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結婚できますように…

はっ…。


目が覚めた。


街角のショーウィンドウのガラスの前で、どうやら私は髪の毛をチェックしていたようだ。


不思議な感覚だ。


顔を近づけてみるけれど、それは私の肉体ではない。


両手をグーパーとしてみるけれど、感覚をあまり感じない気がする。


なんか、変な感じだ。


【いきますよ、宮部さん】


カチ…カチ…カチ…カチ…


と何かが聞こえた気がした瞬間


「今の何だったの?」


私、三笠千尋(みかさちひろ)は不思議な感覚を覚えた気がした。


髪の毛をショーウィンドウのガラスで直していた。


「はぁ、はぁ、はぁ。ごめんね、千尋。遅くなって」


息を切らしたジョーがやってきた。


付き合って、もう一年だ。


「別にいいのよ。まだ、待てたから」


「こんなに、冷えちゃったね。ごめんね」


ジョーは、そう言って私の右手をポケットにいれてくれる。


「暖かい」


「そう、よかった」


「ジョーとこうやって歩くのが好きだよ」


「俺もだよ。千尋」


私は、ジョーとずっといたい。


ジョーと一緒に生きていけるなら他に何もいらない。


「千尋、今日は何をするんだったっけ?」


「もう、映画を見るんだったでしょ?」


「あー。そうだった」


映画館に入る。


冬の映画館は、大好き。


そこらじゅうをカップルが手を繋いで歩いてる。


それが、何だか堪らなく大好きだった。


ジョーと出会って付き合って、私は今が一番好き。


「ポップコーンは、いる?」


「うん、食べたい」


「飲み物は、ココアがいいかな」


「俺も、そうしよう」


ジョーが、注文してるのを見つめていた。


ジョーと二人で、映画を見た。


私は、映画よりジョーをずっと見つめていた。


「楽しかったね、千尋」


「えっ、ええ。とても、素晴らしかった」


見ていないとは、さすがに言えなかった。


でも、ジョーが嬉しいだけで私も嬉しい。


「何を食べようか?」


「何でもいいわ。ジョーが、好きなものなら」


並んで歩く。


「おぅ、丈助」


「祥介もデートか?」


「あぁ、そうなんだ。」


私は、この男が嫌いだ。


「こんばんは、蕪木さん」


「久しぶりだね、千尋さん」


この目の笑ってない感じが特に嫌いだ。


「じゃあな、丈助。楽しんで」


「ああ、じゃあな」 


ジョーは、幼馴染みとしか言わなかった。


二人の間に何かありそうな予感はしていた。


でも、聞けなかった。


「ごめんね、何食べようか?」


「せっかくだから、お洒落なのがいいかな?」


「イタリアンレストランに行かない?あそこの角、曲がったとこ」


「うん、行きたい」


ジョーが、笑った顔が好き。


この手から、伝わる温もりが好き。


ジョーの優しさが好き。


私とジョーは、イタリアンレストランに行った。


二人で、美味しく食べた。


「千尋の家に行っていい?明日、休みだから」


「うん、来て」


私は、ジョーと並んでお家に帰る。


家についた瞬間、ジョーが私を抱き締めてきた。


「ゆっくりしてからにしよう」


「うん」


「お酒は?」


「飲みたいな」


ジョーは、私から離れてソファーに向かった。


「コートとマフラーちょうだい」


「はい」


私は、ジョーから受け取って、コートとマフラーをコートかけにかけた。


ビールと乾きものを持って座る。


「乾杯」


私とジョーは、ビールを飲んだ。


「千尋、好きだよ」


「私もよ。ジョー」


ジョーは、私にキスをしてくれる。


この優しいキスが好き。


ジョーは、私を後ろから抱き締めてくれた。


首に吐息があたるのが、好き。


私は、ジョーのいる世界しかいらない。


幸せすぎて、怖いぐらい。


ジョーと、一生一緒にいたい。


それだけで、私の人生は幸せだよ。


いつものように、ジョーに優しくされながら一つに重なりあった。


このうえない幸せが、全身を駆け巡った。


もう、これ以上、何も望まなくていい。


ジョーと一生一緒に、いたい。


ジョーが、死ぬまで傍にいたい。


それが、私の全てだから


体感としては、早送りに近い感覚で、季節が一気に駆け抜けていく。


見えてる感じだと、雑誌をパラパラ捲るように映像が切り替わってる感じがする。





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