真理亜とビジョン
真理亜が、現れるのはこの空間でだけだった。
真理亜は、クライの高い幽体になったのだ。
神様とは違うけれど、それに近いようなエネルギーの強さは持っている。
だから、ちゃんとした空間でしか会えないのだ。
『宝珠、おやすみ。僕が見ていてあげるから』
真理亜は、僕を引き寄せて抱き締めた。
五木結斗は、私に愛されて欲しいと言ったけれど、私は、昔から真理亜から愛をもらっている。
師匠は、真理亜を邪悪な魂だと忌み嫌っていたが、魂に悪などほとんどいないのだ。
作るのは、人間なのだ。
真理亜もそうだった。
私は、真理亜に抱き締められながら目を閉じる。
繋がった。
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「ただいま、カエちゃん」
「おかえり、流」
大海力が、やってきた。
「カエちゃん、しよう」
「待って、まだ玄関だから」
「待てない」
玄関の鍵を閉めた。
大海は、ベッドに成木さんを連れていく。
「待って、流、んんっ」
気づいたか?
「カエちゃん、誰かとした?」
「するわけないよ。今日は、休みだったし、家にいたよ」
「嘘ついてないよね?」
「嘘なんかついてないよ」
「んんっ、はぁはぁ」
「カエちゃん、本当だよね?」
大海の顔は、怒りに染まっている。
殺されたりはしないはずだ。
こいつも、馬鹿ではない。
「本当だよ」
「嘘つきには、お仕置きが必要だな」
「痛い、痛いよ」
「嘘つくからだよ」
大海は、力任せに成木さんとした。
「んんっ、イッ、はぁはぁ」
「カエちゃん、嘘つきだから悪いんだよ」
「っっ」
「うっ、ハァー」
どす黒い体液が、出たのが見えた。
それと、同時に私の血液が、入った。
フフッ、どうなるかな?
成木さんは、睡眠薬を飲ましたかのようにすぐに眠った。
「スー、スー」
大海は、成木さんから離れた。
「いったぁぁぁぁぁぁぁぁ」
効いたか?
「三日月ほうじゅぅぅ」
誰だ?
声の主が、わからない。
「お前が、お前が、きたのかぁぁぁぁぁぁぁ」
フフフ、バレたか。
大海は、苦しんでいる。
「ほうじゅゅゅぅぅ」
その声は…
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師匠だった。
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「はぁ、はぁ、はぁ」
『宝珠、大丈夫?』
「師匠だった」
ボロボロと涙が止まらなかった。
「真理亜、ごめん」
真理亜から、離れた。
『宝珠』
私は、もう一度目を瞑る
大海は、私のビジョンの位置を見つけた。
もう、苦しんでいない。
「宝珠、お前はどこまで私をこけにする気だ。浅はかな考えで、お前の血で、私を消せると思ったか?」
高らかに笑う。
「宝珠、お前は浅はかだ。二条の髪の毛を吸い込んでる。まだ、身体に残ってる」
「ぅぅ、うっっ」
私は、目を開けた。
「うーぅぅ」
身体の中が、締め付けられる。
右に左に、暴れまくっても取れない。
「オェー」
吐けない。
『宝珠、宝珠』
真理亜が、力を使う。
「ダ…」
あいつは、真理亜を抹消しようとしてる。
いや、私の癒した魂を抹消する為に残ったのだ。
「ぅーぅ、オェ、オェー」
『大丈夫だよ、宝珠』
『真理亜さん、俺もやります。』
『私も、します』
真理亜の仲間が、何人かやってきた。
「ダ…メ…だ」
私は、皆に触れられないように転がる。
『三日月さんを助けた結果、抹消されるなら、本望です。だから、苦しまないで、三日月さん』
「や…め…」
『宝珠、僕も構わない』
魂を抹消させる事など、させない。
させてはならないのだ。
「ダ…」
意識が、薄れていく。
師匠の力は、死んでいるから強くなっている。
嫌、二条さんを取り込んだのか?
…
…
…
「ゴホッ、ゲホッ、ゴホッ」
目が覚めた。
「真理亜、真理亜」
真理亜の姿も、他のみんなの姿もなかった。
私の目の前に、どす黒い塊だけがあった。
「あぁあぁぁぁあぁぁぁあ」
私は、魂を抹消したのではないか?
力ずくでの抹消のやり方とは違う。
全てのエネルギーを私にうつして、消えたのだ。
二条さんの痛みと同じ痛みを味わってはいなかったか?
「まりあぁぁぁぁぁぁぁぁ」
私は、どす黒い塊の二条さんの髪の毛を持って立ち上がった。




