報われた想い
真理亜が、白い布の上に寝転がっている。
蝋燭と線香が、つけられている。
「真理亜」
私は、真理亜に近づいた。
『宝珠、生きていてよかった』
真理亜は、私に抱きついた。
「何人犠牲にしただろうか?」
『50人です。皆、穏やかな最後でしたよ。宝珠』
巫女が、見せたのは一部だったのがわかった。
「すまなかった。真理亜の大切な同士達を」
『宝珠は、後も先も考えない。今が、全てだ。だから、僕は宝珠が好きなんだよ』
「真理亜」
真理亜の足元が、消えかかっている。
「案内人さん、ナイフを」
「はい」
私は、手首を切りつけた。
「真理亜、生きろ」
真理亜の口に私の手首をあてる。
『ゴクッ、ゴクッ。はぁ、はぁ』
真理亜は、私の魂の伴侶だ。
『宝珠、これ以上は駄目』
私の体力がまだ完全ではないのを知っている真理亜は、途中で飲み干すのをやめた。
「真理亜、死ぬな」
『んんっ、はぁはぁ』
私は、真理亜にキスをした。
三日月家の能力者達の初めての相手は、霊体だ。
私は、師匠に用意された霊体とせずに真理亜とした。
真理亜は、私の初恋相手で、初めての相手だった。
『宝珠、駄目』
「私と真理亜の繋がりを消させはしない。」
師匠は、生きてる間も私と真理亜との繋がりを抹消させようとした。
まだ、人間と一つになっていない私は、いくらでもリセットさせられたのだ。
『宝珠、駄目です』
「真理亜、大丈夫。心配せずに身を任せてくれ」
『宝珠、愛してる』
真理亜は、私のエネルギーが不足する事を酷く恐れている。
それが、真理亜に触れれば伝わってくるのだ。
「真理亜、力を抜いて」
『はい、んんっ、はぁはぁ』
私は、全身のエネルギーと共に真理亜の中で果てた。
「ふっ、ふっ、ふぅふぅ」
息がとてつもなく苦しい。
『宝珠』
真理亜の足に触れた。
よかった。
『何で、宝珠はそんなに優しいのですか?』
真理亜の涙が、顔にあたる。
「大丈夫。何も心配いらないよ」
『宝珠、宮部さんとお付き合いして下さい。宝珠は、エネルギーを使いすぎです。そんなに使いすぎるといつか干からびてしまいます。』
「大丈夫だよ。真理亜」
私は、真理亜の頬に手を当てる。
『幽体の愛だけでは、もう宝珠のエネルギーを補いきれないのです。わかってるでしょ?宝珠』
「大丈夫、心配しないで」
身体が、鉛みたいに重く
起き上がる事は、出来ない
『少し休んで』
「おいで、真理亜」
大の字に寝転んだ、私の腕に真理亜はスッポリとおさまった。
『休んで、宝珠。起きてるから』
「ごめんよ、真理亜」
『宝珠、心配いらないわ』
私は、真理亜の温もりを感じていた。
不思議な事に、幽霊にも温もりがあるのだ。
人間ほどではないけれど…
ゆっくりと目を閉じる。
師匠が、怒鳴りつけた日の映像が流れる。
「誰のビジョンにはいった。言え、言うのだ、宝珠」
七転八倒する痛みに悶え苦しんで、うずくまる私の頭を師匠はさらに床に押し付けた。
涎が、ボタボタとこぼれ落ちる。
「ヒッ、ヒッ、オェっ、」
しゃくりと嗚咽が止まらなくて、怖かった。
死んでしまうと思った。
「言え、誰のビジョンに入った。言うのだ、宝珠」
17歳の私の脳内は、パンク寸前だった。
「お前は、また私の言うことを聞かずにおなごとやったのだな?言えーー。」
師匠は、狂ったようにさらに私を床に押さえつけた。
「師匠、やめてください。宝珠が、死んでしまいます。」
止めたのは、糸埜だった。
「宝珠君のお話は、私達が聞きますので」
二条さんは、師匠に頭を下げた。
「許さぬぞ。真理亜というやからとやったと思ったら人間のおなごともやりよって。リセット出来なかったではないか。お前は、三日月家を破滅させるものだ。」
「師匠、行きましょう」
興奮する師匠を糸埜は連れていってくれた。




