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【完結済】不思議な桜が繋いだ縁【仮】  作者: 三愛 紫月
荻野美花

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願い事

毎日が、苦しかった。


私は、絶望と孤独の沼にハマっていた。


「ただいまー。美花。しよう」


「えっ?ちょっと、待って」


「ハァー」


「んんっ…」


美鶴(みつる)、知ってる?


この沼にハマるとね。


人は、愛を思うように受け取れなくなって、性処理の人形じゃないの。


なんて、思ってしまうんだよ。


「美花、愛してるよ」


おざなりじゃない、美鶴はきちんとしてくれてたし、優しくしてくれてたし…。


わかってるんだよ。


わかってたんだよ。


なのに、なのに…。


受け取れなかった。


もう、あの日のように美鶴の愛を受け取れなかった。


「あの神社で、願い事したらマジで叶ったんだ。」


「あー。ちょうどこの季節しか現れないところだよね?」


トイレで、ゼリー飲料を飲んでると、女の子達の声が響いた。


神社の話や、やり方を説明していた。


行きたい!!


美鶴に捨てられないのなら行きたい!


私は、学校を早退して行った。


「行き止まりじゃない。せっかくきたのに、残念。」


ビューーって、突風が吹いた。


「えっ?あったっけ?」


私は、現れた神社に入った。


「こんにちは」


「こんにちは」


その人の目は、私を醜いもののように見る目ではない。


こんな風に見られたのは、美鶴以外で初めてだった。


「あのー。絵馬を」


「はい、こちらですよ」


何の偏見も、持たない眼差し。


「ありがとうございます」


私は、絵馬に願い事を書いた。


【美鶴とずっと一緒にいれますように…。】


お願いをして、桜の下を三周回った。


終わり。


「お守りを買いませんか?」


「はい」


「こちらです。恋愛成就」


「わかりますか?」


「人を好きになる事は、素晴らしい事ですよ。」


私は、3000円を支払った。


「ありがとうございます」


「肌身離さず持っていて下さいね。それと、もっと相手を信じていいのですよ。」


「えっ?」


「あなたが思うよりも、世界には優しい人がいます。私は、そんな人を知っていますよ。」


そう言って、微笑んだ。


「何だか、ありがとうございます。」


毒された心が、少しだけ解れた気がした。


「お気をつけて」


薄汚れた袴が、その人の白さをやけに際立たせていた。


キリッと鋭い目つきなのに、驚く程優しい笑顔を向けた。


凄く、凄く、優しい人だった。


私は、美鶴を信じて生きよう。


大丈夫!


何も、恐れなくていいのよ。


私は、家に帰って、美鶴を待っていた。


「ただいまー。」


「おかえり、しよう」


珍しく私から、美鶴を誘っていた。


「嬉しい」


美鶴の顔が、明るくなる。


「美花ぁー。美花ぁ。愛してる、愛してるよ」


「私も愛してるわ、美鶴」


何もいらないのよ、美鶴がいれば私は、何もいらないの…。


だけど、毒は私の体を蝕んでいく。


こんなにも、愛されている。


酷い言葉なんて、言われていない。


なのに、何で、こんなにポッカリとあいているのだろうか?


この頃の私は、世界の優しさなんて


ううん。


隣にいる、美鶴の優しささえも受け取れていなかった。


切り裂かれるような痛みの中に、毎日のようにいた。


だんだんと、鈍くしよう。


痛みを受け取れないようにしよう。


そしたら私は、美鶴の優しさや愛さえも受け取れなくなった。


心を鈍感にすると言う事は、些細な愛さえも幸せさえも味わえないと言う事。


驚く程に、真っ暗な写真が、ペラペラと捲られていく。


荻野美花(おぎのみか)の、孤独と絶望は、村井美鶴(むらいみつる)がくれる愛よりも深くて暗い。


いつもの鮮やかな色彩ではない。


暗くて、暗くて、絶望しか感じない。


それは、宮瀬歩(みやせあゆむ)にも似ていた。


パラパラと雑誌が、捲られるように季節が進んで行く。


そして、愛よりも絶望と孤独が降り積もる。


「テメー。何、イケメンとしっぽりやってんだよ」


「ゴボッ、ゲホッ」


学校のトイレで、水を溜めてそこに何度も何度も顔を押し付けられる。


「当て付けみたいにデートしてんじゃねーぞ。」


その痛みや苦しみは、愛よりも強くて重い。


二度とはずせない鎖のように、彼女を苦しめていく。




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