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【完結済】不思議な桜が繋いだ縁【仮】  作者: 三愛 紫月
霊魂うつし

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苛立ち

私は、苛立ちを感じながら部屋を出た。


宝珠(ほうじゅ)、待って下さい」


喜与恵(きよえ)は、私を追いかけて腕を掴んできた。


「お前に私の何がわかるのだ」


「宝珠、行かないで。私が、霊魂うつしを手伝うから」


「お前のような、半化け物に何ができると言うのだ。」


「できるよ。宝珠の為なら私は、何でも出来るよ。」


喜与恵は、後ろから私を抱き締めてくる。


「離せ、お前の同情などいらぬ」


ドンッ…


喜与恵を振り払った。


「待って下さい。私は、宝珠と」


「契約を交わせば自分のものだと勘違いしたか?」


私は、怒りに任せて喜与恵を壁に押し付けた。


「宝珠、私はどんな宝珠でも愛してます。」


ブチン…


「宝珠」


私は、鎖を断ち切った。


「ぁぁぁぁあああああああ。私を、必要ないと言うのですか」


喜与恵は、その場に崩れ落ちた。


私は、喜与恵をまた傷つけた。


でも、この苛立ちをとめる事が出来なかった。


「宝珠、行かないで下さい。私も連れて行って下さい。」


喜与恵は、私の足にしがみついた。


「離せ、お前などいらぬ」


ドンッ


私は、喜与恵を押して歩きだす。


「宝珠、さよならならば、私は末梢していただきます。鍵となりける、魔物です。」


「喜与恵」


振り返ったけれど、もう姿がなかった。


【宝珠、怒りを消せぬならば、喜与恵を末梢する】


あの方の逆鱗に触れた。


「何故ですか?」


【喜与恵は、半化け物だ。これ以上生きて苦しい思いをさせ続けられるのは、父親として見てられぬ。末梢し、新しい未来に連れていく。二度とお前に会わぬ未来へだ。お前は、喜与恵を傷つけた。産まれかわる度に、喜与恵を縛りつける。宝珠、明日までに怒りを消す事が出来ぬのなら喜与恵を末梢する。お前にとって、喜与恵はいらぬ存在であろう?たいした命ではないはずだ。】


「何故、そんな…」


私の涙や苛立ちとは、裏腹にあの方の声は消えた。


あの方は、喜与恵に血を分けたから父と言った。


喜与恵とは、産まれ変わる度に惹かれ合う運命であると巫女から聞いた。


私は、毎回喜与恵に苛立ちをぶつけあの方が喜与恵を末梢したのを聞いた。


今の世でも、同じことをするのか?


私は、神社から出た。


車に乗り込む。


『喜与恵ちゃん、泣かしちゃったな』


「また、お前か」


『苛々してるね、宝珠』


「気安く触るな」


『堅苦しい言葉やめて、あの頃みたいに言えよ!あの世で、まこちゃん犯されてーのか?宝珠』


「ぶざけるな。テメーは、何故真琴を殺った。俺から真琴を奪わずに、俺を犯したらよかっただろうがよ。有里(ありさと)


『やー。久々にその目にゾクゾクするわ。俺って言ってんの久々に聞くわ。何で、俺が死んだか知ってる?』


「知るか」


『テメーが、幽霊に(さわ)れるって知ったからだよ。バーカ』


「ふざけるな。お前は、俺の人生を踏みにじった。生きてる時も死んでからも」


『当たり前だろ?あの日、テメーを見て欲しくなったんだからよ』


「ぅっ、うぅ」


ドンッ…


私は、唇の涎を拭った。


「やめろ。」


『何回犯されたか、思い出して当たってたらやめてやるよ。宝珠』


「お前は、私をこけにする。」


『愛してるの間違いだよ。宝珠』


「愛?追い詰めるの間違いではないのか?」


『愛だよ、愛。俺のせいで人間嫌いになった宝珠ちゃん。アハッ』


「ふざ」


消えてんじゃねーぞ。


くそったれが


(きたな)い言葉が(あふ)れ出して止まらない。


あの日、師匠が私に怒った。


「三日月の家を継ぐものが、そんな浅ましく、卑しい感情をもつな。穢らわしく(きたな)い、存在。宝珠、二度とそんな気持ちをもつな。汚い言葉を喋るな!考えるな!思うな!出来ぬなら、さっさと鍵になって死んでしまえ」


持ってはいけないと思っていた。


「宝珠君、その感情を全部私にくれませんか?」


あの日の喜与恵の笑顔が浮かんだ。


「喜与恵ーー。喜与恵ーー」


私は、暫く泣いた後で家に帰った。



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