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【完結済】不思議な桜が繋いだ縁【仮】  作者: 三愛 紫月
霊魂うつし

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見えない痣

私は、家に帰る。


あの日と同じように日本酒を持ってきた。


有里(ありさと)は、私が眠ると襲いにやってきた。


耳元で、生暖かい息がかかる度に吐き気を押さえた。


幽体と出来る身体などいらなかった。


『三日月先生、飲むなよ。そんなに…。』


手酌で、コップについでは飲む私の手を冴草健斗がとめる。


「何だ?私を抱きたくなったか?」


『何、それ?ふざけてる?』


「ふざけてない。」


愛しき幽体達のお陰で、私はあいつから解放された。


いや、回数が減った。


『三日月先生、また来たの?あの人』


冴草健斗は、正義感の塊だった。


.

.

.

.


「やめてくれ」


『結界はっても、俺には意味ないよ。宝珠。』


「やめろー、やめっ」


『嬉しいくせに、何言っちゃってんの』


「ぅぅっ、ぅっ」


『舌噛んじゃうから』


「んんっ、っっ」


『可愛い、宝珠。宝珠』


私は、声を出さないようにする。


『お前さー。三日月先生に何してんの?』


『ああ?』


『離れろ』


ドサッ


『今からなのに邪魔すんじゃねーぞ』


『はぁ?うるせー』


ドカっ、ドカっ、ドカッ


『はぁ、はぁ、はぁ』


『威勢がいいくせによえーな。』


成仏をしてる冴草健斗の力には、どうやら敵わないらしい。


『ふざけんな』


ドカッ


『帰れよ。クソ野郎』


『覚えとけ、くそったれ』


「はぁ、はぁ、はぁ」


『三日月先生、大丈夫?』


「冴草さん、何故?」


『三日月先生、嫌がってたから』


「見てたのか?情けない」


『情けなくないよ。強姦だよ。あれは、強姦』


「罪にならぬけれどね」


冴草健斗は、私の腕を掴んで自分の頬に当てさせた。


『こんなに、震えてるのに罪に問われないなんて不条理な世界だね。』


「そうだな」


冴草健斗の正義感に、私は救われた。


.

.

.

.

.


『三日月先生?大丈夫?』


「冴草さんが、初めて助けてくれた日を思い出していた。」


『そうだったんだな』


「身体中に、あいつがいる。」


『また、やられたの?』


そうか、苛立ちはそれだったのだ。


「昨日だな。たぶん」


『俺が、帰った後?』


「身体が、やけにダルかった。器を修復したからだと思った。」


『霊気いれられたのか?』


「そうだ。だから、喜与恵(きよえ)は…。」


『案内人さんに何か言われたの?』


私は、喜与恵が耳元で囁いた言葉を思い出していた。


壁に押さえつけ、泣き崩れる前にだ。


【宝珠、中を出さねばなりません。】


「中を出さねばならぬと言った」


『見せてくれる?』


「えっ?」


冴草健斗は、私のシャツを脱がした。


『三日月さん』


「やはりか…」


胸の下に、痣があった。


『消せるのは、巫女さんか案内人さんでしょ?』


霊気をいれられた証だ。


「そうだ。結斗か真理亜なら消せたかも知れぬが…。今は、無理だ。」


『怒りのコントロールが出来ないでしょ?これが、あると』


「あぁ、そうだ。」


邪悪な魂の霊気をいれられた肉体は、暴走する。


やがて、人をも(あや)める事になる。


『俺を()った奴にもあったんでしょ?これ?結斗が教えてくれた。人には見えない痣。』


「確かにある。(あや)めた人には大抵この痣がある。」


『もうそれは、人ではない。だから、罪を憎んで人を憎まず。でしょ?三日月先生。俺に何度も言ったよね。分厚い本見てさ』


「そうだな。」


そんな簡単な事も忘れていた。


三日月の書物に書かれていた。


【邪悪な魂に、霊力いれられしもの。人の目に見えぬ赤黒き痣をもつ。赤黒き痣、左の胸より広がりし、いずれ人ならざるものになりけり。身体いっぱいに広がりし頃、人を(あや)めるものとなりけり。】


『三日月先生の力が弱っているの?』


「いや、そうではない。あいつが、何かを喰らっているのかもしれない。」


『それなら、三日月先生。また、来るな。あの人』


「なんとかなる。気にしないでいい。」


私は、また酒をグラスにいれる。


『俺が、消してみてやるよ。三日月先生』


「やめろ。浜井さんに会えなくなる」


『痣が生まれしもの。愛する人に二度と会えぬだったよな。いいよ。どうせ、霊魂うつし出来ないんだろ?だったら、二度と会えないからいいよ』


「やめなさい」


私は、冴草健斗を力一杯とめる。





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