戻るか」
「Lvもいい感じに上がったね!」
今回の1周で、最終的にLvは7にまでなっていた
Lv5になった際に称号《もう1つの職業》を手に入れたことで、ステータスにサブ職業の欄ができ、三人は街へと戻り冒険ギルドで素材を売り、転職のため教会へと向かうことにした
「それで、ツバメはどの職業にするか決まったのかしら?」
「ああ、一応な」
ツバメは今回のLv上げで自身の戦闘の仕方などに不満はなかった
そのため今のところは戦闘職を増そうとは考えず、生産もいいと思っていたのだが
「そうなんだ!どの職業にするの?」
「聖職者にしようと思ってる!」
聖職者、後方支援に徹しており、魔法防御力の高い職業である
それを聞いた二人は驚きの表情を浮かべ、聖職者を選んだその理由を教えてもらうのだ
「ちょっとした事でHPを回復させるの勿体ないし、その都度街には戻れないからな!MPは時間が経てば回復するし」
普段は傷を負うことも無く戦闘を終わらせるのだが、今回のように集団であったり、気を緩めたタイミングであったりでHPを減らしてしまうのだ
それに度々ポーションを使用するのは勿体ない、しかし出来ることなら回復したいという思いなのだそうだ
「ツバメちゃんは戦闘職増やすと思ったんだけどなー」
「意外と生産にいくと思っていたわ、でもいいんじゃないかしら!」
二人の想像とは違ったが悪い選択肢ではないと思い、ツバメの今後の戦い方にどう影響するのかと期待する
「この職業だと、そのまま進むと騎士に転職出来るわね」
「本当だ!ツバメちゃんが騎士、凄く良いよ!」
どうやら聖職者を選ぶと転職出来るようになるらしく、ツバメは楽しみだと笑う
そうこう話しているうちに、三人は教会へと着いていた
「よし!教会にも着いたし、転職しに行くか!」
ツバメは教会の中に入るとその見事な空間に驚きの声を上げる
「これは、凄いな」
中は広々とした空間になっており、美しい装飾のされた柱が2列に並び窓にはステンドグラスが使用されているため、差し込む光が神々しく見える
柱の間、真ん中に道を作るように長椅子が設置されており、奥へ進むと本が置かれている台、そして壁側に老人の像がそびえ立っていた
「迫力あるよね!創世の神って言われてるらしいよ!」
「住民には、この神が私達渡り人を連れてきているって伝えられてるみたいよ」
そんな凄い神がなぜこの街にいるのか不思議なのだが、ツバメは納得する程のオーラを感じていた
教会を堪能し終り、いよいよサブ職業を選ぶ時がきたのだが、ツバメはそのやり方を知らないようだ
「ここで転職するんだよな、どうすればいいんだ?」
「私が手本を見せるよ!」
ツバメは意気揚々と転職するアーネの様子を観察する
アーネは本が置かれた台の前で立ち止まり本に手をかざす、すると本のページが勝手にめくれていくのだ
ツバメが驚きの表情を浮かべていると、本はピタッと止まる、そこには様々な職業が表示されていた
「これでよし!っと」
アーネは1つの職業に指を差し、そのままこちらへと戻ってくる
「これで終わりなのか?」
「そうだよ!簡単だったでしょ!」
アーネの言う通り、演出は凄く派手で目を奪われる光景だったのだが、やる事自体は非常に簡単だった
ツバメは工程を思い出しながら自身も本が置かれた台の前に進む
「これで手をかざすと」
本は先程と同様の演出でツバメの職業を表示させる
生産職や戦闘職などの様々な職業がある中、ツバメの目的である聖職者の文字を探す
「お、あったあった」
聖職者の文字を見つけ、ツバメはそこに指を差す
サブ職業《聖職者》に転職しました
ステータスを開き、無事にサブ職業の欄に聖職者があるのを確認する
その後はメグの転職か終わるのを待ち、教会を後にした
「それじゃ1度ログアウトして、30分後に集合するか」
「そうね、転職まで出来たし丁度いいわね」
そう言い、三人はトイレや水分補給などを済ませるためログアウトをするのだった
ステータス
[名前]
ツバメ
[メイン職業]
-戦士-Lv7
戦士の知識
▷スラッシュ、スピア、パリィのスキルが使用可能
戦士の心得
▷戦闘時物理攻撃力が上昇する
[サブ職業]
-聖職者-Lv1
聖職者の知識
▷ヒール、ピュア、プロテクションのスキルが使用可能
聖職者の心得
▷戦闘時魔法防御力が上昇する
[称号]
渡り人
▷登録した国や街等に転移することが出来る
不屈の心
▷戦闘時間が長引く程に強くなる
もう1つの職業
▷サブの職業欄が解放される
[装備]
始まりの服
普通の剣
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