器を直す
「真理亜の知り合いなのか?」
『はい、宝珠の為に接触しました。』
「真理亜、私を愛しているか?」
『どうなされました?喜与恵を好きな気持ちをこんなに抱えてしまったのですね。』
「真理亜、私は卑しい人間なのだ。」
手錠のように、両の手に赤い鎖が流れている。
『契約を喜与恵とも交わしたのですね。』
「あぁ、その通りだ」
『宮部さんへの気持ちは、よろしいのですか?』
「私は、何を自分が欲しているのかわからないんだ。」
『宝珠、まだ時間はあります。器を直す事ができる事を知りました。だから、宝珠の感じている痛みもいずれ静まります。』
真理亜は、私の胸に手を当てる。
『お熱いところすまぬな。』
「念珠さん、美条さん、どうして?」
『宝珠の器を直しに来たんだよ』
その声に、涙が込み上げてくる。
『宝珠、よう頑張った』
美条さんが、抱き締めてくれた。
「私は、皆さんが思うような能力者になれていますでしょうか?」
『なれてるよ、宝珠』
念珠さんが、優しく髪を撫でる。
『億珠、万珠のやるべき事をとめなければならぬ。わかっておるな?』
『はい、お兄さん』
『一条さん、お手伝いお願いしますよ。』
「二条さんの前世ですよね?」
『分離しました。抹消される瞬間に、三人が私を助けました。』
二条さんに、そっくりな姿に涙がとめられなかった。
「資料でしか拝見した事がありませんでした。まさか、これほどまでに似ているとは思っていませんでした。」
『よかったです。では、始めましょうか』
そう言うと、私は五人に囲まれる。
一条さん、億珠さん、念珠さん、美条さん、真理亜が私の体に触れた。
「うっ」
『今から、痛みが走ります。器を修復します。』
「うっ、うっ、うわぁぁぅヴぁぁぁぁぁわあぁぁぁぁ」
身体の内側から、燃やされている感覚がする。
「はぁ、はぁ、はぁ」
ボタボタと涎と共に血が流れ落ちる。
『もうすぐ終わるよ。頑張って、宝珠くん』
「はぁ、はぁ、はぁ」
『直ったぞ。宝珠』
肉体の修復が、終わった。
『大丈夫?宝珠』
真理亜が、髪を撫でてくれる。
『五木結斗だけどな。暫く、わしらが預かる。宝珠は、全て終わらせろ。』
「わかりました。あの、さっき真理亜と話していた方は?」
『三日月虎珠じゃな。虎珠が、預かっておる。五木結斗の為に、全力をかけて守る。虎珠の檻を破る能力者はおらぬ』
「そうですか、ではお任せします。」
『私は、皆がいるから大丈夫です。』
「わかった。あの、念珠さん。少しいいですか?」
『どうした?』
私は、念珠さんを離れた場所に呼んだ。
『どないした?』
「あの、喜与恵から聞いたのですが…。これ?」
『宝珠も喜与恵に契約させたか!』
「念珠さんは、どうやってしたのですか?」
『あれか?あれはな。』
「えぇ、そうだったのですか」
『わしと宝珠の秘密だぞ』
「はい、勿論です。」
念珠さんは、私の手を掴んだ。
『喜与恵と契約を交わしてくれたんやな』
「嬉しいですか?」
『あぁ、嬉しいぞ。』
「宝珠さん。念珠さん」
「危ない」
「あっ、すみません。」
喜与恵は、一旦下にタッパを置いた。
『喜与恵、よかったな。』
念珠さんは、喜与恵の頭を撫でた。
あの日みたいに…。
「念珠さん、私だけ叶ってしまってすみません。」
『わしも、あの世で叶っとる』
そう言って、美条さんを見つめた。
「一緒におられるのですね」
『あぁ、何かわしとおりたいんやってさ。それが、美条の願いやった。喜与恵、これからも宝珠を愛せ。』
「はい、勿論です」
喜与恵は、念珠さんに笑っていた。
『じゃあな、またな。喜与恵』
念珠さんは、向こうに戻っていった。
「あの、私は、帰ります」
『あぁ、気をつけて』
皆は、楽しそうにしている。
「じゃあ、喜与恵。帰るよ」
「あの宝珠さん、これ。」
「ありがとう」
「それと…」
「何?」
「宮部さんとうまくいくといいですね。では、私は、皆さんと話しますので」
「あぁ、また明日よろしくね。喜与恵」
「はい」
私は、喜与恵に頭を下げて出ていく。




