一ノ瀬倫と旭川愛梨
私は、宮部さんにしっーと言った。
始まった、もっとも美しい魂の時間だ。
「愛梨、愛梨なのか?」
「倫、よかった。元気そうで」
「ごめん。私は、愛梨を助けられなかった。」
「泣かないで、倫」
「それ、よく似合ってるよ。」
「これね、婚約指輪。倫が、私のお骨にいれたでしょ?覚えてる?」
「ああ、いれたよ。ご両親にお願いして」
「三日月先生。あっちにいる人がね。指輪をつけれるようにしてくれたのよ。」
「そうなのか、それは凄いな」
「倫、私は、今とても幸せよ」
「私は、愛梨の顔が見れて幸せだよ」
一ノ瀬倫は、旭川愛梨の頬に手を当てる。
「そうだったわね。私の最後の顔は、原型がなかったものね」
「辛くて、痛くて、悲しかっただろ?愛梨」
「もう、今はそんな気持ちはないのよ。今は、とても穏やかなの。私は、倫の幸せしか願っていないの。」
そう言って、優しく微笑む。
「愛梨、すまなかった。私が、あの日あの時間に行けていたら」
「倫、もうすんだことよ。倫は、幸せになっていいのよ。それにね、あれは倫のせいじゃない。今ならわかるの。私の運命だったって。決まっていた事だって。だから、もういいのよ。倫、桂木丈助さん、とてもいい人ね。」
「愛梨、ありがとう。彼を知ってるのか?」
「何度も見にきてたから、知ってるわ。それに私は、今、桂木丈助さんの恋人といるのよ。」
「そうなのか」
「凄く、いい人よ。私は、彼女が大好き。だから、倫。心配しないで。私は、私で幸せだから。だから、倫は幸せになっていいのよ。私の事なんか心配しないで。もう、苦しまないで。私が、もっていってあげるから」
そう言って、旭川愛梨は一ノ瀬倫の胸にキスをする。
黒い塊が、旭川愛梨の中へ移動した。
いつみても、美しい。
私は、この瞬間が堪らなく好きだった。
隣の宮部さんは、泣いている。
私は、旭川愛梨に最後のプレゼントをした。
パチン…
「愛梨、綺麗だ」
「倫も、素敵よ」
ウェディングドレスとタキシードをプレゼントしてあげた。
「愛梨、夢みたいだ」
「夢じゃないわ」
「愛梨、キスしてもいいかな?」
「勿論よ。倫」
優しく暖かいキスを繰り返ししてる。
「愛梨、ありがとう」
「うん。じゃあ、もう行くわ。」
「愛梨、ずっとずっと愛してる」
「私も、ずっと愛してるわ。倫」
「約束」
「約束ね」
旭川愛梨は、ゆっくりと消えていく。
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「終わりました。一ノ瀬さん」
「あの、三日月先生。また、愛梨に会えますか?」
「もう、会えないです。これが最後です。ですが、一ノ瀬さんの近くにはいますよ。彼女は、一ノ瀬さんの近くに粒子のようにいます。毎日、愛されてるのを感じて下さい。そして、今の人との時間を大切にして下さいね。旭川愛梨さんは、向こうで一ノ瀬さんを待っていますから」
「ありがとうございました。」
一ノ瀬さんは、私と宮部さんに深々とお辞儀をしてくれていた。
これからの、一ノ瀬さんの人生は光に包まれていますよ。
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三日月先生と女の人が去った。
心の中が、軽くなった気がした。
つっかえていた何かがなくなったような気がした。
私は、ジョーと前に進んでいける気がした。
いや、進んでいける。
そう思った。
三日月先生は、もう愛梨に会うのは、これが最後だと言った。
最後に愛梨とキスが出来た。
幸せな気持ちが、胸いっぱいに広がった。
ジョーの彼女といると愛梨は言っていた。
って事は、ジョーも彼女に会ったのではないだろうか?
そんな話しをしていなかった。
私は、涙を拭って歩きだす。
三日月と言っていた。
私は、歩くのをやめて、スマホで三日月を検索した。
【三日月宝珠】
有名な霊能者。15年前に突然引退。引退後の行方は、誰も知らない。彼の見せるビジョンは、本物。三日月宝珠が、ビジョンを見せた家族は皆幸せになっている。三日月宝珠は、テレビの出演さいにこう話したと言う「死者は愛しかなく、痛みも苦しみも悲しみも肉体を脱ぐ時に癒されている。そして、犯人の事も許している。だから、残されたものも許してほしい。そして、愛を感じとってほしい」
私は、スマホを閉じた。
愛梨、私は、ジョーを愛して。
そっちに行くよ。
ずっと、ずっと、愛してる。
さよならは、しないよ。
また、会おうね。愛梨
ビューって、突風が吹いた。
愛梨からの愛に包まれたような気がした。




