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【完結済】不思議な桜が繋いだ縁【仮】  作者: 三愛 紫月
霊魂うつし

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器を貸す

冴草健斗(さえぐさけんと)さん。お待たせしました。」


私の言葉に、冴草健斗は私を見つめた。


「大丈夫です。私は、貴方を再構築できます。」


『三日月さん、俺のわがままでごめんなさい。』


「そう思うなら、2日後に肉体を返しに来て下さい。私は、ここで宮部さんにビジョンを見せているので」


『三日月さん』


「大丈夫です。糸埜(いとの)を通してビジョンを見せれますので。ほら、早くしなければ浜井さんが悲しみますよ。」


先程、浜井さんからメッセージがやってきた。


上條陸は、五木結斗に会いたいと話した事、自分が同じ立場でも三日月先生に頼むと言う事を話されたようだった。


一日でもいいから、冴草健斗と過ごしたいとはいっていた。


『三日月先生の体に、全ての記憶が残るのは恥ずかしいですが、お借りします。』


「はい、どうぞ」


右の手を掴んだ。


ドクン…


『素晴らしいですね。』


私は、拍手をしていた。


喜与恵(きよえ)は、立ち上がって全身鏡を持ってきた。


「どうぞ」


冴草健斗は、泣いていた。


自分の姿に、泣いていた。


「どうなってるのですか?」


『冴草さんの形になったのです

ね。』


「人形は、わかりますね?」


「はい、勿論です。」


三日月家(みかづきけ)は、人形を人間(ひと)で作ります。その器は、その人の形を再構築します。今見えてるようにです。」


冴草健斗さんは、泣きながら顔を(さわ)っている。


遥か昔から、誰かが魂の器になってきたのだ。


この世では、私がそれを選んだだけのこと…。


「三日月さん、お借りします。」


『明後日の真夜中の12時までに、お返し下さい。よろしくお願いいたします。』


「明後日で、いいのですか?まだ、今日は後二時間も残っていますよ。」


『おまけです。』


「そうですね。少しぐらいおまけをされても、いいではないですか。冴草さんは、あの日から随分長く彼に()れられていないのですから…。」


糸埜の言葉に、冴草さんは泣きながら頭を下げた。


『お気をつけて』


「はい、行ってきます。必ず、戻ってきます。」


『はい』


冴草さんは、急いで行った。


「タクシーをお呼びしております。」


喜与恵(きよえ)も、一緒に行く。


今世(こんせ)では、喜与恵の為に生きようと思ったのか、宝珠?」


糸埜の言葉に、深く頷く。


「化け物になれば、大丈夫だと書いてあったか?」


『違います』


「じゃあ、何だ?」


『喜与恵は、死ぬのを酷く恐れ化け物になりました。それは、私の為です。父がいなくなった後、喜与恵は自分がいなくならないと私に約束したからです。ですが、喜与恵は私より遥か長く生きていく。自分で死ぬ事も事故死も許されない世界を生きていくのです。』


「知っておる。」


糸埜は、そう言って目を伏せた。


『もう、随分と長く喜与恵は私を待ちました。ならば、今度は私が喜与恵と生きていってもよいのではないですか?私亡き後、化け物のままで、一生誰も愛せぬ身のままで生きていく事は容易ではありません。だから、私は、生まれ変わらずに喜与恵と生きる事を決めたのです。糸埜。いけませんか?』


私の涙に、糸埜が()れた。


「宮部さんは、宝珠を好きになってきておったのだよ。その手を断ち切ってまでも、喜与恵を選んだ。茨の道をわざわざ選ぶ。どこまでも、宝珠は…。」


『駄目な弟ですね』


糸埜は、涙を拭って笑った。


「これから先、宝珠は、肉体のまま、人間と接触できない。力が強すぎるからなのは、わかっていますね?」


『掲示板は、閉鎖ですね。』


「いや、その意思を三日月のもの達が継いでいく。宮部さんとも今の姿でしか会えない。ビジョンは、私が通して見せる。そして、魂の()れ合う場所に宝珠は入る事は禁じられている。」


『外から見届けるだけですね』


「そうだ。それが、人間をやめた三日月宝珠(みかづきほうじゅ)運命(さだめ)だ。」



糸埜は、そう言うと泣いている。


「少し休ませてもらう。」


『わかりました。』


「今夜は、ここに泊まる。」


「はい、おやすみなさい」


糸埜は、泣きながら部屋を出ていった。


多分、真理亜達の元へ行ったのだ。


私は、まだ会えない。


絶対に、真理亜が怒るのがわかるからだ。



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